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Ep.4 今日のニュース(4)
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“寄生生物によるものだと訴えている学者もいますが――”
ニュースがただの予想に基づく話に移った直後、スーツ姿の男がディスプレイを消した。
そして男は初老の男性のほうに向き直り、口を開いた。
「大統領、ご決断を」
男は座っているその老人のそばに歩み寄り、正面のテーブルの上に何枚かの資料を置いてから口を開いた。
「調査の結果、やつらは相手の文明そのものを乗っ取る機能を有していることが分かっています」
男は資料を手で指し示しながら言葉を続けた。
「そしてそれは我々が初めての相手では無いことも明らかになっています。これまでに最低でも3つの文明を乗っ取り、滅ぼしていることが最近の観測で判明しました」
そして男は最後の資料に指を添えた。
それには最近の情報が記されていた。
「既にいくつかの基地と都市は完全にやつらに乗っ取られ、巣と化しています」
写真付きで載っているその内容は、どれもおぞましいものであった。
ゆえに老人は頭痛をおさえようとするかのように、両手で頭を押さえた。
だが、男はその口を閉じなかった。
「出来るだけ早く手を打たねば、被害は拡散し増加する一方です」
そして男は新たな書類を老人の前に差し出した。
それは戦術兵器の使用の許可を求めるものであった。
「もはや猶予はありません。大統領、ご決断を」
老人はその書類にサインした。そうするしか無かった。
そしていくつかの都市が、巣が焼き払われた。
だが、それで終わりでは無かった。
それは始まりに過ぎなかった。
こうして人類は知的な地球外生命体との初接触を果たした。
だがそれは望ましく無いものであった。
そしてこの時から、人類の新たな戦いの歴史が始まった。
それは生存圏の奪い合い、種の存続を賭けた戦いであった。
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