Closed castle ー閉ざされた城ー

ー AKIRA ー

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無知な二人

遭遇 5

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「くそ、こんな時に俺は!」

 手や足、体がブルブル震えた。
怖じ気付いたのか、いや違う。
己の怖さに怖じ気付いていた。
自分の怖さは自分がよく知っている。

「安西」
「煩い」
「安西!」
「話し掛けないで」
「俺がやる」
「え?」

"カキーン!"

 再び二人は混じり合い、何かが欠ける音がした。

「あぁぁぁぁ!」

 手を押さえる安西。
見ると、鋭く尖った指からエメラルドグリーンに輝く液が流れ出ていた。

「くそ、コイツ!」
「変化を許可する」

 魔女が呟くと、《桐生》の目は真っ赤に染まり、両手の指を鋭い刃に尖らせた。
不気味に輝く赤くい刃は、今か今かと桐生を狙う。

「まさか、コイツも変化できるのか?」

 途端、恐怖が込み上げた。
またここで、動けなくなるのか……。
桐生は幼い頃を思い出していた。


 ーー安西に出会う遥か前。
真っ黒な影を目の前にしても、ただ泣きじゃくるばかりだった。
わんわん泣きじゃくるばかりで、手も足も出なかった俺。

"ピュン!"

 そのまま、黒い影に殺されたはずだった。
けど生きていた。
気付くと教室の席に座っていて、いつも通りの皆がいて、そしたらロボットが現れて……。

「逃げてるときに見付けたんだっけ、安西を」

 とても懐かしかった。
この思いは、何なのだろうーー。
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