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2日目、私は聞いてみたい!!
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「ーーーということで、いろいろ聞いてみたいな。君のこと!!」
「いや、なんでだよっ、」
思ってたよりもキレのいいツッコミが返ってきて、にっこり笑った私は満足に頷く。
私はこれが欲しかった………!!
「だって、聞かないことには対処できないもん。君、なんで死にたいの?」
「なんでお前なんかに………」
「いいじゃん、いいじゃん。吐き出しちゃいなよ」
私はにっこり笑って、昨日よりもまた体調が良くなった身体を動かして、彼の肩に自分の腕を乗せる。
「だって私、どのみち1週間後には死んじゃうんだし。何か言っても、ちゃーんと墓まで持ってけるよ?」
ほらほら行っちゃいなよっ!というと、奏馬くんはぐっと顔を顰めた後に、諦めたように溜め息をついた。
「これ、言うまで離さない気だよな?」
「ん?そうだよ?なんか文句ある?」
首を傾げると、彼は大きな溜め息をもう1度ついてから、くちびるを湿らせた。
「膝壊したから」
「ん?」
いまいち意味が分からなくて、私は首を傾げる。
「俺、サッカー選手なの」
「おぉっ!すごいね」
「んで、高校最後の1番大きな大会目前に膝壊した」
淡々という彼の横顔には、寂しさが浮かんでいる。悔しさや苦しみでもない、ただただ沈むように深い寂寥。
「もう、大会出られないの?」
「1回壊したら終了なんだよ。身体っていうのは」
「それは身をもってよ~く知ってるかな」
私の身体は生まれつき悪くて、弱くて、そして、治ったことがない。
でも、だからこそ、私は思う。
「それを言い訳に挑戦しないのってなんか違うんじゃない?」
「は?」
私は彼の前に座り直して、じっと彼の瞳を見つめる。
光を写していないかのように暗い瞳は、感情を置き去りにしてしまっている。こういう場所に、死と隣り合わせな場所に住んでいるからこそ分かる。
奏馬くんは、全てを諦めてしまっていると。
「私たち不治の病を持ってる人ってさ、絶対最後まで諦めないんだよね。だって、諦めるまでもないんだもん。そもそもできないの」
目を瞑れば、私ができないこと、できなくなったことが沢山思い浮かぶ。
くらくらと周りだした世界は、私の嫌いなもので溢れている。
「お勉強、中学の分で精一杯だったんだ。椅子にね、座れなくなっちゃったの。読書、本を捲れなくなったんだ。運動、歩けなくなったんだ。ちょっと歩いただけで転んで、起き上がれなくなる。動きたいって願っても、できないんだよ。諦めないって言う次元じゃなくてお医者さまに禁止されちゃうの」
空を見上げると、私は乾いた笑いをこぼす。
もう1度彼を見つめると、びっくりするぐらいに整った顔をした奏馬くんは無表情だった。真剣で真面目な彼は、考え込んでいるようだ。
「だからね、私はあなたは羨ましい」
「………………」
「動けるあなたが、望めばできるあなたが、………私は羨ましい」
私は真っ直ぐと彼を見つめて、にっこり笑う。
「今、リハビリ入院なんでしょ?」
「まあ、うん」
歯切れ悪く頷いた彼は、多分リハビリをサボっているのだろう。
「リハビリが終わったら、身体はちゃんと動くよ。怪我の前と同等っていうのは無理かもしれない。でも、ちゃんと動けるよ。リハビリ入院した子たちを見てきた私が保証する」
私は彼に手を伸ばす。
「もう少し、頑張ってみよう。あなたが、もう1度走れるように!!」
彼は驚いたように目を見開いて、そして破顔した。
ーーー私の余命はあと5日。
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