完 暗殺姫は、今日も溺愛王子を殺せない

水鳥楓椛

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24 国王との記憶

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「はぁー、はぁー、」

「今日も殺せなかったね、残念。リア」


 涼しい顔でころころと笑う彼を、アザリアは鋭く睨みつける。

 背中に張り付く汗が、髪が、衣服が、煩わしくて仕方がない。
 ぐでっと彼に抱きつき、アザリアは眠たげに欠伸をこぼす。
 いつのまにか、彼の腕の中が安息の地になっていた。そんなことは絶対ないはずなのに、彼は暗殺対象で自分は暗殺者。
 決して相容れぬ敵対者同士であるのにも関わらず、アザリアはこの溺愛王子に心を許しかけてしまっている。

 エメラルドの瞳を瞼の裏に隠すと、アザリアの瞼には先程の謁見の間での出来事が頭の中を駆け抜ける。


『本当に美しい娘だ。
 そなたのような可愛らしい女子が娘になるというのは、嬉しい限りだ。
 その紺碧のドレスはアルフォードが用意したのか?』

『えぇ。わたくしによく似合っていらっしゃるでしょう?』


 アザリアはこの時、無邪気に回転して見せた。
 しかし、心の奥底を巣食っていたのはわずかな違和感。

『あぁ、そのネックレスやピアス、ブレスレットとも良く合っておる。それもプレゼントしてもらったのか?』

『いいえ。自前ですわ』

『そうかそうか。
 アルフォードの美的センスはそれほどまでのことはできまい』

『あらまあ、お厳しい』

『当たり前じゃっ!我は何と言ってもこの国偉大なる王さまのなのだから!!』


 えっへんと胸を張った国王さまを思い出し、アザリアはすうっと遠い瞳をした。


(何度考えても、何度思い出しても、国王さまがお馬鹿さんという情報以外に靄がかかってしまうわ。
 あの馬鹿さ加減、頭に響くわね………、)


 アザリアはとても失礼なことを考えながら、深い眠りの世界へと旅立っていった。


*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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