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41 甘い口付け
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「ん、」
慌てるアザリアの目の前で、王子の瞼がぴくりと動く。
(ころ、さなくちゃ)
ぎゅっと震える身体を抱きしめ、アザリアは彼の首に向けて手を伸ばす。
多分、自分は今迷子の子供のような表情をしてしまっている気がする。
彼の首にアザリアの両手が回った瞬間、アザリアの両手は頭上に押さえつけられ、鳩尾にぐぅっと彼の膝が食い込む。
かはっと息が溢れた瞬間にはもうアザリアは動く術を失っていた。
時間にして2秒。
一瞬でアザリアの命は彼の手のうちに落ちた。
首筋に、頬に、目の端に、額にキスが落とされる。
「かあわい~、」
———ちゅっ、
くちびるに何度も何度も柔らかなキスが落とされる。
(あまい、)
息継ぎの間もなく、また次のキスが落とされた。
カサカサとした自分のものとは異なるくちびるが触れるたび、どうしようもなく泣きそうになってしまう。
手枷をやめた手があやすようにアザリアの頭や身体を撫でる。
視界が潤む先で、彼も何故か泣きそうな顔をしている。
「リア………、」
一瞬離れたくちびるが、もう1度寄せられる。
「ん、」
溢れた声に、涙に、彼はくちびるを離し、アザリアの身体をぎゅうっと抱きしめる。
「大丈夫」
何が大丈夫なのか分からない。
「ひっ!」
先ほどとは比べ物にならないぐらいに強く肩を噛まれる。
相当な痛みが走ったはずなのに、何故かとても甘い。
痛甘い感覚は、どこまでもアザリアを幸せに叩き落とす。
(なんで!どうして!)
今まで何度も何度もこういうことを経験してきた。
そのはずなのに、今日はとても心が苦しい。
痛くてふわふわして、苦しくて、それなのにどこまでも幸せになれる。
「………もぅ、やめ、て」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
慌てるアザリアの目の前で、王子の瞼がぴくりと動く。
(ころ、さなくちゃ)
ぎゅっと震える身体を抱きしめ、アザリアは彼の首に向けて手を伸ばす。
多分、自分は今迷子の子供のような表情をしてしまっている気がする。
彼の首にアザリアの両手が回った瞬間、アザリアの両手は頭上に押さえつけられ、鳩尾にぐぅっと彼の膝が食い込む。
かはっと息が溢れた瞬間にはもうアザリアは動く術を失っていた。
時間にして2秒。
一瞬でアザリアの命は彼の手のうちに落ちた。
首筋に、頬に、目の端に、額にキスが落とされる。
「かあわい~、」
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(あまい、)
息継ぎの間もなく、また次のキスが落とされた。
カサカサとした自分のものとは異なるくちびるが触れるたび、どうしようもなく泣きそうになってしまう。
手枷をやめた手があやすようにアザリアの頭や身体を撫でる。
視界が潤む先で、彼も何故か泣きそうな顔をしている。
「リア………、」
一瞬離れたくちびるが、もう1度寄せられる。
「ん、」
溢れた声に、涙に、彼はくちびるを離し、アザリアの身体をぎゅうっと抱きしめる。
「大丈夫」
何が大丈夫なのか分からない。
「ひっ!」
先ほどとは比べ物にならないぐらいに強く肩を噛まれる。
相当な痛みが走ったはずなのに、何故かとても甘い。
痛甘い感覚は、どこまでもアザリアを幸せに叩き落とす。
(なんで!どうして!)
今まで何度も何度もこういうことを経験してきた。
そのはずなのに、今日はとても心が苦しい。
痛くてふわふわして、苦しくて、それなのにどこまでも幸せになれる。
「………もぅ、やめ、て」
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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