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57 褒めてくれないくせに
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複数のドレスを広げて、撫でて、愛しんで、最終的に真っ赤で露出が多く、扇情的な薔薇のドレスを選んだアザリアは、ささっとドレスを身につける。
深紅のシルク生地が計算された形でくしゃっと縫い付けられていることによって、胸元から裾までを螺旋状に薔薇の造形が出来上がっているマーメイドラインのドレスは、アザリアのお気に入りの1つ。
見えにくいところに深いスリットが入っていることもあってとても動きやすく、それでいて色合い的に返り血が目立ちにくいという点が高評価が与えられるポイントだ。
ドレスをパリッと身につけたアザリアは、続いて漆黒のハイヒールを取り出す。
フロント部分に靴と同じ生地で作られたリボンと大きめの貴石が縫い付けられているハイヒールは、走りやすくて可愛くて、黒という色彩もあってか使い回しがしやすい。
(ふふっ、やっぱりこのペアを身につけるとテンションが上がるわね)
ご機嫌いっぱいなアザリアはいつものネックレスと、アルフォードがプレゼントしてくれたネックレスと揃いのデザインのしゃらしゃら揺れる縦長の飾りが愛らしいピアスとブレスレットを身につける。
「………薔薇の妖精みたいだ」
アルフォードの感嘆混じりの声に、アザリアは満足げに頷き、同意する。
「ふふふっ、でしょう?」
「あぁ、………綺麗だ」
正面から褒められた瞬間、頬が熱くなる。
胸が、心臓が、痛くなる。
鼓動が早くなって、指先がもじもじしてしまった。
「そ、そこまで褒めろだなんて言っていませんわ」
「事実を言っただけだよ」
(………肝心な時は褒めてくれないくせに———………………、)
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
深紅のシルク生地が計算された形でくしゃっと縫い付けられていることによって、胸元から裾までを螺旋状に薔薇の造形が出来上がっているマーメイドラインのドレスは、アザリアのお気に入りの1つ。
見えにくいところに深いスリットが入っていることもあってとても動きやすく、それでいて色合い的に返り血が目立ちにくいという点が高評価が与えられるポイントだ。
ドレスをパリッと身につけたアザリアは、続いて漆黒のハイヒールを取り出す。
フロント部分に靴と同じ生地で作られたリボンと大きめの貴石が縫い付けられているハイヒールは、走りやすくて可愛くて、黒という色彩もあってか使い回しがしやすい。
(ふふっ、やっぱりこのペアを身につけるとテンションが上がるわね)
ご機嫌いっぱいなアザリアはいつものネックレスと、アルフォードがプレゼントしてくれたネックレスと揃いのデザインのしゃらしゃら揺れる縦長の飾りが愛らしいピアスとブレスレットを身につける。
「………薔薇の妖精みたいだ」
アルフォードの感嘆混じりの声に、アザリアは満足げに頷き、同意する。
「ふふふっ、でしょう?」
「あぁ、………綺麗だ」
正面から褒められた瞬間、頬が熱くなる。
胸が、心臓が、痛くなる。
鼓動が早くなって、指先がもじもじしてしまった。
「そ、そこまで褒めろだなんて言っていませんわ」
「事実を言っただけだよ」
(………肝心な時は褒めてくれないくせに———………………、)
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