完 暗殺姫は、今日も溺愛王子を殺せない

水鳥楓椛

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62 ハンドラーに告げる

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◻︎◇◻︎


 空を舞い、宙を飛び、アザリアは組織の部屋へと向かう。

 真っ赤なドレスの裾が美しく翻りながら、アザリアの後を追っていた。


 組織の部屋へはあっという間に到着できた。

 深呼吸をひとつ、アザリアはハンドラーのいる部屋へと入る。


「………ご機嫌麗しゅう、ハンドラー」


 ハンドラーは、いつもの机にで資料に埋もれていた。


「久しいな、暗殺姫アザリア。何用だ?」


 今日は珍しくサングラスをしていないハンドラーに正面から見つめられたアザリアは、僅かに息を詰め、指先に力を入れた。


「………今日を以て、任務を降りさせていただきます。
 わたくしでは、王子さまに敵いませんでした。1年以上頑張っても、手も、足も出なかったのです。
 もう、———潮時でしょう」


 アザリアの殊勝な言葉に、ハンドラーは何も返さない。


「では、今日まではこのまま任務を続行いたしますので、そろそろ戻ります。
 ハンドラー、大変申し訳ないのですが、後任を選定しておいてください」

「あぁ、分かった」


 にっこりと艶やかに微笑んだアザリアは、来た道を戻る。

 その背中に纏わりつく蛇のような殺気を無視し、複数名から投げられた低レベルなナイフを軽くいなす。

 帰り道は行きと違い、命の危険がたくさん潜んでいたが、ここ1年で格段に強くなったアザリアには、全くもって歯牙にかける必要すらないほどに、関係のない事柄となっていたのだった———。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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