79 / 79
81 薔薇の誓い
しおりを挟む
ぽろぽろと涙をこぼすアザリアは、今日も壊れた王子を殺せていない。
———コンコンコン、
「………どう、ぞっ、」
入ってきたのは、アルフォードの1番の臣下だった。
彼の持つ忠誠心は、アザリアも驚かされたほどのものだ。
だからだろうか、
「アザリア妃、………少し休憩をお取りください」
そう言われたアザリアは、素直に休憩に入ることができた。
1ヶ月ぶりに、部屋の外へと出ることができた。
アザリアの足は、自然と王宮の庭園へと向かっていた。
満開の薔薇が花弁を散らしながら、美しく、華やかに咲き誇っている。
ぼーっとしているアザリアの手は、自然と4本の薔薇に向いた。
アザリアの猫っ毛そっくりの赤、
アザリアの生まれであるという赤の一族の家紋に刻まれていた紅、
アザリアが大好きな深い深い海のような美しいサファイアのような青、
全てを塗り尽くし、永遠と永劫を誓う黒、
どうしてその色なのかも分からない。
分からないままに、アザリアは暗器で薔薇を摘み取り、トゲの処理をして、手持ちのリボンで花束を作る。
歪で色気のない花束のはずなのに、何よりも美しく感じた。
その足で、アザリアはまたアルフォードの部屋へと帰ってきた。
アザリア自身にも、何がしたいのかさっぱり分からない。
「………妃殿下、」
「お花を持ってきただけよ」
アザリアはそう言うと、アルフォードが座っているベッドへと乗り上がり、彼の目の前に顔を向けた。
彼はぼーっとアザリアの方に視線を向けてくれる。
そんな彼に、アザリアは何気なく走馬灯で見た薔薇を握らせた。
いつもと変わらず、彼はぼーっと薔薇を見つめる。
(だめ、か………、)
「り、あ………?」
全てを諦めようと決意した瞬間だった。
「え………?」
望洋としていたアルフォードの海色の光に、陽光がさした。
大好きな、色が、現れた。
目に涙の幕が張ってしまってよく見えない。
でも、アザリアはちゃんと言葉を発せられた。
「おかえりなさい、わたくしの溺愛王子さま」
彼はいつの日か見た向日葵みたいな満面の笑みを浮かべる。
「ただいま、俺の、暗殺姫」
ぎゅっと優しく抱きしめられたアザリアは、彼を殺す大チャンスなのに、彼に刃物を向けられない。
「愛してるよ、リア。
たとえ記憶を失おうとも、君は君なのだから」
暗殺姫アザリアは、今日も溺愛王子アルフォードを殺せない。
何故なら、暗殺姫は溺愛王子を愛してしまったからだ———。
*************************
読んでいただきありがとうございました🐈🐈🐈
これにて完結となります!!
———コンコンコン、
「………どう、ぞっ、」
入ってきたのは、アルフォードの1番の臣下だった。
彼の持つ忠誠心は、アザリアも驚かされたほどのものだ。
だからだろうか、
「アザリア妃、………少し休憩をお取りください」
そう言われたアザリアは、素直に休憩に入ることができた。
1ヶ月ぶりに、部屋の外へと出ることができた。
アザリアの足は、自然と王宮の庭園へと向かっていた。
満開の薔薇が花弁を散らしながら、美しく、華やかに咲き誇っている。
ぼーっとしているアザリアの手は、自然と4本の薔薇に向いた。
アザリアの猫っ毛そっくりの赤、
アザリアの生まれであるという赤の一族の家紋に刻まれていた紅、
アザリアが大好きな深い深い海のような美しいサファイアのような青、
全てを塗り尽くし、永遠と永劫を誓う黒、
どうしてその色なのかも分からない。
分からないままに、アザリアは暗器で薔薇を摘み取り、トゲの処理をして、手持ちのリボンで花束を作る。
歪で色気のない花束のはずなのに、何よりも美しく感じた。
その足で、アザリアはまたアルフォードの部屋へと帰ってきた。
アザリア自身にも、何がしたいのかさっぱり分からない。
「………妃殿下、」
「お花を持ってきただけよ」
アザリアはそう言うと、アルフォードが座っているベッドへと乗り上がり、彼の目の前に顔を向けた。
彼はぼーっとアザリアの方に視線を向けてくれる。
そんな彼に、アザリアは何気なく走馬灯で見た薔薇を握らせた。
いつもと変わらず、彼はぼーっと薔薇を見つめる。
(だめ、か………、)
「り、あ………?」
全てを諦めようと決意した瞬間だった。
「え………?」
望洋としていたアルフォードの海色の光に、陽光がさした。
大好きな、色が、現れた。
目に涙の幕が張ってしまってよく見えない。
でも、アザリアはちゃんと言葉を発せられた。
「おかえりなさい、わたくしの溺愛王子さま」
彼はいつの日か見た向日葵みたいな満面の笑みを浮かべる。
「ただいま、俺の、暗殺姫」
ぎゅっと優しく抱きしめられたアザリアは、彼を殺す大チャンスなのに、彼に刃物を向けられない。
「愛してるよ、リア。
たとえ記憶を失おうとも、君は君なのだから」
暗殺姫アザリアは、今日も溺愛王子アルフォードを殺せない。
何故なら、暗殺姫は溺愛王子を愛してしまったからだ———。
*************************
読んでいただきありがとうございました🐈🐈🐈
これにて完結となります!!
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
虜囚の王女は言葉が通じぬ元敵国の騎士団長に嫁ぐ
あねもね
恋愛
グランテーレ国の第一王女、クリスタルは公に姿を見せないことで様々な噂が飛び交っていた。
その王女が和平のため、元敵国の騎士団長レイヴァンの元へ嫁ぐことになる。
敗戦国の宿命か、葬列かと見紛うくらいの重々しさの中、民に見守られながら到着した先は、言葉が通じない国だった。
言葉と文化、思いの違いで互いに戸惑いながらも交流を深めていく。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる