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番外編 長女のエリザベス
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ネージュは綺麗に血を洗ってもらった赤子を腕にもらいながら、頬を緩めていた。さっきまで泣いていたらしい愛おしい我が子の声はちっとも聞こえなかった。
でも、ネージュはちゃんとこの子の声を知っている。
もう聞けないのはとても残念で悔しくて仕方がないが、でも、顔を見られたことがなによりも嬉しい。
びっくりするくらいに小さな我が子におっかなびっくりしながら、ネージュは赤子を観察する。
夢の中に出てきたこの子の金髪は長かったが、今のこの子の髪は少なくて短い。自分と同じ氷色の瞳は固く閉じられていてまだ何色か分からない。
《王妃さま、そろそろ陛下をお迎えいたしますね》
声を出そうにも、もう喉が枯れてしまって声が出ないネージュは、ゆっくりと頷く。
《ネージュ!!》
隣の寝室の扉が開けられた瞬間、転がり込むという言葉がぴったりなくらいに慌てて入ってきたオリオンは、目の下が真っ黒で髪がボサボサ、肌艶もなく、控えめに言ってぼろぼろだった。目には涙が溢れていて、何があったのだと問いただしたくなるレベルだ。
「お、りー、………」
ガラガラの声で彼を読んで笑うと、彼は心底嬉しそうに破顔してネージュのことを優しく抱きしめてくれる。
[本当に可愛い赤ちゃんだね]
[えぇ、夢の中の子とおんなじ可愛い子]
ふわふわとあやしながら手話でオリオンと会話したネージュは、じっとオリオンを見つめる。
[もしかして、僕がお名前をつけるの!?]
[当たり前でしょう?]
ちょっとだけ呆れた顔をすると、オリオンはあわあわと慌て始める。そんな彼に赤子を手渡した、ネージュは、ふわふわのクッションに身を預けて首を傾げる。
[どう?決まった?]
「ネリー、マリー、アリー、うーん、どれも反応がイマイチだな………。サリー、タリー、エリー、」
彼が『エリー』と呼んだ瞬間、赤子の顔が僅かに動いた。
「えりー、エリー、エリザ、………エリザベス、かな」
いくつかの候補を呼んでしっくりくるものを決めたらしいオリオンに、ネージュは満足に頷いた。
「えり、ざべす。………わたしの、かわいい、赤ちゃん」
ぎゅっと抱きしめた瞬間、赤ちゃんはにへらっと笑った。
(幸せ………)
可愛い赤ちゃんを抱いている大好きな夫に抱きしめられ、キスを送られたネージュは、心の底から幸せを堪能した。
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈⬛🐈
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