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そして、次に目が覚めると学校が終わっていた。
「僕ってば天才やんねぇ」
「………“ある意味”という言葉を足しておくべきかと」
のほほんと思っていることを口に出したら、隣に座っているきなこさんに訂正された。
うん、やっぱり、訂正姿すらも可愛らしい。
あまりにもなベタ惚れ具合に我ながら苦笑をこぼしていると、彼女はぶすーっと頬を膨らませた。
「授業中はお昼寝時間では無いのですよ?」
「ん~」
「聞いていませんね?」
「聞いてるけど、僕には必要のない言葉かなーって」
カラカラ笑っていると、彼女は心底不服そうな表情をした。
やっぱりそんな姿すらも様になってしまうのだから、美少女というのは、否、きなこさんという存在そのものが罪だ。
(まあ、僕の勝手な判断やけど)
溜め息を吐きたいのをものすっごく我慢した僕は、ぐーっと背伸びをしてからふぁうっとあくびをこぼす。寝過ぎてしまったからかとても眠たい。
———ぎゅるるるるるるぅー、
「………………」
「………………………」
僕のお腹から響いたなかなかに良い音に、僕はぴたっと固まった。
きなこさんも何も言ってくれない。
沈黙が、………つらい。
「………お、お昼食べ損ねてもうたさかい、ちょぉーっとお腹空いとるんよ」
「………………」
「あは、あはははは………、はは」
本当に、沈黙がつらい。
「えっと………、その………、………………ごめん」
我ながら、もっとマシな言葉はなかったのだろうか。
「………今日は、寄り道してから帰りませんか?」
自己嫌悪に陥り始めた僕に、至極真面目な顔をしたきなこさんはいきなりそんなことを言ってきた。
正直、お話が読めへん。
「寄り道?」
「はい。わたし、『ファストフード』というものを食してみたいのです」
一瞬意味がわからなかった。
ぱちぱちと瞬きを重ねてしまう。
「食べたことないん?ほんまに?」
「はい」
何度も何度もラムネ色の瞳を期待に輝かせて頷く彼女に、堕ちない男なんて絶対いない。
僕はリュックに荷物を纏めてひょいっと背負う。
靴の先をとんっと床で叩くと、ずれていた靴がすっぽりはまる。
「カカオくん?」
不思議そうにこてんと首を傾げた彼女に、僕は悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
ちょっと悪い顔っていう表現の方がいいかもしれない。
「行くんやろ、ファストフード店」
瞬間、彼女のラムネがパチンと弾ける。
真夏の海で見る、売店で販売されているようなきらきらとしたラムネが、楽しげに煌めく。
「うん!!」
輝いた笑顔に、ふわふわ楽しそうに揺れるミルクティーの髪に、僕は唾を飲み込んだ。
あまりにも不誠実すぎる自分に、嫌気がさす。
泣きそうになりながら一生懸命に微笑んだ僕は、上手に“そこそこに便利な男”を演じられていたのだろうか。
残念ながら、今の僕には演じられていない気がした———。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
次の更新は16時です!!
「僕ってば天才やんねぇ」
「………“ある意味”という言葉を足しておくべきかと」
のほほんと思っていることを口に出したら、隣に座っているきなこさんに訂正された。
うん、やっぱり、訂正姿すらも可愛らしい。
あまりにもなベタ惚れ具合に我ながら苦笑をこぼしていると、彼女はぶすーっと頬を膨らませた。
「授業中はお昼寝時間では無いのですよ?」
「ん~」
「聞いていませんね?」
「聞いてるけど、僕には必要のない言葉かなーって」
カラカラ笑っていると、彼女は心底不服そうな表情をした。
やっぱりそんな姿すらも様になってしまうのだから、美少女というのは、否、きなこさんという存在そのものが罪だ。
(まあ、僕の勝手な判断やけど)
溜め息を吐きたいのをものすっごく我慢した僕は、ぐーっと背伸びをしてからふぁうっとあくびをこぼす。寝過ぎてしまったからかとても眠たい。
———ぎゅるるるるるるぅー、
「………………」
「………………………」
僕のお腹から響いたなかなかに良い音に、僕はぴたっと固まった。
きなこさんも何も言ってくれない。
沈黙が、………つらい。
「………お、お昼食べ損ねてもうたさかい、ちょぉーっとお腹空いとるんよ」
「………………」
「あは、あはははは………、はは」
本当に、沈黙がつらい。
「えっと………、その………、………………ごめん」
我ながら、もっとマシな言葉はなかったのだろうか。
「………今日は、寄り道してから帰りませんか?」
自己嫌悪に陥り始めた僕に、至極真面目な顔をしたきなこさんはいきなりそんなことを言ってきた。
正直、お話が読めへん。
「寄り道?」
「はい。わたし、『ファストフード』というものを食してみたいのです」
一瞬意味がわからなかった。
ぱちぱちと瞬きを重ねてしまう。
「食べたことないん?ほんまに?」
「はい」
何度も何度もラムネ色の瞳を期待に輝かせて頷く彼女に、堕ちない男なんて絶対いない。
僕はリュックに荷物を纏めてひょいっと背負う。
靴の先をとんっと床で叩くと、ずれていた靴がすっぽりはまる。
「カカオくん?」
不思議そうにこてんと首を傾げた彼女に、僕は悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
ちょっと悪い顔っていう表現の方がいいかもしれない。
「行くんやろ、ファストフード店」
瞬間、彼女のラムネがパチンと弾ける。
真夏の海で見る、売店で販売されているようなきらきらとしたラムネが、楽しげに煌めく。
「うん!!」
輝いた笑顔に、ふわふわ楽しそうに揺れるミルクティーの髪に、僕は唾を飲み込んだ。
あまりにも不誠実すぎる自分に、嫌気がさす。
泣きそうになりながら一生懸命に微笑んだ僕は、上手に“そこそこに便利な男”を演じられていたのだろうか。
残念ながら、今の僕には演じられていない気がした———。
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