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2章. 消えた一族
8. 快楽と苦痛 ※
「カレル。……最初に言っておくが、無理にしたいわけじゃない。嫌になったらすぐに言ってくれ、絶対に止める。痛くてもちゃんと言えよ、人が苦しむ顔を見る趣味はないからな」
「……はい」
ご飯やシャワー等を全て済ませた後、俺とカレルは寝台に座りながら向き合って話していた。照明はもうほぼ全て落としており、光源と呼べるものは寝台の側にある小さいランプが一つと、偶にカーテンの隙間から漏れる月明かりくらいだ。
「俺の味覚は、どうするべきか。カレルの飢餓感のことを考えると、そのままにしておいた方がいい気もするが……、それだと貴方の気が済まないんだよな?」
「そう、ですね……。ルイスに触れて能力を使う度に舌に異常があるのはわかってしまいますし、ご飯の時にやっぱり気になってしまって……」
「やはり、夕食の時に話したように、一度俺の味覚を取り出してみるか。それでどのくらい飢餓感が出るかを確かめて、貴方が辛そうだったら味覚はしばらく預ける。貴方が耐えられそうであれば、……まあ戻し方はよくわからないんだが、ひとまず味覚は返してもらう、ということで」
「お手数をかけて申し訳ないですが……はい、そうしましょう」
互いにこれからのことを事務的に確認し終わったところで、雰囲気作りの為に、カレルの手を取って微笑んだ。そのままぐい、と腰をもう片方の手で引き寄せて、軽いキスを贈る。目的を達成する為の行為とはいえ、せっかくなんだから楽しんだっていいだろう。……昨日のセックスでわかってる。この人とは、多分身体の相性が良い。
「ん、ん」
口から漏れるカレルの声を、息を、食むようにして閉じ込める。そして舌を滑り入れると、とろけそうな温度の舌と触れ合った。とろり、ゆるり、と舌を動かしていきながら、カレルの身体を横たえるようにして押し倒す。カレルはもう緊張しているのか、それとも興奮してくれているのか、舌も熱ければ身体も熱い。
「脱がすよ、カレル」
う~、と呻き声のような、声とも言えない音が聞こえた気がするが、嫌がってはいなさそうなので上から順に脱がしていった。脱がしながらも、背中や脇腹、腰や腰骨のあたりを触れてみたが、中々反応があったからいじめ甲斐がありそうだな。最後の下着も俺が脱がせていいのか? と煽ると、流石に恥ずかしかったようで彼は自分で脱ぎ出した。
「てつきが、……」
「うん?」
「やさしく、て。ありがとう、ございます」
「あはは。そうか。貴方も同じ感じでしてくれたと思うけどな」
「……そう、ですかね。前は、こんなに……」
「気持ち良くなかった、って言ってたもんな。……もう気持ちが良いのか?」
「……。……は、い」
その絞り出すように呟かれた小さな言葉に、くすりと笑う。素直なのは良いことだ。そのまま触れようとしたが、全裸になったカレルが恥ずかしそうにしているのを見て、ああ俺も先に脱いだ方がいいか、と思いとりあえず上だけ全て脱ぎ去った。
「そいつが下手だっただけだろ。貴方と相性が悪かった可能性もあるがな。……味覚を取り出した後に何が起こるかわからないから、何か起こってもすぐ動けるように最初は手と口だけでするよ。だからそんなに緊張するな」
固まってしまっているカレルの緊張を解すように、髪を撫でながら触れるだけのキスを。そして、耳、首筋、鎖骨、胸……と上から下へなぞるように手を滑らせて、ゆるく勃っている彼のものに触れた。
「ぁ……」
「少しずつ、ここも拡げるぞ」
「ん、ぁ」
とんとん、と外から軽く指先で入り口を叩くと、カレルの身体がぴくりと跳ねた。俺の経験から、慣れてないうちはすぐにここに挿れられると、異物感が凄くて吐きそうになるのがわかっているから、前の熱に触れながら、本当に優しく、少しずつ、だ。というか実際、俺は執着してきたあの人のせいで吐いたことがある。最初慣れないうちは何度吐いたかわからない。それでもかわいいと言ってくるものだから本当に気持ち悪かった。……あの瞬間から、俺が抱く側の時は絶対に抱かれる側を痛がらせない、嫌なことをしないと決めたのだ。
「ひ、……」
粘膜に触れても大丈夫らしいクリームを体温で溶かしながら、そっと入り口に塗り込むと、カレルの口から少し怯えたような声が出た。まあ、怖いよな、最初のうちは。
「大丈夫、こっちに集中してろ」
「っ、あ、」
前、舐めた時すごく気持ち良さそうだったから、味覚もまだ戻っていないことだしまた前のように彼のものに舌を這わせた。同時に、男にしては細いらしい指を、一本だけ彼の中に埋め込んでいく。気持ちよさそうな声しか出ていないから、これくらいなら大丈夫そうだ。
「ん、……ぁ、っは……」
「うん。ちゃんと勃ったな。えらいぞ」
「う、……あ。おとこ、ですから……、そりゃあ、刺激されたら……」
「触る前からゆるく勃ってたけどな。前なんて触る前から完全に勃ってたろ。……さては俺の顔か声、割と好みだな?」
「そ、れは……っ、あ、っ」
「ふふ」
否定しないあたり、図星なのかもしれない。別に害なく好かれる分には、嫌な気はしない。そもそも俺自身、カレルを気に入っているし。ぐ、とカレルのものを自分の口の中に入れ込んで、上下に動かす。もちろん手でも彼のものに触れているし、もう片方の手は二本目の指を入り口に入れ込んでいた。ぐちゅ、ぐぷ、と卑猥な音が響いているから、まるで脳まで犯されている感覚になっていることだろう。
「きれいな、ひと、なので……っ」
「……俺が?」
「はい、っ……、あ、あっ、……んん、」
きれい? 顔の話か? 男だぞ、俺は。そりゃあ、中には綺麗な顔をしている男だっているだろうが……。ううん、まあ、それぞれの感性だしな。
「カレルはかわいいよ」
「っ? は、っ……あ、なん、でっ……」
「? かわいいと思ったから」
彼の熱から口を離さないといけないから、話しにくい。でもそれが良い焦らしになっているのか、カレルはもう我慢できないというように身を捩った。
「イっ、ちゃ……、あ、あっ……!」
「ん」
「は、あっ……、ぁっ、……──っ!」
昨日俺の中で3回も出したからか、そこまで勢いがないものの、とろりとした白濁液が俺の口の中に放たれたのを感じる。あの誰かさんのせいで飲むのは慣れているから、そのまま飲んだ。そして──ここか。もう感覚が掴めた。
カレルが痛がる時間を減らす為に、気配を察知してから俺の味覚がある場所へと手を伸ばす。……これだ。
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