君と夜を、ごちそうを!

しま

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夜食1 寮の給湯室 悪魔東辛子ラーメン 2

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「俺の自己紹介がまだだったね。魔獣医学科一年のライルです。よろしく。」

 「こちらこそ、よろしく。急にごちそうになってしまって申し訳ない。」

 器に料理を盛りながら改めて自己紹介をした後、2階のエイダンの部屋から持ってきたもう一つの椅子にエイダンが座るように促す。

 「そういえば、水は用意しなくていいのか?これ結構辛いよ。」

 「たぶん大丈夫だと思う。チーズのってるし、俺辛いの得意だから。」

 エイダンはかなり辛さに自信があるらしい。
まあ、ナーカのミルクも入ってるし大丈夫だろう。2人で早速つぎ分けた麺を啜ってみる。

 「「辛っ!!!」」

 いや、でも中々癖になる辛さだな。ミルクのまろやかさとスープの旨みが最高に合っている。それに、チーズやミルクに負けずに主張してくる悪魔東辛子の辛さが東国独特の雰囲気があるエスニックな料理にしている。
 元気な火の悪魔がスープの中で踊っていて、白い豆乳スープの上を悪魔の軌跡が赤色の波のような模様を残す。

 そのまま二口目、三口目をたべてみて、そこで辛さへの限界をかんじた。
 即座に水の入ったマグカップに手を伸ばす。
 ばちん!。盛大に音が鳴り、一瞬何が起きたか分からなかった。
 エイダンも反対側から俺のマグカップを掴んでいる。辛いのが得意じゃなかったのか??という混乱と、絶対こいつにこの水は渡さないという強い闘争心がわいてきた。こんなことなら、このマグカップにするのではなかった。両側に持ち手が付いていることが仇になってしまっている。

 「あ!」

 咄嗟に震える指で左をゆっくり指差しながら、左側に何か恐ろしいものがいるかのような表情で驚いて見せた。
 エイダンは「え?」と言って左を見る。エイダンの左手の力が抜けた瞬間を見計らい、マグカップを自分に引き寄せて、中の水を飲み干す。

 達成感と同時に、初対面の相手への容赦のない自分の行動に罪悪感が湧き、ちらりと相手の顔を伺ってみる。

 エイダンの顔は汗をかきながら、しなしなと萎れてしまっていた。湿りながら、枯れることができるなんて器用なやつだな。申し訳ない気持ちと、元々これは俺の水だろうとも思う。

 一瞬の間をおいて、彼は何を思いついたのか、さっと席を立った。給湯室のシンクへ行き、バルブを全開に回し蛇口から水を直飲みしだす。
 少しして辛さが落ち着いたのか、ふぅ、と肩を落としながら席に戻ってきた。

 「、、、ごめん。」

 「俺も大人気なかった、、。やっぱりキッチンからグラスを取ってきた方がいいかもしれないな。俺もこのカップじゃ、すぐ水を飲み干してしまうから一緒に行こう。」

 「うん、、。」

 しょぼくれ顔でエイダンが着いてくる。
 熊のような男がそんな顔をしているのをみるとなんだか、頭をわしゃわしゃと撫でてやりたい気持ちになった。威圧感のある見た目をしていて、ずいぶんと愛嬌がある男だ。
 
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