雨のち晴れ

朔羅那弥

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食堂

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葛城と一番近くの食堂へと向かう。

いくつかある食堂の中で、一番学生に優しい値段で提出しているとこでもある。
種類豊富で、量も選べるから、学生に大人気で、常に人で溢れている。

「椎名、何食べるよ?」
「……量が少ないやつ。」
「…、ちゃんと食べなさいよ。体力つかねぇぞ。ただえさえ、細いんだからな。」
「食べる欲求を持ち合わせてない。」
「……、何で生きているんだ?お前は。」
「…可能なら、光合成で生きていけたらいいのにって思ってる。」

そんな会話をしながら、一番量が少なく食べやすい素うどんの食券を買う。
葛城はA定食の大盛りを頼んだようだった。

「…普段から光合成しているような奴がいうなよ。ホントにそれで生きると思われるぞ。」
「俺の理想なんだけど?食う時間を設けるくらいなら、研究をしたいし。いいところまで来ている気がするし。」

食券を元に、素うどんを受け取る。
A定食を受け取った葛城と一緒に、
近くの席に座り、食べ始める。

-この時間だって惜しいくらいなんだよな。

「まぁ、確かにいいとこまで来たよな。フェロモンまで抑えられる抑制剤が出来れば、Ωの社会進出は確実進むからな。」
「そうだろ?発情期に振り回されずに生活ができる。α、βにも迷惑をかけずに済む。」
「α至上主義の奴らからは反感を買うけどな。」
「Ωに自主性はいらないってか。そんなのはペットと一緒だろ。それにΩはただのα製造機ではない。歴とした一人間だろ?」
「βの俺からしたら、どうも感じないけど、
一部のα、Ωの思考には根強く残っているし、あとあれだろ?"運命の番"に憧れているんだろ?」
「"運命の番"なんて、都市伝説だろ。おとぎ話と一緒だろ?」
「まぁ、眉唾物だしな。会っただけで、分かるとか?フェロモンが違うとかな。それが分かったなら、誰も苦労しないよな。」
「それに、Ωにとっては一生のことだ。いつ現れるか分からない"運命の番"よりも、相思相愛の相手と結ばれる方がいいと思うぞ。」
「椎名って、意外とロマンチストだよな。」
「うるさい!早く食え。先に研究室にいくぞ!」
「分かったって!飯くらいゆっくり食わせてくれよ」

先に食べ終わった俺に対して、急いでかき込むように食べる葛城。

Ωである俺を偏見を持たずに、接してくれる良い奴なんだよな。

飛び級で大学に入学した俺。
好奇な目や嫌悪感な目で見られることが多かった。だから、近づくような奴はいないにも等しかった。

『Ωのくせに、大学?』
『アイツが首席?!色仕掛けでもしたのか?』
等いろいろ言われ続けたもんだ。
少し昔を懐かしんでいると、

「食べた!美味かったな!椎名」

笑顔で話す葛城に、自然と笑ってしまう。

「そうだな。じゃ、そろそろ行くか?」
「おぅよ!」

食べ終わった食器を返却口に持っていき、
さっさと食堂を後にする。
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