10 / 32
顔合わせ
しおりを挟む
仕事場で、データと実用化に向けての試験薬の試作をやっていると、電話がなる。
「はい、晴好雨奇研究所の椎名です。」
「椎名君?今、僕の学科長室に来れる?」
「はい?今、商談中では?」
「そうそう。その商談に、君のとこのデータと説明が必要なんだー。僕だけじゃ、足りないからさー。」
軽く伝えてくる教授。
「データはわかりますが、説明は教授の方が上手でしょうが。大学教授が何言ってるんですか。」
「意地悪言わないでよー。椎名君…。
この商談は、会社の有益にもなるかもだし、顔合わせってことで来てよー。」
「単に、お世話になってる人の孫だから、無下に出来なくて困ってるだけでしょ。嫌なら嫌って断ってください。」
「最初はそう思ってたんだけど……。」
「また、面白いかもって、思ったとこですか?」
「アハハ」
「笑って誤魔化さないください。そのせいで、案件増えてるんですよ!分かってます?時間が足りないですよ?」
教授は自分が面白いと思ってしまうとやってみたくなるタイプだ。
「だってさ、治験にも協力してくれるらしいし、また違うデータがあるのとないのでは違うしさ。」
教授の気持ちもわかる。いろいろなデータが入るなら、今後の研究に繋がる……。
頭をフル回転して、返事をする。
「わかりました。今、データを持っていきます。学科長室ですね。」
「さすが!椎名君。待ってるよ!」
電話を切り、必要だと思われるデータを印刷する。
「葛城、教授のとこへ行ってくる。」
「了解ー。相変わらず、振り回す人だな。」
「ホントにな。なるべく会いたくなかったんだけどな。」
「うん?あぁ、商談相手、αだっけ?わかるのか?」
「いや、何となくしかわかんないけどな。感覚的なとこがあるし、どっちかというと教授が分かるみたいだから、危険だと判断した時は絶対呼ばないからな。」
「さすがだな。でも、気をつけろよ?いくら、その体質だとしてもお前の見た目だとΩと判断されやすいし。」
「分かってるよ。」
とりあえず印刷したものを持ち、学科長室へと向かう。
数分で着いてしまったが、いつものように入る。
「失礼します。晴好雨奇研究所の椎名です。」
扉を開けて、そこにいたのは教授とテーブルを挟んで、いかにもαっていう人が2人座っていた。
その一人に何故か見つめられる。
おかしな格好でもしていたか?なんて考えていると、
「椎名君、ありがとう。わざわざすまないね。こっちに来て、説明を。」
教授の言葉にハッとして、すぐ仕事モードへと切り替える。
「分かりました。教授。」
教授の隣へと座り、目の前の2人に説明を始める。
印刷したデータを2人の目の前に置く。
高そうなスーツを着て、いかにも若社長的な感じの人はまだ何か考えことをしているのかボッーとしていた。
クールな印象を持つ、多分秘書的な人は差し出した用紙に目を通している。
-このまま始めていいのか?
戸惑いつつ、説明を始める。
「このデータは、副作用のない抑制剤の試作品を実際に使用した期間、人数、副作用の有無の割合を簡潔にまとめたものです。」
「副作用がやはり出る方はいるんですね。この数値だと少ない方では?」
「いろいろ試して、調合したものですし、何万回も試作して出来たものの数値ですし、やはりまだ副作用が出てしまうところはあります。」
秘書らしき人とやり取りをするも、まだ話に関わろうとしない若社長的な人。
その態度に、秘書らしき人が気づいて、声をかける。
「副社長?」
その声にやっと気づいたようだった。
「すみません、ボッーとしていました。」
疲れているのかと思い、
「お疲れですか?説明でしたら、いつでも出来るので、後日にしますか?」
問いかける。
「いえ、大丈夫です。せっかくお越し頂いたので、ちゃんと聞きたいです。」
さっきの雰囲気とは違い、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。
真面目な人だと思いつつ、データを元に説明を続ける。
この時は何も感じていなかったこの人、
神宮寺明と深く関わっていくようになるとは思わなかった……。
「はい、晴好雨奇研究所の椎名です。」
「椎名君?今、僕の学科長室に来れる?」
「はい?今、商談中では?」
「そうそう。その商談に、君のとこのデータと説明が必要なんだー。僕だけじゃ、足りないからさー。」
軽く伝えてくる教授。
「データはわかりますが、説明は教授の方が上手でしょうが。大学教授が何言ってるんですか。」
「意地悪言わないでよー。椎名君…。
この商談は、会社の有益にもなるかもだし、顔合わせってことで来てよー。」
「単に、お世話になってる人の孫だから、無下に出来なくて困ってるだけでしょ。嫌なら嫌って断ってください。」
「最初はそう思ってたんだけど……。」
「また、面白いかもって、思ったとこですか?」
「アハハ」
「笑って誤魔化さないください。そのせいで、案件増えてるんですよ!分かってます?時間が足りないですよ?」
教授は自分が面白いと思ってしまうとやってみたくなるタイプだ。
「だってさ、治験にも協力してくれるらしいし、また違うデータがあるのとないのでは違うしさ。」
教授の気持ちもわかる。いろいろなデータが入るなら、今後の研究に繋がる……。
頭をフル回転して、返事をする。
「わかりました。今、データを持っていきます。学科長室ですね。」
「さすが!椎名君。待ってるよ!」
電話を切り、必要だと思われるデータを印刷する。
「葛城、教授のとこへ行ってくる。」
「了解ー。相変わらず、振り回す人だな。」
「ホントにな。なるべく会いたくなかったんだけどな。」
「うん?あぁ、商談相手、αだっけ?わかるのか?」
「いや、何となくしかわかんないけどな。感覚的なとこがあるし、どっちかというと教授が分かるみたいだから、危険だと判断した時は絶対呼ばないからな。」
「さすがだな。でも、気をつけろよ?いくら、その体質だとしてもお前の見た目だとΩと判断されやすいし。」
「分かってるよ。」
とりあえず印刷したものを持ち、学科長室へと向かう。
数分で着いてしまったが、いつものように入る。
「失礼します。晴好雨奇研究所の椎名です。」
扉を開けて、そこにいたのは教授とテーブルを挟んで、いかにもαっていう人が2人座っていた。
その一人に何故か見つめられる。
おかしな格好でもしていたか?なんて考えていると、
「椎名君、ありがとう。わざわざすまないね。こっちに来て、説明を。」
教授の言葉にハッとして、すぐ仕事モードへと切り替える。
「分かりました。教授。」
教授の隣へと座り、目の前の2人に説明を始める。
印刷したデータを2人の目の前に置く。
高そうなスーツを着て、いかにも若社長的な感じの人はまだ何か考えことをしているのかボッーとしていた。
クールな印象を持つ、多分秘書的な人は差し出した用紙に目を通している。
-このまま始めていいのか?
戸惑いつつ、説明を始める。
「このデータは、副作用のない抑制剤の試作品を実際に使用した期間、人数、副作用の有無の割合を簡潔にまとめたものです。」
「副作用がやはり出る方はいるんですね。この数値だと少ない方では?」
「いろいろ試して、調合したものですし、何万回も試作して出来たものの数値ですし、やはりまだ副作用が出てしまうところはあります。」
秘書らしき人とやり取りをするも、まだ話に関わろうとしない若社長的な人。
その態度に、秘書らしき人が気づいて、声をかける。
「副社長?」
その声にやっと気づいたようだった。
「すみません、ボッーとしていました。」
疲れているのかと思い、
「お疲れですか?説明でしたら、いつでも出来るので、後日にしますか?」
問いかける。
「いえ、大丈夫です。せっかくお越し頂いたので、ちゃんと聞きたいです。」
さっきの雰囲気とは違い、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。
真面目な人だと思いつつ、データを元に説明を続ける。
この時は何も感じていなかったこの人、
神宮寺明と深く関わっていくようになるとは思わなかった……。
32
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる