雨のち晴れ

朔羅那弥

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顔合わせ

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仕事場で、データと実用化に向けての試験薬の試作をやっていると、電話がなる。

「はい、晴好雨奇研究所の椎名です。」
「椎名君?今、僕の学科長室に来れる?」
「はい?今、商談中では?」
「そうそう。その商談に、君のとこのデータと説明が必要なんだー。僕だけじゃ、足りないからさー。」

軽く伝えてくる教授。

「データはわかりますが、説明は教授の方が上手でしょうが。大学教授が何言ってるんですか。」
「意地悪言わないでよー。椎名君…。
この商談は、会社の有益にもなるかもだし、顔合わせってことで来てよー。」
「単に、お世話になってる人の孫だから、無下に出来なくて困ってるだけでしょ。嫌なら嫌って断ってください。」
「最初はそう思ってたんだけど……。」
「また、面白いかもって、思ったとこですか?」
「アハハ」
「笑って誤魔化さないください。そのせいで、案件増えてるんですよ!分かってます?時間が足りないですよ?」

教授は自分が面白いと思ってしまうとやってみたくなるタイプだ。

「だってさ、治験にも協力してくれるらしいし、また違うデータがあるのとないのでは違うしさ。」

教授の気持ちもわかる。いろいろなデータが入るなら、今後の研究に繋がる……。
頭をフル回転して、返事をする。

「わかりました。今、データを持っていきます。学科長室ですね。」
「さすが!椎名君。待ってるよ!」

電話を切り、必要だと思われるデータを印刷する。

「葛城、教授のとこへ行ってくる。」
「了解ー。相変わらず、振り回す人だな。」
「ホントにな。なるべく会いたくなかったんだけどな。」
「うん?あぁ、商談相手、αだっけ?わかるのか?」
「いや、何となくしかわかんないけどな。感覚的なとこがあるし、どっちかというと教授が分かるみたいだから、危険だと判断した時は絶対呼ばないからな。」
「さすがだな。でも、気をつけろよ?いくら、その体質だとしてもお前の見た目だとΩと判断されやすいし。」
「分かってるよ。」

とりあえず印刷したものを持ち、学科長室へと向かう。

数分で着いてしまったが、いつものように入る。

「失礼します。晴好雨奇研究所の椎名です。」

扉を開けて、そこにいたのは教授とテーブルを挟んで、いかにもαっていう人が2人座っていた。

その一人に何故か見つめられる。
おかしな格好でもしていたか?なんて考えていると、

「椎名君、ありがとう。わざわざすまないね。こっちに来て、説明を。」

教授の言葉にハッとして、すぐ仕事モードへと切り替える。

「分かりました。教授。」

教授の隣へと座り、目の前の2人に説明を始める。

印刷したデータを2人の目の前に置く。
高そうなスーツを着て、いかにも若社長的な感じの人はまだ何か考えことをしているのかボッーとしていた。
クールな印象を持つ、多分秘書的な人は差し出した用紙に目を通している。

-このまま始めていいのか?

戸惑いつつ、説明を始める。

「このデータは、副作用のない抑制剤の試作品を実際に使用した期間、人数、副作用の有無の割合を簡潔にまとめたものです。」
「副作用がやはり出る方はいるんですね。この数値だと少ない方では?」
「いろいろ試して、調合したものですし、何万回も試作して出来たものの数値ですし、やはりまだ副作用が出てしまうところはあります。」

秘書らしき人とやり取りをするも、まだ話に関わろうとしない若社長的な人。
その態度に、秘書らしき人が気づいて、声をかける。

「副社長?」

その声にやっと気づいたようだった。

「すみません、ボッーとしていました。」

疲れているのかと思い、

「お疲れですか?説明でしたら、いつでも出来るので、後日にしますか?」

問いかける。

「いえ、大丈夫です。せっかくお越し頂いたので、ちゃんと聞きたいです。」

さっきの雰囲気とは違い、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。

真面目な人だと思いつつ、データを元に説明を続ける。

この時は何も感じていなかったこの人、
神宮寺明と深く関わっていくようになるとは思わなかった……。
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