雨のち晴れ

朔羅那弥

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また今度

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大学、研究所のデータを説明し終わる

-何とか、説明できたか……。

人に説明するのが苦手なんだよなぁと漠然と思っていると、  

「やはり、凄いですね。これだけの研究成果は他にはないですね。少し舐めていたとこがありました。」

若社長的な人、神宮寺さんが尊敬したように伝えてくる。それに頷く秘書らしき人、小鳥遊さん。

「私共が考えているα専用抑制剤はどう思われますか?」

神宮寺さんに問われる。正直な感想を伝える。

「Ωの抑制剤を応用すれば、作れるとは思います。」
「では!「ですが、利益を得るには難しいと思います。」
「えっ……」

神宮寺さんの話を遮るように伝えた。

「αの方々に抑制剤を使うことに対しての理解が少ないです。Ωにとっては、抑制剤があるからこそ、普通の生活が送れますし、自分を守るためのものです。これは私個人の意見ですが、αの方々は抑制剤を使うにメリットを感じないから、今現在も普及に至らないのでは無いでしょうか。Ωにとっては一生のことを、αの方々は違う。番事故が起きた際は、いつも責められるのΩが多い。簡単に言えば、α側は被害者に常になれるんですよ。その主張はΩと違いって受け入れてもらいやすい。そんな中で、α用の抑制剤を作ったところでどうですか?また治験になった際に、積極的に協力してくれる方はいますか?」

目の前の二人は口ごもっていた。

俺が言ったことは多分教授も伝えてはいるだろうが、α側に協力してくれるとは思わなかった。

大学も病院でも、αだと思われる人間は時に傲慢さを出す。自分は優秀だということを鼻にかける。全員がそうでは無いが、自慢することで自分を保っているだろう。

商談は失敗に終わるか?と思い、教授に話しかけようとしたら、

「では、我々が、αの方々に抑制剤を使っていただけるように対策を考えたり、治験に賛同してもらえる人々を集めることが出来たらどうでしょうか。」

「はっい?何と?」

神宮寺さんの言葉に、今度はこっちが言葉を失う。そんな俺を見て笑う教授。

「ちょっ、教授!!」
「アハハ、椎名君のそんな顔が見れるとは貴重だな!」

そんな俺らを他所に、神宮寺さんはグイグイとせめてくる。

「心配されている点を改善さえすれば、やっていただけますか?」

αでもある彼に強く来れると否定しにくい。

「……それがクリア出来るのでは、考えます。…別に作らないとは言ってないので……。」
「では、今回の問題点を社に持ち帰って、必ずクリアしてみせます!」
 
爽やかな笑顔で押しが強い神宮寺さんに、困惑してしまう。

「副社長、押しが強いです。椎名さんが困ってらっしゃいます。」
「これは、失礼しました。」
「和泉さんにやっぱり似てるな。突っ走るとこは。」

ニコニコと穏やか口調の教授。
この数分でどっと疲れた気がする。

「副社長が言った通り、一度持ち帰って検討してきます。改善策等が見つかり次第、また連絡させていただきます。」
「わかりました。アポの方は私の方で頼むよ。椎名君は今別件の方が忙しいからね。」
「かしこまりました。では、本日はここまでということで。時間を取っていただきありがとうございました。」

小鳥遊さんが淡々と進めていき、
今日の商談はお開きとなった。

帰り際、資料をまとめていた俺に
神宮寺さんが近寄ってくる。
ドキッとしつつも、何事も無いように
作業を続けると、

「椎名さんの研究所にも、訪ねることは出来ますか?」

爽やかに聞いてくる。正直、あまり会いたくないが、これも仕事……。と割り切り、

「…今月は厳しいですが、来月でしたら比較的時間は取れるので、研究所の方に連絡して頂ければ。」

失礼がないように伝える。

「では、名刺を頂いても?」

と胡散臭い顔で言うものだから、ゆっくりとポケットから名刺を出す。

出来れば関わりたくないが……。

「ありがとうございます。また、連絡します」

と颯爽に出ていった。その後を俺に軽くお辞儀をして出ていく小鳥遊さんを見送った。

「椎名君、神宮寺さんに惚れられたのかもね」
「まさか。ああいう人達は周りがほっとかないでしょ。俺には役不足です。」
「そうかな?…まぁ、きっとそのうち分かるかな」

何か言いたそうな教授を他所に片付けたものを持ち、研究所に戻ることにした。

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