雨のち晴れ

朔羅那弥

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試作品が完成し、試作品とそのデータを治験をしてくれる大学病院と製薬会社に送る準備を進める。

「田中君、このデータをまとめて保管しといてくれる?データの保管場所は1ヶ所にしないようにね。」
「はい!もちろんです。」

真面目な田中君に再度データ管理を任せる。

「大学病院とA社製薬会社にも、了承の返事と書類も届いたぞ。」
「ありがとう、葛城。いつものとこで保管を。」
「了解。どっちも早く試したいみたいだな。安心安全の晴好雨奇製ですから」
「まだまだだけどな」
「えー!めっちゃ評判いいじゃないですか!俺の周りでも人気ですよ!」
「製品になってるのはまだ数種類だし、まだまだ副作用がでてしまうし。」
「ホント、意識高いですよね。椎名さん。」
「昔から完璧主義だからなー。」
「大事なことだろ!副作用は体に負担かかるんだからな!」
「そこまで、考えている人は少ないってことですよ。」
「そうか?普通だと思うけど。」

社員と会話しながら、準備を終える。

「これで良し。治験も早く進むといいけどね。」
「これがまた誰かのためになるんだしな。」
「大丈夫ですよ!晴好雨奇製ですもん。」

無事に治験が進むことを祈る。

「あっ!教授のとこに行くの、忘れてた…」
「今、気づいたのか?データだけなら、送ってあるし、大丈夫じゃね?」
「なら、いいんだけど。」
「教授が単に椎名さんに会いたいだけですよ。椎名さん大好き人間ですから。教授は。」
「確かに椎名大好き人間だわ」
「うぅぅぅ」
「俺の代では有名ですよ。仙城教授の椎名さん大好き話。自分の講義で、椎名さんの話をする定番ですよ。」
「やめろって言っても、止めないのが教授だしな。」
「だから、大学に行きたくないんだ!」

今日の仕事を終わらせて、三人一緒に出ていく。

「せっかく一緒に終わったんだから、飲みにいく?」  

葛城が提案してくる。

「すみません!今日、デートなんで!」
「いつの間に、作ったんだよ!羨ましいぞ!じゃ、またな。田中」
「はい!また誘ってください!」
「田中君は充実した日々を送ってるようだね。」
「いいね。若いってもんだ。二人で行く?」
「そうだな。いいかもな。」

なんて、雑談しながら歩いていると、
 
「椎名さん!」

自分の名前を呼ばれ、振り向くと、

「…神宮寺さん。」
「良かった!間に合って。」

神宮寺さんが大学の門扉で待っていた。
戸惑っている俺に、葛城が

「この人が例の副社長??なるほどな」

と変に納得していた。

「何か御用ですか?今日はもう仕事は終了しているのですが。」
「仕事ではなく、プライベートで誘いに来ました。」
「「はっい?」」
「プライベートな誘いなんで、会社に連絡するのは違うと思いまして、直接来ちゃいました。」
「行動力がすげぇな。」
「ところで、そちらの方は?」

俺の隣にずっといる葛城に何か敵対心があるのか、笑顔なのに怖い感じになっていた。

「同僚の葛城です。椎名がお世話になっております。」

軽く挨拶にする葛城。冷静だなと他人事に思っていると

「こちらこそお世話になってます。同僚の方でしたか。」
「椎名とは長い付き合いですから。今日もこれから飲みに行くとこだったんですよ。」
「では、せっかくですし、一緒に行ってもいいでしょうか?」
「俺はかまいませんよ?どうする?椎名」
「えっ?」
「「どうする」でしょうか?」

二人同時に聞いてくる。

この状況、断われるのか…?

「…三人で行きますか。」

笑顔だけど、なんか怖い二人と
何故か飲み会へと繰り出すのだった。
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