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35,殺し合い
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ウェア王国の隣国、ミカビリエの小さな飛行場。小型飛行機を降りた5人は隣接する施設内に移動し、護衛ふたりが窃盗団3人の手錠を外していく。
「もう馬鹿なことを実行しないでくださいね」
「ああ、面倒かけた」
穏やかに戒めるノームにアルトは素直に頭を下げた。
「何度でも言うが、極刑に値する罪なのだぞ!今後はレン様に感謝しながら、真っ当に生きていくんだな!」
「そうだな…あいつのことは忘れないさ」
怒り口調のカンパにも、フッと笑んでうなずく。
「レン様をあいつ呼ばわりするとは無礼者がっ!!」
カンパはかっとして怒鳴る。
「あんたの沸点おかしくねえか?あいつのどこがいいんだ」
「あんな顔がかわいいだけの性格悪いヤツを敬えるかよ」
アルト以外のふたりが口々に文句を垂れる。
「な…な、何だとぉお?!キサマらはやはり極刑に処すべきだ!!」
「イダダダっ?!」
「暴力反対!!」
カンパは手錠を外したばかりの彼らの腕を、再び後ろ手にひねり上げる。
「あはは。もういいよ、カンパ。行こう」
見兼ねたノームが軽く笑って、怒る同期をたしなめる。彼ら窃盗団の送還任務はこれで完了。もうお互い干渉せず、彼らは国に帰り、護衛たちは王国に戻るだけだ。
「む…ああ」
カンパは納得出来ないながらも彼らを解放し、背を向けた。
「…」
ノームは小型飛行機の方へ向かうカンパの後に続きながら、アルトを見つめる。やっぱり、蓮と話す時間なんて与えるべきではなかったと思う。彼が蓮に何か出来る訳がなく、慈悲の心くらい見せてやるかと、余裕綽々で許可したけれど。彼が蓮へ好意を抱いたとわかっただけで、まさかこんなにムカつくとは。彼の喉を引き裂いてしまおうか。ゴキリと右手を鳴らす。
「?!」
突然、カンパはゾッとするような殺気を感じ、慌てて振り返る。
「の、ノーム?どうした?」
今の殺気は彼から発せられたものか?カンパは何か不測の事態が起きたのかと、同期にたずねる。
「…何でもないよ」
ノームは覇気をおさめ、変わらぬ様子ではにかんだ。
「ん…レンは不参加か。帰省中か?」
ある日。戦闘訓練のために闘技場にやって来たワンスは広いそこを見回し、蓮の姿がないことに気づく。
「そうだ。だからといって、放棄や命令に背くことは認められない。わかっているな?」
「ふん、どうだかな」
釘を刺す護衛長アラシに、わざとらしく曖昧な返事をする。
「っ!」
「冗談だ」
その態度に警戒するアラシを見て笑い、ワンスは闘技場の中心へ歩いて行く。蓮と会えないことは正直残念だが、彼から与えられた仕事を放棄する気はない。平和ボケしている護衛たちをきっちり鍛えてやろうと思っていた。
数人の護衛たちを床に這いつくばらせた後、ワンスとの訓練は初参加の護衛が彼の前に立つ。
「よろしくお願いします」
と、頭を下げるのはノームだ。
「見ない顔だな。新人か」
「いいえ。あなたたちのおかげでしばらく休みを頂いていました」
「…そうか」
ノームがミカビリエで蓮を奪還した者だとワンスは知らない。金眼保有者の身内か何かで、自分たちが招いた異変の被害者なのだろうと思う。それも間違いではないが。
「あの、反省の弁はないのですか」
他人事かのような反応のワンスに、ノームはおずおずと聞く。
「ふ…うわべの謝罪を聞いてどうする」
「確かに意味ないですけど、少し期待してしまいました」
ワンスは笑みを浮かべ、ノームもはにかむ。
「じゃあ、始めましょうか」
お互い覇気を高め、構えた。
先制したのはノームだった。鋭い蹴りがワンスの太い首を狙う。
「っ!」
ワンスはそれをかろうじて避ける。足先があごをかすめ、それだけで皮膚が切れ血がにじむ。
「あんた、あわよくば殺る気だな…っ」
訓練の手合わせとは思えない、殺意のこもった蹴り。ワンスは間合いをとり、苦笑いする。彼の穏やかな雰囲気に騙されるところだった。金眼保有者の異変の被害者であれば、自分を殺したいほど憎んでいて当然だ。
「あは…っわかります?」
と、ノームは笑う。さっきのはにかみと全く違う、冷淡な笑み。これが本性かとワンスは思う。
「ならば、これでどうだ?」
ワンスは普段閉じている右目をゆっくりと開いた。
「?!」
鈍く光る金色の眼。元々強い覇気が更に強まり、周りの護衛たちはもちろん、ノームも驚く。今まで訓練中に金眼の力を使ったことはなかった。
「俺も、あんたらの内ひとりくらい、殺してもいいと思っている」
「それなら好都合です。ためらいなく殺れますね」
ニヤリと笑うワンスを見返し、ノームもいっそう覇気を高めた。
広い闘技場内に、激しい打撃音がひっきりなしに響く。ノームの蹴りをワンスの腕が受け止め、間も取らずにワンスの拳が顔を狙い、ノームは蹴りの反動でそれを避ける。その一撃一撃がまともにくらえば致命的な威力で、戦闘訓練の域を越えている。
「…!!」
ふたりを見守る護衛たちも、さすがにその異常さに気づく。これは手合わせではなく、殺し合いだ。
「ご、護衛長…!マズくないですか…?」
護衛のひとりがたまりかねてアラシに訴える。金眼保有者の血縁と造られた金眼保有者。戦闘能力が同等なため、決着がつかないだけで、このまま続けたら一瞬でも気を弛めた方が死んでしまう。アラシは覚悟を決めた。
「次、ふたりが離れたら私が止めに入る。念のため、クラウドさんに知らせてくれ」
「はい…っ」
ふたりより戦闘能力の劣るアラシが止めに入っても無駄かもしれないが、そんなことを言ってられない。護衛がクラウドへ助けを求めに走り、アラシはわずかしかないノームとワンスが次の攻撃にうつる瞬間に、ふたりの間に入った。
「ノーム!!やり過ぎだ!!一旦、ひけ…っっ?!!」
ワンスはおろか、ノームもアラシの決死の覚悟などみじんも目に入らなかった。アラシの鍛え上げられているはずの身体が、車に弾かれた石のように吹っ飛ぶ。
「うわぁああああ?!」
「アラシさんっ!!」
周りの護衛たちは叫びながら、床に叩きつけられたアラシにかけ寄る。
「はや、早くクラウドさんをっ!!」
「今、呼びに行っている!」
「シオンさんは?!」
「シオンさんは今日お休みだ!!」
護衛たちは伸びてしまった護衛長を抱え、あたふたする。そこへ、呼びに行った護衛と共に闘技場の扉をぶち開けたのは、待ちかねたクラウドだ。話は聞いているらしく、何も言わずに戦い続けているふたりに歩み寄る。
「おっと…っ!」
「「?!!」」
バァンと破裂するような音をさせ、ノームの足とワンスの拳をクラウドの両腕が止める。余裕で、とはさすがにいかなかったが、ふたり分の力を受け止め、こらえる。
「はいはい、そこまで」
「…あんたか」
「クラウドさん…っ」
クラウドの登場に、鬼気迫る表情だったふたりは我に返り、彼を挟んで間を取る。
「どうした、ノーム。こんなに熱くなるなんて、らしくないぞ?」
クラウドは笑顔でぽんっと後輩の肩を叩く。
「はぁ…っすみません。彼が相手なので、つい…」
「それはわかるけどな。あくまで訓練相手だ。やり過ぎると、せっかくの復帰が台無しになるぞ」
ワンスは彼にとって両親のかたきのようなもの。いくら優秀な彼であっても、我を失うのは仕方がないだろう。それでも、再び道を踏み外してほしくない。言い聞かせながら、息を切らすノームの肩をぐっとつかむ。
「…そうですね」
ノームは汗をぬぐい、うなだれた。
「おい、アラシ!今日はこれで終わりに…」
クラウドはそんな後輩を見てホッと笑み、もう戦闘訓練再開は無理だと判断してアラシの方を見るが
「…っっ」
アラシを抱える護衛たちは半ベソで首を振る。我らが護衛長はしばらく起きそうにないようだ。
「えーと…では、今日の訓練は終了する!お疲れ!!」
「「はい!!」」
クラウドが代わって他の護衛たちにお開きを告げ、彼らは一斉に片付けを始める。
「あんたももういいな?戻れ」
ワンスにも指示し、見張りの護衛たちがさっと彼のそばに来る。
「…ああ」
ワンスは顔の見えないノームを見つめ、乾ききっていないあごの血をぬぐった。
「…」
あと少しだったのに。ノームはうなだれたまま、ギリッと両手をついた膝をつかむ。
「ノーム、大丈夫か?」
クラウドは怪我でもしたのかと、ノームの顔をのぞき込む。
「医務室行くか?調子悪いなら、診てもらった方がいいぞ」
「やだなぁ、大丈夫ですよ。それより、そろそろ離してもらえます?」
「あ、おう。悪い」
にこやかに話すノームに言われ、肩をつかんでいた手をパッと離す。
「クラウドさん!アラシさんを…っ」
「あー、あいつの方が重症か。じゃあな、ノーム。ちゃんと休めよ!」
護衛たちに呼ばれ、クラウドは頭をガリガリかいてから、彼らの方へ走っていく。
「はい」
邪魔しやがって。ノームは返事をした後、クラウドの背を憎々しくにらむ。あと少し、もう1分あれば、奴の腹に風穴を開けられたのに。
「うまくいかないなぁ…」
ひとりごち、ため息をついた。
「もう馬鹿なことを実行しないでくださいね」
「ああ、面倒かけた」
穏やかに戒めるノームにアルトは素直に頭を下げた。
「何度でも言うが、極刑に値する罪なのだぞ!今後はレン様に感謝しながら、真っ当に生きていくんだな!」
「そうだな…あいつのことは忘れないさ」
怒り口調のカンパにも、フッと笑んでうなずく。
「レン様をあいつ呼ばわりするとは無礼者がっ!!」
カンパはかっとして怒鳴る。
「あんたの沸点おかしくねえか?あいつのどこがいいんだ」
「あんな顔がかわいいだけの性格悪いヤツを敬えるかよ」
アルト以外のふたりが口々に文句を垂れる。
「な…な、何だとぉお?!キサマらはやはり極刑に処すべきだ!!」
「イダダダっ?!」
「暴力反対!!」
カンパは手錠を外したばかりの彼らの腕を、再び後ろ手にひねり上げる。
「あはは。もういいよ、カンパ。行こう」
見兼ねたノームが軽く笑って、怒る同期をたしなめる。彼ら窃盗団の送還任務はこれで完了。もうお互い干渉せず、彼らは国に帰り、護衛たちは王国に戻るだけだ。
「む…ああ」
カンパは納得出来ないながらも彼らを解放し、背を向けた。
「…」
ノームは小型飛行機の方へ向かうカンパの後に続きながら、アルトを見つめる。やっぱり、蓮と話す時間なんて与えるべきではなかったと思う。彼が蓮に何か出来る訳がなく、慈悲の心くらい見せてやるかと、余裕綽々で許可したけれど。彼が蓮へ好意を抱いたとわかっただけで、まさかこんなにムカつくとは。彼の喉を引き裂いてしまおうか。ゴキリと右手を鳴らす。
「?!」
突然、カンパはゾッとするような殺気を感じ、慌てて振り返る。
「の、ノーム?どうした?」
今の殺気は彼から発せられたものか?カンパは何か不測の事態が起きたのかと、同期にたずねる。
「…何でもないよ」
ノームは覇気をおさめ、変わらぬ様子ではにかんだ。
「ん…レンは不参加か。帰省中か?」
ある日。戦闘訓練のために闘技場にやって来たワンスは広いそこを見回し、蓮の姿がないことに気づく。
「そうだ。だからといって、放棄や命令に背くことは認められない。わかっているな?」
「ふん、どうだかな」
釘を刺す護衛長アラシに、わざとらしく曖昧な返事をする。
「っ!」
「冗談だ」
その態度に警戒するアラシを見て笑い、ワンスは闘技場の中心へ歩いて行く。蓮と会えないことは正直残念だが、彼から与えられた仕事を放棄する気はない。平和ボケしている護衛たちをきっちり鍛えてやろうと思っていた。
数人の護衛たちを床に這いつくばらせた後、ワンスとの訓練は初参加の護衛が彼の前に立つ。
「よろしくお願いします」
と、頭を下げるのはノームだ。
「見ない顔だな。新人か」
「いいえ。あなたたちのおかげでしばらく休みを頂いていました」
「…そうか」
ノームがミカビリエで蓮を奪還した者だとワンスは知らない。金眼保有者の身内か何かで、自分たちが招いた異変の被害者なのだろうと思う。それも間違いではないが。
「あの、反省の弁はないのですか」
他人事かのような反応のワンスに、ノームはおずおずと聞く。
「ふ…うわべの謝罪を聞いてどうする」
「確かに意味ないですけど、少し期待してしまいました」
ワンスは笑みを浮かべ、ノームもはにかむ。
「じゃあ、始めましょうか」
お互い覇気を高め、構えた。
先制したのはノームだった。鋭い蹴りがワンスの太い首を狙う。
「っ!」
ワンスはそれをかろうじて避ける。足先があごをかすめ、それだけで皮膚が切れ血がにじむ。
「あんた、あわよくば殺る気だな…っ」
訓練の手合わせとは思えない、殺意のこもった蹴り。ワンスは間合いをとり、苦笑いする。彼の穏やかな雰囲気に騙されるところだった。金眼保有者の異変の被害者であれば、自分を殺したいほど憎んでいて当然だ。
「あは…っわかります?」
と、ノームは笑う。さっきのはにかみと全く違う、冷淡な笑み。これが本性かとワンスは思う。
「ならば、これでどうだ?」
ワンスは普段閉じている右目をゆっくりと開いた。
「?!」
鈍く光る金色の眼。元々強い覇気が更に強まり、周りの護衛たちはもちろん、ノームも驚く。今まで訓練中に金眼の力を使ったことはなかった。
「俺も、あんたらの内ひとりくらい、殺してもいいと思っている」
「それなら好都合です。ためらいなく殺れますね」
ニヤリと笑うワンスを見返し、ノームもいっそう覇気を高めた。
広い闘技場内に、激しい打撃音がひっきりなしに響く。ノームの蹴りをワンスの腕が受け止め、間も取らずにワンスの拳が顔を狙い、ノームは蹴りの反動でそれを避ける。その一撃一撃がまともにくらえば致命的な威力で、戦闘訓練の域を越えている。
「…!!」
ふたりを見守る護衛たちも、さすがにその異常さに気づく。これは手合わせではなく、殺し合いだ。
「ご、護衛長…!マズくないですか…?」
護衛のひとりがたまりかねてアラシに訴える。金眼保有者の血縁と造られた金眼保有者。戦闘能力が同等なため、決着がつかないだけで、このまま続けたら一瞬でも気を弛めた方が死んでしまう。アラシは覚悟を決めた。
「次、ふたりが離れたら私が止めに入る。念のため、クラウドさんに知らせてくれ」
「はい…っ」
ふたりより戦闘能力の劣るアラシが止めに入っても無駄かもしれないが、そんなことを言ってられない。護衛がクラウドへ助けを求めに走り、アラシはわずかしかないノームとワンスが次の攻撃にうつる瞬間に、ふたりの間に入った。
「ノーム!!やり過ぎだ!!一旦、ひけ…っっ?!!」
ワンスはおろか、ノームもアラシの決死の覚悟などみじんも目に入らなかった。アラシの鍛え上げられているはずの身体が、車に弾かれた石のように吹っ飛ぶ。
「うわぁああああ?!」
「アラシさんっ!!」
周りの護衛たちは叫びながら、床に叩きつけられたアラシにかけ寄る。
「はや、早くクラウドさんをっ!!」
「今、呼びに行っている!」
「シオンさんは?!」
「シオンさんは今日お休みだ!!」
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「おっと…っ!」
「「?!!」」
バァンと破裂するような音をさせ、ノームの足とワンスの拳をクラウドの両腕が止める。余裕で、とはさすがにいかなかったが、ふたり分の力を受け止め、こらえる。
「はいはい、そこまで」
「…あんたか」
「クラウドさん…っ」
クラウドの登場に、鬼気迫る表情だったふたりは我に返り、彼を挟んで間を取る。
「どうした、ノーム。こんなに熱くなるなんて、らしくないぞ?」
クラウドは笑顔でぽんっと後輩の肩を叩く。
「はぁ…っすみません。彼が相手なので、つい…」
「それはわかるけどな。あくまで訓練相手だ。やり過ぎると、せっかくの復帰が台無しになるぞ」
ワンスは彼にとって両親のかたきのようなもの。いくら優秀な彼であっても、我を失うのは仕方がないだろう。それでも、再び道を踏み外してほしくない。言い聞かせながら、息を切らすノームの肩をぐっとつかむ。
「…そうですね」
ノームは汗をぬぐい、うなだれた。
「おい、アラシ!今日はこれで終わりに…」
クラウドはそんな後輩を見てホッと笑み、もう戦闘訓練再開は無理だと判断してアラシの方を見るが
「…っっ」
アラシを抱える護衛たちは半ベソで首を振る。我らが護衛長はしばらく起きそうにないようだ。
「えーと…では、今日の訓練は終了する!お疲れ!!」
「「はい!!」」
クラウドが代わって他の護衛たちにお開きを告げ、彼らは一斉に片付けを始める。
「あんたももういいな?戻れ」
ワンスにも指示し、見張りの護衛たちがさっと彼のそばに来る。
「…ああ」
ワンスは顔の見えないノームを見つめ、乾ききっていないあごの血をぬぐった。
「…」
あと少しだったのに。ノームはうなだれたまま、ギリッと両手をついた膝をつかむ。
「ノーム、大丈夫か?」
クラウドは怪我でもしたのかと、ノームの顔をのぞき込む。
「医務室行くか?調子悪いなら、診てもらった方がいいぞ」
「やだなぁ、大丈夫ですよ。それより、そろそろ離してもらえます?」
「あ、おう。悪い」
にこやかに話すノームに言われ、肩をつかんでいた手をパッと離す。
「クラウドさん!アラシさんを…っ」
「あー、あいつの方が重症か。じゃあな、ノーム。ちゃんと休めよ!」
護衛たちに呼ばれ、クラウドは頭をガリガリかいてから、彼らの方へ走っていく。
「はい」
邪魔しやがって。ノームは返事をした後、クラウドの背を憎々しくにらむ。あと少し、もう1分あれば、奴の腹に風穴を開けられたのに。
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