独白

Beroe

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独白

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私もかつてはそこにいたのだ。
カーテンコールが止む直前、私はそんなことを考えていた。嫉妬。確かにこれは嫉妬だ。心のうちに広がる感情をどうにか抑えこもうと、急いで客観的になる。でも、どうやっても引き摺られてしまう。
もうこのまま身を任せてしまおうか。
そう思うと少しずつ楽になってきた。

流れる音楽。揺れる照明。
観客は見えていない。
観客などいない。
さっきまで、あんなに緊張していたくせに。
いま、私が見ているのは。
並んだ机。
椅子、隣のクラス。
夏の日差しに照らされた校舎。
廊下。校庭、自転車置き場。
黒板、今日の日直。
夕焼けに染まる帰り道。
お揃いのキーホルダー。
愛しい彼。
それから、私の心。

馬鹿ね。心が見えてしまっては、その人にはなれないのに。私は私になりきれなかった。だから、私は舞台でひとりきりだった。
拍手が遠く聞こえた。
逃げるように舞台を下りた。

しんとした教室が蘇る。鮮明だ。
机、椅子、教壇、黒板。
テレビ、窓、柱。
人の声。
帰る人の声だっただろうか。
そういえば自転車置き場の近くだった。
今年ついたばかりのエアコン。
ひとりのときは、それを無視していた。
寒い教室でブレザーを脱ぐ。
震えながら髪を結ぶ。
腕まくりをして、背筋を伸ばした。
すぅっと深く息をした。
寒さは、どこかへ消えていた。

今は。
いまは、

今は、もう。

カーテンコールが止むと、涙が頰を伝った。
ほんの一滴だったが、それが涙であるとわかっていた。心が動かされる、なんて。そんな緩やかなものじゃなかった。
激しい嫉妬と諦め、後悔、震え。
あの日の照明のように、私を。
まっすぐに、突き刺す。
舞台の上で死んでしまえたら。
本気で思っていた。
刺し殺してほしかった。

暗転。

目をつぶった。
そして、確かに。

私は諦めたのだ。

かつてそこにいた私はもう。
死んでしまったのだ、

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