オネエな幼馴染と男嫌いな私

麻竹

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次の日、兄の言った通り、ヴィヴィアーナ達は馬に乗って遠出をしていた。
騎士であるジュリアスと、子供の頃から乗馬を嗜んでいたストラウスは慣れた手つきで馬を操り目的地に向かっていた。

その横を、颯爽と通り過ぎる白馬が一匹。

バビュンと音が聞こえてきそうな勢いで横を通り過ぎていった姿に、男二人は目を見開く。

「うふふ、遅いわよ二人共!」

そして聞こえてきた楽しそうな声にベテラン騎手達は互いに顔を向き合わせると、我先にと白馬を追いかけて行ったのであった。

「ヴィヴィ、少しペースダウンして、目的地に辿り着く前に馬がバテてしまうよ!」

真っ白い馬体に、白金の長い髪を靡かせる妹を追いかけながらストラウスが注意する。
その言葉にヴィヴィアーナは愛馬を見下ろすと、慌ててペースダウンさせたのであった。

「全く、はしゃぎ過ぎだよヴィヴィ。」

「うふふ、ごめんなさい。」

久しぶりの乗馬に、つい嬉しくなってしまっていたヴィヴィアーナは、舌を出しながら謝罪してきた。
その可愛らしい姿に、ストラウスの頬は緩みっぱなしだ。
そこへ、少し遅れてジュリアスが辿り着くと、途端にヴィヴィアーナの表情は固いものへと変わってしまったのであった。

「とんだじゃじゃ馬ね~。いきなり全力疾走させちゃ、馬が可哀相だわ。」

案の定、ジュリアスからそんな嫌味が飛んでくる。
言い返せない図星に、ヴィヴィアーナは歯軋りしながらジュリアスを睨み返した。
妹と幼馴染の間に挟まれたストラウスは、目の前でバチバチと弾ける火花に苦笑する。

「まあ、まあ、二人共。そろそろ丘に辿り着く頃だよ。そこに着いたらランチにしよう。」

「丘の上でのランチ素敵ね♪お兄様、わたくしこの為にお気に入りのシートを持ってきたの。」

「そうか、それは楽しみだね。」

ヴィヴィアーナの嬉しそうな笑顔に、ストラウスはホッとしながら笑顔を向けてくる。

「そうでしょ!じゃあわたくし、先に行ってシートを敷いておきますわ!」

「あっ、ヴィヴィ!!」

ヴィヴィアーナはそう言うと、嬉しそうに愛馬と共に丘へと向かって走って行ってしまったのであった。
その様子を苦笑しながら見守る兄と、呆れた顔をする婚約者。
男二人は二言三言交わした後に、ヴィヴィアーナの後を追いかけ丘へと向かって行ったのであった。
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