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第一章【出会い編】
28.おつかいの途中ですが観光に付き合わされてます
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「小麦ばかりで何も無いって言われたからなぁ。」
数刻後、マクレーンとアランは長閑なあぜ道を歩いていた。
あぜ道と言っても馬車が通れるほどの広さがあるその道は舗装されておらずでこぼこ道が続いていた。
見渡す限りの小麦畑に所々現れるレンガ造りの家。
ここイーストウインでは小麦粉が特産品と言われるだけあって辺り一面気持ち良いくらいに小麦畑が続いていた。
そしてぽつりぽつりと現れる家の屋根には必ずと言っていい程風車がついている。
これは小麦を引くための臼に繋がっておりどの家庭にもあるらしい。
そして穏やかなイーストウインには風が一年中吹いている。
どういわけかある一定の高さから上は風の流れが違うそうなのだ。
簡単に言えば人々が生活する高さでは穏やかな風が吹き。
それより上は強い風が絶え間なく吹いているというのだ。
この奇妙な気候はこの大地を統治する緑の魔女の影響と言われている。
緑の魔女が司るのは――風。
魔女の力でこの二層の風ができているのだと言われていた。
そのお陰で絶えず風車が動き小麦粉を作る事ができるのだそうだ。
そしてもうひとつ特徴なのが、各家の敷地には必ずと言っていいほど牛が飼われていた。
なんでもパン作りには欠かせないらしい。
確かにパンを作るには小麦粉だけではなくバターや牛乳が必要だ。
ここの住人達のほとんどはパンが主食だった。
その為、各家ではパンを作るための素材は自給自足が当たり前だった。
しかも家毎にパン作りの伝統がありその配合も各家で違うらしい。
そこまでパンにこだわりを持つ国は世界広しといえどもイーストウインを除いて他にないと言われている程だ。
マクレーンは風車のついた屋根を見上げながら「あれが小麦粉を挽く風車か」と感嘆の声を上げていた。
「ああ、あれは一般家庭用の小さいやつらしいな。」
これから見に行くのはもっと大きなヤツらしいぞ~、と隣を歩くアランがそう言ってきた。
あれからアランが観光できる場所を聞いてきてくれたのだが。
小麦畑だらけのこの街には観光らしい場所はないよと言われたそうだ。
残念そうにしているアランを不憫に思ったパン屋の店主が「それなら世界一の大風車を見に行かないか?」と提案してくれたらしい。
それを聞いたアランは大喜びで教えに来てくれた。
多少罪悪感はあったものの、せっかくの観光だと気持ちを切り替え今日泊まる宿にチェックインを済ませ、こうして一緒に目的地まで歩いているわけなのであった。
「地図によるともう着く頃なんだけどなぁ~。」
アランは宿屋で貰った地図を広げながら辺りを見回す。
あぜ道の続く小麦畑の先――ひときわ目立つ色の風車小屋が見えてきた。
「あれじゃないかな?」
地平線の向こうに見える風車小屋を指差しアランが言う。
「そうみたいですねぇ。」
マクレーンもまたドールハウスのような色彩の風車小屋を見ながら頷いた。
ここからだとよくわからないが大きさはそれ程ではないんじゃないか?というのがマクレーン達の感想だった。
しかし――。
近づくにつれそれがかなり離れた場所にある事がわかった。
風車小屋を見つけてから優に10分以上は経過しているのだが、風車に続く道はまだまだ先があった。
丁度一軒家くらいの大きさに見えているというのにこの距離。
もしかして僕達とんでもないものを目指してるんじゃないかな?
と一抹の不安が芽生えた。
そして更に20分後……。
「よ、ようやく辿り着きましたね……。」
「……ああ。」
目の前に聳える建物にアランは短く返事を返す。
マクレーンとアランの見上げる視線の先――。
高く高く聳え立つ巨大な風車小屋があった。
それはもう……。
お城か!?
と言えるほどのその規模の大きさにさすがのアランも言葉が出ない様子だ。
しかも先程遠目から見た通りにその風車小屋は目立っていた。
白と思っていた壁の色は淡いピンクで塗りたくられている。
そして塔の天辺には存在を主張するかのごとく大きな風車がついていた。
しかもドピンク。
どこぞのお姫様でも住んでいるのかと言いたくなるようなファンシーなその色彩にマクレーンの頬が引き攣る。
こんな乙女チックなものを好むなんて……あの人しかいない!!
マクレーンはこの風車の持ち主に思い当たる節があり過ぎて一人がくがくと震えていた。
「マクレーンどうしたんだ、具合でも悪くなったのか?」
真っ青な顔をして小刻みに震えだしたマクレーンにアランが驚く。
「だ、大丈夫です!そ、それよりもう風車は見たので宿に帰りましょう!!」
マクレーンは誤魔化すようにそう言うと来た道を戻ろうと踵を返す。
「え?お、おいまだ来たばかりだぞ!?中見ていかないのか?」
「いいんです!さあアランさん帰りますよ!」
引き止めようとしたアランの背中をぐいぐい押しながら、マクレーンは慌てるように、この場を後にした。
その時、急いで宿に帰るマクレーン達を見ていた人物がいた。
「あら、あれは……。」
ふんわりとした若草色のロングワンピースに栗色の長い髪の毛を三つ編みで束ねた女性の後姿が、マクレーン達を見ながら、ぽつりと呟く姿があった。
数刻後、マクレーンとアランは長閑なあぜ道を歩いていた。
あぜ道と言っても馬車が通れるほどの広さがあるその道は舗装されておらずでこぼこ道が続いていた。
見渡す限りの小麦畑に所々現れるレンガ造りの家。
ここイーストウインでは小麦粉が特産品と言われるだけあって辺り一面気持ち良いくらいに小麦畑が続いていた。
そしてぽつりぽつりと現れる家の屋根には必ずと言っていい程風車がついている。
これは小麦を引くための臼に繋がっておりどの家庭にもあるらしい。
そして穏やかなイーストウインには風が一年中吹いている。
どういわけかある一定の高さから上は風の流れが違うそうなのだ。
簡単に言えば人々が生活する高さでは穏やかな風が吹き。
それより上は強い風が絶え間なく吹いているというのだ。
この奇妙な気候はこの大地を統治する緑の魔女の影響と言われている。
緑の魔女が司るのは――風。
魔女の力でこの二層の風ができているのだと言われていた。
そのお陰で絶えず風車が動き小麦粉を作る事ができるのだそうだ。
そしてもうひとつ特徴なのが、各家の敷地には必ずと言っていいほど牛が飼われていた。
なんでもパン作りには欠かせないらしい。
確かにパンを作るには小麦粉だけではなくバターや牛乳が必要だ。
ここの住人達のほとんどはパンが主食だった。
その為、各家ではパンを作るための素材は自給自足が当たり前だった。
しかも家毎にパン作りの伝統がありその配合も各家で違うらしい。
そこまでパンにこだわりを持つ国は世界広しといえどもイーストウインを除いて他にないと言われている程だ。
マクレーンは風車のついた屋根を見上げながら「あれが小麦粉を挽く風車か」と感嘆の声を上げていた。
「ああ、あれは一般家庭用の小さいやつらしいな。」
これから見に行くのはもっと大きなヤツらしいぞ~、と隣を歩くアランがそう言ってきた。
あれからアランが観光できる場所を聞いてきてくれたのだが。
小麦畑だらけのこの街には観光らしい場所はないよと言われたそうだ。
残念そうにしているアランを不憫に思ったパン屋の店主が「それなら世界一の大風車を見に行かないか?」と提案してくれたらしい。
それを聞いたアランは大喜びで教えに来てくれた。
多少罪悪感はあったものの、せっかくの観光だと気持ちを切り替え今日泊まる宿にチェックインを済ませ、こうして一緒に目的地まで歩いているわけなのであった。
「地図によるともう着く頃なんだけどなぁ~。」
アランは宿屋で貰った地図を広げながら辺りを見回す。
あぜ道の続く小麦畑の先――ひときわ目立つ色の風車小屋が見えてきた。
「あれじゃないかな?」
地平線の向こうに見える風車小屋を指差しアランが言う。
「そうみたいですねぇ。」
マクレーンもまたドールハウスのような色彩の風車小屋を見ながら頷いた。
ここからだとよくわからないが大きさはそれ程ではないんじゃないか?というのがマクレーン達の感想だった。
しかし――。
近づくにつれそれがかなり離れた場所にある事がわかった。
風車小屋を見つけてから優に10分以上は経過しているのだが、風車に続く道はまだまだ先があった。
丁度一軒家くらいの大きさに見えているというのにこの距離。
もしかして僕達とんでもないものを目指してるんじゃないかな?
と一抹の不安が芽生えた。
そして更に20分後……。
「よ、ようやく辿り着きましたね……。」
「……ああ。」
目の前に聳える建物にアランは短く返事を返す。
マクレーンとアランの見上げる視線の先――。
高く高く聳え立つ巨大な風車小屋があった。
それはもう……。
お城か!?
と言えるほどのその規模の大きさにさすがのアランも言葉が出ない様子だ。
しかも先程遠目から見た通りにその風車小屋は目立っていた。
白と思っていた壁の色は淡いピンクで塗りたくられている。
そして塔の天辺には存在を主張するかのごとく大きな風車がついていた。
しかもドピンク。
どこぞのお姫様でも住んでいるのかと言いたくなるようなファンシーなその色彩にマクレーンの頬が引き攣る。
こんな乙女チックなものを好むなんて……あの人しかいない!!
マクレーンはこの風車の持ち主に思い当たる節があり過ぎて一人がくがくと震えていた。
「マクレーンどうしたんだ、具合でも悪くなったのか?」
真っ青な顔をして小刻みに震えだしたマクレーンにアランが驚く。
「だ、大丈夫です!そ、それよりもう風車は見たので宿に帰りましょう!!」
マクレーンは誤魔化すようにそう言うと来た道を戻ろうと踵を返す。
「え?お、おいまだ来たばかりだぞ!?中見ていかないのか?」
「いいんです!さあアランさん帰りますよ!」
引き止めようとしたアランの背中をぐいぐい押しながら、マクレーンは慌てるように、この場を後にした。
その時、急いで宿に帰るマクレーン達を見ていた人物がいた。
「あら、あれは……。」
ふんわりとした若草色のロングワンピースに栗色の長い髪の毛を三つ編みで束ねた女性の後姿が、マクレーン達を見ながら、ぽつりと呟く姿があった。
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