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第一章【出会い編】
54.思いのほか満喫できたので次行きましょう
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「あらあら、気づいちゃったみたいね~。」
薄暗い部屋の中、空中に浮かぶ鏡を見ていた女は、そう言いながら肩を竦めた。
その鏡は良く見ると、輪郭が時々ゆらゆらと揺れている。
しかも時折ちゃぷんと、まるで水音のような音をだしていた。
目を凝らしてよく見ると、鏡だと思っていたそれは宙に浮かぶ水面のようだった。
そんな不思議な水鏡を見ながら、女性は先程の言葉とは裏腹に、どこか愉しげな表情をしていた。
「あの金髪の子にだけでも、伝えておけばよかったかしら?」
そう呟きながら鏡を見ていた女性は、人差し指を顎に当てうーんと唸る。
しかし、その女性の言葉を遮るような溜息が聞こえてきた。
「イレーニア姉様、ややこしくなるからやめて下さい。」
振り返ると、ティーカップを持ったマクレーンが眉を八の字にしながら、こちらを見ていた。
「あらそ~お?こっちにいるって伝えておけば、安心するんじゃなくって?」
そう言いながら、イレーニアと呼ばれた女性は面白そうに肩を竦めて見せた。
「まあそうなんですが、それは普通の家にいる場合に限りますけどね。」
姉の言葉に、マクレーンは苦虫を噛み潰したような表情で答えながら嘆息する。
マクレーンが今いるここは、大きな巻貝でできた家の中だった。
この巻貝は巨大ザザエといって、巨大ヤドカリの数倍もの大きさがあり、しかも海底に生息している。
しかも巨大ザザエの中でも、一番の大きさを誇るこの――ビッグマダム――と呼ばれる貝が姉の棲家だった。
こんな所にいるなんて知られたら、あの好奇心大盛なアランさんが絶対来るに違いない!
そして、あれやこれや見学して回るだけでなく、姉様にも根掘り葉掘り色々聞き出そうとするんだ!!
マクレーンは胸中で旅の同行者の事を思い出し、身震いした。
ジョーダンじゃない!せっかくゆっくりできるのに来られて堪るか!!
マクレーンは姉に連れて来られてから「よし、もう今日はゆっくりしよう」と、開き直っていたのだった。
「明日には帰るので、大丈夫ですよ。」
マクレーンはそう言うと、姉が入れてくれた海草茶を優雅に飲む。
少々強引に与えられた休息の時間ではあったが、しかし久しぶりにできた一人の時間(姉はいるが)を、みすみす逃す気はさらさら無かった。
「あらそう。」と少し残念そうにする姉を他所に、マクレーンは有意義な時間を満喫するのであった。
翌日――
「もうもうもう!どこ行ってたんですか!!」
碧色の瞳に涙を一杯ため、怒った表情でこちらを見るニコルに、マクレーンは首を傾げた。
「三日間もいなくなってて、心配したんですから!!」
「え?」
続いて聞こえてきたニコルの言葉に、マクレーンは呆然とする。
そして、みるみるうちに青褪めていった。
忘れてた!
海の中じゃ時間の進み方が違うんだった!!
己の状況に気づき、そろりとニコルの背後で仁王立ちで、こちらを見下ろしている人物を見やる。
「お帰りマクレーン。あと、素敵な葡萄酒をありがとうな♪」
晴れ晴れするほどの笑顔。
その笑顔の中の米神に、青筋が浮き出ているように見えるのは、気のせいだと思いたい。
ああ~、あと一つなのに~。
マクレーンはそう胸中で呟きながら、がっくりと項垂れた。
お使いは、あと一つ。
しかし。
今回もまた、彼の同行を許すことになりそうだった。
薄暗い部屋の中、空中に浮かぶ鏡を見ていた女は、そう言いながら肩を竦めた。
その鏡は良く見ると、輪郭が時々ゆらゆらと揺れている。
しかも時折ちゃぷんと、まるで水音のような音をだしていた。
目を凝らしてよく見ると、鏡だと思っていたそれは宙に浮かぶ水面のようだった。
そんな不思議な水鏡を見ながら、女性は先程の言葉とは裏腹に、どこか愉しげな表情をしていた。
「あの金髪の子にだけでも、伝えておけばよかったかしら?」
そう呟きながら鏡を見ていた女性は、人差し指を顎に当てうーんと唸る。
しかし、その女性の言葉を遮るような溜息が聞こえてきた。
「イレーニア姉様、ややこしくなるからやめて下さい。」
振り返ると、ティーカップを持ったマクレーンが眉を八の字にしながら、こちらを見ていた。
「あらそ~お?こっちにいるって伝えておけば、安心するんじゃなくって?」
そう言いながら、イレーニアと呼ばれた女性は面白そうに肩を竦めて見せた。
「まあそうなんですが、それは普通の家にいる場合に限りますけどね。」
姉の言葉に、マクレーンは苦虫を噛み潰したような表情で答えながら嘆息する。
マクレーンが今いるここは、大きな巻貝でできた家の中だった。
この巻貝は巨大ザザエといって、巨大ヤドカリの数倍もの大きさがあり、しかも海底に生息している。
しかも巨大ザザエの中でも、一番の大きさを誇るこの――ビッグマダム――と呼ばれる貝が姉の棲家だった。
こんな所にいるなんて知られたら、あの好奇心大盛なアランさんが絶対来るに違いない!
そして、あれやこれや見学して回るだけでなく、姉様にも根掘り葉掘り色々聞き出そうとするんだ!!
マクレーンは胸中で旅の同行者の事を思い出し、身震いした。
ジョーダンじゃない!せっかくゆっくりできるのに来られて堪るか!!
マクレーンは姉に連れて来られてから「よし、もう今日はゆっくりしよう」と、開き直っていたのだった。
「明日には帰るので、大丈夫ですよ。」
マクレーンはそう言うと、姉が入れてくれた海草茶を優雅に飲む。
少々強引に与えられた休息の時間ではあったが、しかし久しぶりにできた一人の時間(姉はいるが)を、みすみす逃す気はさらさら無かった。
「あらそう。」と少し残念そうにする姉を他所に、マクレーンは有意義な時間を満喫するのであった。
翌日――
「もうもうもう!どこ行ってたんですか!!」
碧色の瞳に涙を一杯ため、怒った表情でこちらを見るニコルに、マクレーンは首を傾げた。
「三日間もいなくなってて、心配したんですから!!」
「え?」
続いて聞こえてきたニコルの言葉に、マクレーンは呆然とする。
そして、みるみるうちに青褪めていった。
忘れてた!
海の中じゃ時間の進み方が違うんだった!!
己の状況に気づき、そろりとニコルの背後で仁王立ちで、こちらを見下ろしている人物を見やる。
「お帰りマクレーン。あと、素敵な葡萄酒をありがとうな♪」
晴れ晴れするほどの笑顔。
その笑顔の中の米神に、青筋が浮き出ているように見えるのは、気のせいだと思いたい。
ああ~、あと一つなのに~。
マクレーンはそう胸中で呟きながら、がっくりと項垂れた。
お使いは、あと一つ。
しかし。
今回もまた、彼の同行を許すことになりそうだった。
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