僕のおつかい

麻竹

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第一章【出会い編】

64.隠れるついでに採掘もしましょう

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そして、時々出てきた小型の魔物をアランに倒してもらいながら、なんとか採掘場所へと辿り着いた。
最深部にあるここは穴場らしく、ちらほらと他の鉱山夫達が採掘している姿があった。

「では、ここら辺ではじめましょうか。」

そう言って、マクレーン達は何故か地面に敷物を敷き始めた。
アランが首を傾げながらその様子を見守っていると、マクレーンとニコルが、ちょこんと敷物の上に座る。
そしてにこにこと、アランを見ていた。

「じゃ、どうぞ。」

「……え、どうぞってもしかして」

「はい、僕達はここで見守ってますから、アランさんは好きなだけ掘ってください。」

「え?ちょっと、待って。」

「な に か?」

慌てて抗議しようとしたアランに、マクレーンが珍しく笑顔で返してきた。
その笑顔の裏に黒い何かが見える……しかもマクレーンの顔には”誰のせいでこうなったと思ってるんだ?”と書いてあった。
常に無いマクレーンの笑顔に、アランの背筋がぞくりと粟立つ。

「は、はは。さ~て掘るか。」

アランはそれ以上何も言えなくなり、くるりと背を向けてピッケルを構えるのであった。



「そろそろ休憩にしましょう。」

暫く一心不乱にピッケルを振っていたアランに向かって、マクレーンが声をかけてきた。

「お、休憩か!」

そう言って、アランは額に浮かんだ汗を拭きながら、マクレーンの隣に腰を下ろす。

「どうぞ。」

いつの間にか用意されていた、お茶のセットに目を丸くしていると、ニコルが茶を差し出してきた。
ありがたくそれを受け取ると一口飲む。
爽やかな柑橘系の味に疲れが吹き飛び、その旨さも手伝って一気に呷った。

「美味いなこれ。」

アランはそう言いながら、お替りをもらう。

「あ、食べ物もありますよ。」

そう言って差し出してきたのは、チェリーパイだった。

「どうしたんだこれ?」

アランが不思議そうに尋ねると、ニコルはマクレーンを見た。

「母の”お使い”で持って来てたんです。」

マクレーンは言い辛そうに、アランに説明する。

「へえ、母親のお使いか~、偉いなマクレーンは。」

アランはそう言いながら、マクレーンの頭をわしゃわしゃと撫で回してきた。

「やめてください!」

マクレーンは真っ赤になってアランの手を払う。
ぞんざいな扱いを受けたのに、アランはにこにこと嬉しそうにしていた。

「でも、こんな大きなパイ、よくその鞄に入れられたな?」

珍しくアランがまともな事を聞いてきたので、ぎくりとしてしまった。

「ちょっと見せてくれよ。」

アランは旅の間、色々なものが出てくるマクレーンの鞄が気になっていた。
興味深々で手を伸ばしてくるアランから、鞄を必死に守る。

「だ、だめです!」

「ええ~いいだろう、ちょっとくらい。」

必死に鞄を死守しているマクレーンは、なんとかアランの気を逸らそうと必死に考える。

「せ、せっかくですから、その賞金くらいの原石は見つけましょう。」

そして、ふと口走った言葉に、これだと思った。
案の定、突然言ってきたマクレーンの提案に、アランはみるみう内に蒼白になっていく。

「え、見つけるって、ここから?」

手を引っ込めて恐る恐る確認してくるアランに、内心ほくそ笑みながら頷いた。

「はい。」

「原石ってそんなに簡単に出てくるのか?」

「さあ、でも何か取っていかないとアランさんが損するだけですよ?」

賞金とかは返すんですから、と痛い所をつかれたアランは目の前の岩肌に向き直った。

まあ、もともと闘技場で貰ったお金なので、別にアランさんの懐が減るわけじゃないんですけどね。

我ながらいい案が出た、と胸を撫で下ろしながらアランを見ると、その事実に気づかず、また一心不乱にピッケルを振りはじめたアランの姿があった。
マクレーンは内心で舌を出す。
そして、巻き込んでくれた事への意趣返し位はしなきゃ気が済まない、とニコルと共に苦笑するのであった。





数刻後――

掘り疲れて、ふらふらになったアランは、とうとう倒れてしまった。
ばたん、と大の字になって後ろに倒れてしまったアランに、マクレーンはやれやれと首を振ると、徐に立ち上がる。
アランの横に落ちていたピッケルを拾いながら、ふむ、と壁を見つめた。
そして暫く眺めた後、とある岩肌に向かって片手に持ったピッケルを振り下ろした。
カツン、という軽い音と共に岩肌がぼろりと崩れる。
そこから零れ落ちてきたのは、赤い塊だった。
掌サイズのそれは、マクレーンの手の中に自然と落ちてきた。
それは赤い宝石の原石で、結構高値で取引される代物だった。

「こんなもんかな。」

マクレーンは手の中にあるそれを見ながら呟くと、それを気絶しているアランの手に握らせる。
それを見ていたニコルが、声をかけてきた。

「い、いいんですか?」

「ん?まあ、たまには、ね。でも、内緒ですよ。」

そう言って口元に人差し指を当てて言うマクレーンに、ニコルは何かを察し青褪めながらこくこくと頷く。
その様子にマクレーンはふと閃き、「内緒ついでに、もう一つお願いがあるんですけど。」と言いながら提案してきた。
その内容に、ニコルは更に顔色を悪くさせるのであった。
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