僕のおつかい

麻竹

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第一章【出会い編】

68.おつかいが終わった後の、とある彼らの会話

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その頃、バラックでは――

「!!お前は……。」

アッシュブラウンの髪に褐色の肌の青年が部屋へ入ると、先客が居たことに驚き目を見張った。
先客の男は、入ってきた男の方を見ると、悪ぶれる様子もなく肩を竦めてみせた。

「お言葉ですねぇ。つい今しがたですよ。」

男はそう言って、面白そうに褐色の男を見つめる。
褐色の彼――ウルガ・ゴードンは、男の視線に怯む事無く睨み返した。

「睨まないでくださいよ、恐いですねぇ。」

「何の用だ?」

ウルガは、片眼鏡を着けた銀髪の男を観察するように見ながら質問する。

「いえね、ここに知り合いが来ていたと聞いて訪ねてみたのですが、行き違いだったようです。」

男は残念そうに言いながら肩を竦めてみせた。

「知り合いだと?」

ウルガはそう言って男をまじまじと見る。

薄茶のスリーピーススーツに、白襟のシャツを合わせ、銀髪の頭には焦げ茶色のハットに同色のステッキを持った、英国紳士風の男がこちらを見ていた。
端正な顔にかけたキザったらしい片眼鏡が、男の神経質さを、より一層際立たせていた。

「ふふふ、私にも昔馴染みの一人や二人位いますよ。」

そう言って年齢不詳のその男は、ウルガを見ながら微笑む。
ウルガは、「そうか。」と、さして興味なさそうに言うと踵を返した。
その背中に声がかけられる。

「そういえば、貴方もここで知り合いに会ったそうですね。」

奇遇ですねぇ、と嬉しそうに言う相手に、ウルガは辟易しながら振り返った。

「だからなんだ?」

冷たく言い放つ。
一応彼は仲間なのだが、ウルガは極力この男に関わりたくなかった。
そんな気持ちが表に出てしまっていたのだろう、片眼鏡の男は「連れないですねぇ。」と悲しそうに言いながら言葉を続けた。

「その知り合い、また会えますよ。」

何の根拠もない男の言葉に、ウルガは「そうか。」と素っ気無く言うと、振り返ることもなく部屋を後にしたのだった。

「ええ、本当に、また会えますから、ね。」

男はウルガが出て行った扉を見ながら、その端正な顔に薄い笑みを張り付かせながら呟くのだった。
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