僕のおつかい

麻竹

文字の大きさ
7 / 93
第二章【旅路編】

7.黄金蜘蛛の救出に向かいます!

しおりを挟む
「この先は何があるかわからないし危険なので、別に一緒に来て頂かなくてもいいんですよ。」

珍しくマクレーンが、毒も棘もない殊勝なセリフを吐いていた。
しかもアランに対して。

黄金蜘蛛の巣穴から地上に戻ってきたマクレーンは、真っすぐに件の王国へと向かおうとした。
しかし、一人で向かおうとしていたところ、アランも付いて来ようとしたので、先程の台詞が出てきたというわけなのだが。
アランは、そんなマクレーンを見降ろしながら苦笑していた。

「さっき、助けに行きましょう。・・・・・・て言ってたじゃないか。」

珍しく揚げ足を取るアランに、マクレーンは言葉に詰まってしまった。

「そんな冷たいこと言うなよ、旅は道連れ世は情け、て言うだろ。俺も協力するよ。」

お決まりの台詞を言いながら、「それに、これはおつかいにも関係してるだろう?」と、無関係ではないと主張してきてくれた。
そんなアランに、マクレーンは「すみません。」と頭を下げると、アランと共に王国への道のりを急いだのだった。





そして、数日後。
マクレーン達は目的の場所へ辿り着いていた。

「この街の何処かに、黄金蜘蛛を攫った相手がいるという事ですが……。」

東の大地の北の国――ノーブル。
首都ベルジャラ程ではないが、なかなかに栄えている国のようだ。
行き交う人々の活気の良い様子を見ていると、マクレーンが「ちょっと待っててください。」と言って、何やら建物の隅へと移動して行ってしまった。
アランは首を傾げながらその様子を見守っていると、マクレーンは人が一人通れるか通れないかという細い路地に向かって屈み込み、何やら話し込んでいる様子だった。
暫くして帰ってきたマクレーンは開口一番

「黄金蜘蛛を攫った人の家がわかったので行きましょう。」

と言ってきたのだった。
これには、さすがのアランも「いや、ちょっと待て!」と待ったをかけた。
不思議そうにこちらを見るマクレーンに、アランは至極真面目な当たり前の質問をぶつける。

「なんでわかったんだ?」

この国に入ってから、まだ数分しか経っていない。
手がかりも何もないまま来たというのに、どうやって居場所を突き止めたのか問い詰めると、マクレーンは冷や汗を流しながら説明してきた。

「あ、ええっと……そう、カーラ、カーラから詳しい場所を聞いていたんですよ!」

「……なるほど。」

なんとなく腑に落ちないものを感じたが、説明としては十分あり得る事なのでアランは頷いてみせた。
その様子にマクレーンは、ほっとした様子を見せる。
益々怪しいと感じながらも、アランはマクレーンの案内に素直について行った。
その時、ちょうど先程マクレーンが居た路地裏の前を通ったので横目で確認してみたが、やっぱり人が通れるほどの隙間はなく、アランは首を傾げながらマクレーンの後を付いて行くのだった。

あ、危なかった……。

素直に後ろを着いてくるアランの様子を窺いながら、マクレーンは内心冷や汗を流していた。
つい、姉達に同行を許された相手という事で、アランに対し気が緩んでしまったようだ。

とりあえずバレなくて良かった、と思いながら横をちらりと見ると――

建物の窓辺に置かれた花壇の側で”彼ら”が、こちらに向かって手を振っているのが見えたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...