僕のおつかい

麻竹

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第二章【旅路編】

6.双子山の精霊現る!

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女は宙に浮いたまま、マクレーン達の存在に気づいた。

『あら……。』

女は驚いた顔で、マクレーンを見ている。
マクレーンはその視線にぎくりとすると、隣のアランには気づかれないように、小さく首を振る。
女はその様子を目を細めながら見ていたが、今度は隣のアランに視線を移してきた。

『あんた、誰?』

「え?お、俺はアラン……アラン・バッシュフォード……。」

『ふうん、で、その子とはどういう関係なの?』

女はそう言いながら、マクレーンの方を視線だけで示してきた。
その行動に、マクレーンは片手で顔を覆う。

「え、マクレーンの事か?」

アランは突然、マクレーンとの関係を聞いてきた女に驚いた顔をした。
そして、どういうことだと、女とマクレーンを交互に見る。

「ええ~と、ちょっと知り合いで……。」

マクレーンは言い辛そうに、ごにょごにょと言ってきた。
そんなマクレーンに、アランが小首を傾げていると、炎の女が話に割って入ってきた。

『そうよ~、レ……マクレーンとは昔、森で会ったの♪』

己と似たような出会い方に、アランは少しだけ女に対して親近感が沸いた。

「それで、あんたは何者だ?」

そのせいか、アランは思わず女に聞き返していた。

『…………私はカーラ、この山の精霊よ。』

アランの質問に、女は少しだけ不機嫌そうな顔をしながら答えてきた。
その返答に、アランは驚く。

「精霊だって?」

『ええそうよ。』

アランが驚いたことに気を良くした女は、更にこう続けてきた。

『こう見えてあたし、高位の精霊なのよ。』

カーラはそう言うと、「ふふん」と豊満な胸を張りながら、腰に手を当てて自慢げに見降ろしてきた。

「精霊なんて初めて見た。」

上から目線で見降ろしてくる女を見上げながら、アランは感嘆の声を上げた。

そもそも精霊は、あまり人前には姿を見せないことで有名だった。
しかし、精霊は何処にでも存在しているらしい。
精霊は身近にある、木や石、火や風、土塊など様々なものに宿ると言われている。
しかし、精霊は何故か、あまり人前には出てこなかった。
そのため、人間にとって精霊に対する認識は低い。
そして、唯一精霊と交流できるのは、世界を管理している魔女だけだとも言われている。

そんな精霊が何故、自分たちの目の前に?

アランが疑問に思っていると、、マクレーンがカーラに訊ねてきた。

「そういえば、さっき黄金蜘蛛を攫おうとしていた人間に、心当たりはあるの?」

マクレーンの質問に、カーラは頷いて見せた。

『ええ、最近あの子たちをつけ狙ってた奴らよ。この前追い払ったとき、他の精霊たちが大きな屋敷に入っていくのを見たって言ってたわ。』

「屋敷に?」

『ええ、ここから北に行った所に、人間の国があるでしょう?そこよ。』

「なるほど……。」

マクレーンは、そう言いなが考え込んでしまった。
そんなマクレーンを見ながら、カーラは話を続ける。

『なんとか守ってきてたんだけど、私が目を離した隙に巣を攻撃されてしまったの。」

そう言って悔しそうに、破壊された巣穴を見た。
カーラの視線の先には、無残にも破壊された穴があった。
どうやらあそこが、黄金蜘蛛の巣穴だった場所らしい。
そこだけ不自然に破壊された痕から、かなり激しい戦いが繰り広げられていた事が窺える。
すぐ側で地面に横たわる親蜘蛛を見て、マクレーンは眉間に皺を寄せた。
ふと、あることが気になって顔を上げた。

「そういえば、他の子蜘蛛達は?」

腕の中で大人しく寝息を立てている子蜘蛛を見降ろしながら、マクレーンがカーラに聞いてきた。

『それが、その子以外攫われてしまったみたいで……。』

すると、カーラは言い辛そうに答えてきた。

黄金蜘蛛は一度に5~6個の卵を産む。
無事に羽化するのはその半分くらいで、巣穴には3匹の子蜘蛛がいたらしい。
カーラが気付いて探したときは、その子だけになっていたそうだ。
そして親蜘蛛と協力して、子蜘蛛を穴に隠し、囚われた子蜘蛛を取り返そうと、兵士たちを追っていたところ、逆に親蜘蛛が襲われてしまったというわけだった。
カーラの話を聞き終わったマクレーンは、抱いていた子蜘蛛を親蜘蛛に返すと、くるりとカーラ達の方を振り返る。
そして――

「助けに行きましょう。」

力強い口調で、そう言ってきたのだった。
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