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どこにでもある平凡な離婚騒動②
傲慢な王と勝気な王女3
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結局あの後、周りの注目を浴びてしまった王女は、兼ねてより取ってあった部屋へと、仕方なく王を連れて来る羽目になってしまったのであった。
「何故出さなかった!!」
部屋へと入るなり、王女は王に詰め寄る。
「色々と忙しくてな、出すのを失念していた。」
「嘘をつけ!!」
王の言葉に王女は叫ぶ。
絶対わざとだろう!と、ジト目で睨み付けてくる王女に、王は苦笑を禁じえない。
ニヤニヤとこちらを見下ろしてくる王に、王女は更に憤慨しながら噛み付く様に言ってきた。
「こんな所にいないで、さっさと離縁状を出して来ぬか!!」
「嫌だ。」
「はあ!?何を今更……既にわらわとお主の縁は切れておるはず、何をぐずぐずとしておるのじゃ?わらわの様な石女とは縁を切って、あの従者と一緒になり元気な子を作れば良かろう!?」
王女の提案に何故か首を振る王に、王女はとうとう痺れを切らせて本音をぶつけてきたのであった。
そんな王女の言葉を、王は大人しく聞いている。
わかってくれたか?と王女が見上げると、王は何故か不機嫌な顔をしながら見下ろしていたのであった。
そして
「何度も言っているが、シンシアとは何もない。そもそも親子ほど年の離れた娘に興味なんぞ無いわ。」
と、何故か怒ったような口調で言ってきた。
その言葉に、王女の眉間に皺が寄る。
確かに王のバディであるシンシアは、王とは歳が離れていた。
しかし、その程度の年齢差は王族同士の政略結婚ならよく聞く話だ。
他国で、生まれたばかりの王女が三十も年の離れた王様と婚約したという話を聞かされた事があるくらいだった。
そんな常識を知り尽くしている王女には、王の言い訳が嘘臭く聞こえてしまうのだ。
「見え透いた嘘を言いおって……何が目的じゃ?」
つい、疑いの目で見てしまう。
そんな王女に王は溜息を吐くと、じっと王女を見つめてきたのだった。
「な、なんじゃ?」
その視線に王女はたじろぐ。
いつにない真剣な眼差しに、思わず後退りそうになる。
そんな王女の肩を王は、がしりと手で掴むと視線を合わせながら言ってきたのであった。
「いいか、良く聞けよ。俺は、子供に、興味なんぞ無い!何が悲しくて、ケツの青い餓鬼を相手にせにゃならんのだ!?」
と、真顔で言われてしまったのであった。
久しぶりに見る王の凄みに、王女は怯む。
「俺はこう……色気があって気の強い女が好みなんだよ。」
王女が怯んでいると、王は何故か王女の体を弄りながら言ってきたのであった。
その厭らしい手付きに、王女はハッと我に返る。
慌てて身の危険を感じ王から離れると、「チッ」と舌打ちが聞こえてきた。
見ると、王が残念そうな顔をしながら王女を見下ろしていた。
しかも、王女を見下ろす王の視線が熱を帯びているような気がしてしまい、何だか視堕されているような錯覚に見舞われる。
王女は嫌な予感に、王から離れ間合いを取った。
すると、今度はあからさまに王の口からはっきりと舌打ちが聞こえてきたのであった。
「なんじゃ?何か文句があるようじゃが?」
王女は持ち前の気の強さから、怖いもの知らずに訊ねてしまったのであった。
その質問に、王の目がキランと光る。
「ああ、あるね、大ありだ!」
王はここぞとばかりに、胸の前で腕を組むと大きな声で抗議してきたのであった。
「まず第一に、なんで何も言わず家に帰った?」
「はあ!?」
突然の質問に、王女は素っ頓狂な声を上げる。
「良いから答えろ。何故だ?」
しかし、そんな王女の反応に動じる様子も無く王は傲岸な態度で聞き返してきた。
「そ、それは……わ、わらわがいない方が良いと思ったのじゃ!」
そんな王の態度に一瞬怯むも、王女は気丈に言い返してきた。
「は?何故そう思った?その根拠は!?」
しかし、そんな王女の返答に王は畳みかけるように質問をぶつけてくる。
「う……わ、わらわはこの十年、子が産めなかった……石女である以上、身を引くのも妻の務めであろう?」
気丈に振舞っていた王女の声は、核心に迫ると段々尻すぼみになっていった。
その返答に、王は大きく溜息を吐く。
「実は……その事なんだが……。」
そして、言い辛そうに説明してきたのだった。
「子が出来なかったのは、お前のせいじゃない。……侍女のせいだったんだ。」
「は?」
王の言葉の意味が解らず王女は疑問の声を上げる。
「お前付きの侍女が、堕胎の薬を盛っていたらしい。完全にこちらの不手際だ、すまん。」
王は、謝罪の言葉を言ってきたのであった。
堕胎?薬?と信じられないといった顔で呟く王女に、王は詳しく説明してきたのであった。
「俺と結婚できたお前に嫉妬していたらしい。王妃付きの侍女は皆、それなりの家柄の娘だからな。俺と結婚させようと目論んでいた大臣の娘だったらしい。安心しろ、お前に薬を盛った女は処罰したからもう居ない。」
王の説明に、王女はみるみる内に顔色が悪くなっていく。
「で、では……子供ができなかったのは、わらわのせいではないと?」
「ああ。婚姻前に調べたろう?その時、異常が無かったからおかしいと思っていたんだ……もっと早く気付くべきだった。本当にすまなかった。」
そう言って、王は深々と頭を下げてきた。
いつも傲岸な態度をしていた王の珍しい姿に、王女は目を丸くする。
彼がここまでするという事は、先程の話は真実なのだろう。
王女は突然聞かされた真実に、体の力が抜けてしまいヨロヨロと力なく壁に寄り掛かる。
そんな王女を気づかわし気に見る王。
そんな王に目を合わせる事が出来ず、王女は俯きながら呟いた。
「わ、わらわの……わらわの今までの苦労は一体……」
そう呟くのが精一杯だった。
今更そんな真実を教えられても、どうすればいいというのだろうか?
この十年間、王女は心無い人々の言葉に耐えてきた。
そして悩みに悩んで、やっと離縁を決心したというのに……。
憤る思いにワナワナと肩を震わせていると、大きな手がそっと肩に触れてきた。
見ると、王が申し訳なさそうな顔で王女を見下ろしていた。
「帰って来い。」
そして王は、そう言ってきたのであった。
「何故出さなかった!!」
部屋へと入るなり、王女は王に詰め寄る。
「色々と忙しくてな、出すのを失念していた。」
「嘘をつけ!!」
王の言葉に王女は叫ぶ。
絶対わざとだろう!と、ジト目で睨み付けてくる王女に、王は苦笑を禁じえない。
ニヤニヤとこちらを見下ろしてくる王に、王女は更に憤慨しながら噛み付く様に言ってきた。
「こんな所にいないで、さっさと離縁状を出して来ぬか!!」
「嫌だ。」
「はあ!?何を今更……既にわらわとお主の縁は切れておるはず、何をぐずぐずとしておるのじゃ?わらわの様な石女とは縁を切って、あの従者と一緒になり元気な子を作れば良かろう!?」
王女の提案に何故か首を振る王に、王女はとうとう痺れを切らせて本音をぶつけてきたのであった。
そんな王女の言葉を、王は大人しく聞いている。
わかってくれたか?と王女が見上げると、王は何故か不機嫌な顔をしながら見下ろしていたのであった。
そして
「何度も言っているが、シンシアとは何もない。そもそも親子ほど年の離れた娘に興味なんぞ無いわ。」
と、何故か怒ったような口調で言ってきた。
その言葉に、王女の眉間に皺が寄る。
確かに王のバディであるシンシアは、王とは歳が離れていた。
しかし、その程度の年齢差は王族同士の政略結婚ならよく聞く話だ。
他国で、生まれたばかりの王女が三十も年の離れた王様と婚約したという話を聞かされた事があるくらいだった。
そんな常識を知り尽くしている王女には、王の言い訳が嘘臭く聞こえてしまうのだ。
「見え透いた嘘を言いおって……何が目的じゃ?」
つい、疑いの目で見てしまう。
そんな王女に王は溜息を吐くと、じっと王女を見つめてきたのだった。
「な、なんじゃ?」
その視線に王女はたじろぐ。
いつにない真剣な眼差しに、思わず後退りそうになる。
そんな王女の肩を王は、がしりと手で掴むと視線を合わせながら言ってきたのであった。
「いいか、良く聞けよ。俺は、子供に、興味なんぞ無い!何が悲しくて、ケツの青い餓鬼を相手にせにゃならんのだ!?」
と、真顔で言われてしまったのであった。
久しぶりに見る王の凄みに、王女は怯む。
「俺はこう……色気があって気の強い女が好みなんだよ。」
王女が怯んでいると、王は何故か王女の体を弄りながら言ってきたのであった。
その厭らしい手付きに、王女はハッと我に返る。
慌てて身の危険を感じ王から離れると、「チッ」と舌打ちが聞こえてきた。
見ると、王が残念そうな顔をしながら王女を見下ろしていた。
しかも、王女を見下ろす王の視線が熱を帯びているような気がしてしまい、何だか視堕されているような錯覚に見舞われる。
王女は嫌な予感に、王から離れ間合いを取った。
すると、今度はあからさまに王の口からはっきりと舌打ちが聞こえてきたのであった。
「なんじゃ?何か文句があるようじゃが?」
王女は持ち前の気の強さから、怖いもの知らずに訊ねてしまったのであった。
その質問に、王の目がキランと光る。
「ああ、あるね、大ありだ!」
王はここぞとばかりに、胸の前で腕を組むと大きな声で抗議してきたのであった。
「まず第一に、なんで何も言わず家に帰った?」
「はあ!?」
突然の質問に、王女は素っ頓狂な声を上げる。
「良いから答えろ。何故だ?」
しかし、そんな王女の反応に動じる様子も無く王は傲岸な態度で聞き返してきた。
「そ、それは……わ、わらわがいない方が良いと思ったのじゃ!」
そんな王の態度に一瞬怯むも、王女は気丈に言い返してきた。
「は?何故そう思った?その根拠は!?」
しかし、そんな王女の返答に王は畳みかけるように質問をぶつけてくる。
「う……わ、わらわはこの十年、子が産めなかった……石女である以上、身を引くのも妻の務めであろう?」
気丈に振舞っていた王女の声は、核心に迫ると段々尻すぼみになっていった。
その返答に、王は大きく溜息を吐く。
「実は……その事なんだが……。」
そして、言い辛そうに説明してきたのだった。
「子が出来なかったのは、お前のせいじゃない。……侍女のせいだったんだ。」
「は?」
王の言葉の意味が解らず王女は疑問の声を上げる。
「お前付きの侍女が、堕胎の薬を盛っていたらしい。完全にこちらの不手際だ、すまん。」
王は、謝罪の言葉を言ってきたのであった。
堕胎?薬?と信じられないといった顔で呟く王女に、王は詳しく説明してきたのであった。
「俺と結婚できたお前に嫉妬していたらしい。王妃付きの侍女は皆、それなりの家柄の娘だからな。俺と結婚させようと目論んでいた大臣の娘だったらしい。安心しろ、お前に薬を盛った女は処罰したからもう居ない。」
王の説明に、王女はみるみる内に顔色が悪くなっていく。
「で、では……子供ができなかったのは、わらわのせいではないと?」
「ああ。婚姻前に調べたろう?その時、異常が無かったからおかしいと思っていたんだ……もっと早く気付くべきだった。本当にすまなかった。」
そう言って、王は深々と頭を下げてきた。
いつも傲岸な態度をしていた王の珍しい姿に、王女は目を丸くする。
彼がここまでするという事は、先程の話は真実なのだろう。
王女は突然聞かされた真実に、体の力が抜けてしまいヨロヨロと力なく壁に寄り掛かる。
そんな王女を気づかわし気に見る王。
そんな王に目を合わせる事が出来ず、王女は俯きながら呟いた。
「わ、わらわの……わらわの今までの苦労は一体……」
そう呟くのが精一杯だった。
今更そんな真実を教えられても、どうすればいいというのだろうか?
この十年間、王女は心無い人々の言葉に耐えてきた。
そして悩みに悩んで、やっと離縁を決心したというのに……。
憤る思いにワナワナと肩を震わせていると、大きな手がそっと肩に触れてきた。
見ると、王が申し訳なさそうな顔で王女を見下ろしていた。
「帰って来い。」
そして王は、そう言ってきたのであった。
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