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16.誤解の解けた婚約者様とわたくし
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そうか、あの時か!
それは、サナが自分の研究所へ研究材料を届けるようになった頃だ。
あれは確か、いつも材料を送ってくる部下が、研究に失敗して怪我をしてしまい、ジークハルトの元へ材料を届けられなくなった為、その代わりにサナが届けに来るようになったのだった。
元々、転送魔法が使える相手に頼んでいたので、顔を合わせずとも手元に届いていたのだが、たまたま代わったサナは、転送魔法がまだ使えない新米魔術師だった事もあり、研究室に直接届けて貰っていただけであった。
その事について、アマーリエに説明した事が無かった事を思い出し、ジークハルトは舌打ちする。
その舌打に、泣いていたアマーリエがびくりと反応してしまった。
慌ててジークハルトは取り繕う。
「い、今のはアマーリエにではない。その……サナの事は誤解なんだ。」
「…………。」
ジークハルトの説明に、アマーリエは顔を覆っていた手を離して彼を見上げてきた。
涙で潤う翡翠の瞳に、こんな時でもジークハルトは思わずドキリとしてしまう。
泣いていても可愛らしいアマーリエに、つい手が伸びそうになったが、ぐっと堪えた。
「元々、研究材料を届けていた同僚が怪我をしてしまって、その代わりにサナが来ていたんだ。彼女は転送魔法が使えないというので、直接来てもらっていたんだが、それが君に変な誤解を生んでしまったらしい……。」
「それだけ、なのですか?」
アマーリエは、ジークハルトの説明に疑心暗鬼な様子で聞き返してきた。
その言葉に、ジークハルトは力強く頷く。
「ああ、彼女とは何もない。そもそも、ただの部下としてしか見ていない。」
その言葉に、アマーリエは判り易い程はっきりとホッとした表情を見せてきた。
「そうだったのですか。わたくしは、てっきり……サナ様が、ジークハルト様に差し入れを持ってきていたので……。」
そこまで言うと、アマーリエは自分の早とちりに恥ずかしそうに俯いてしまった。
あの時か……。
ジークハルトは、アマーリエの説明に内心舌打ちをする。
サナが最近、馴れ馴れしいなとは思っていたが、その事が原因で、アマーリエが勘違いしてしまっていたとは迂闊だった。
よくよく思い返してみると、サナの言動には含みのあるものばかりだったなと、今更ながらに気づく。
まさか、懸想されていたとは思ってもいなかったが故に、驚きだった。
その辺は、はっきりと態度に出して拒絶していたつもりだったが、サナは意外とメンタルが強かったらしい。
魔術師塔では、異性から絶対零度の塩対応と言わしめられる程のジークハルトであったのだが、意外な伏兵に大誤算だったようだ。
あとで、はっきりと言っておかねばなるまいな。
ジークハルトは、アマーリエに見えないように極悪な顔で呟くのであった。
それは、サナが自分の研究所へ研究材料を届けるようになった頃だ。
あれは確か、いつも材料を送ってくる部下が、研究に失敗して怪我をしてしまい、ジークハルトの元へ材料を届けられなくなった為、その代わりにサナが届けに来るようになったのだった。
元々、転送魔法が使える相手に頼んでいたので、顔を合わせずとも手元に届いていたのだが、たまたま代わったサナは、転送魔法がまだ使えない新米魔術師だった事もあり、研究室に直接届けて貰っていただけであった。
その事について、アマーリエに説明した事が無かった事を思い出し、ジークハルトは舌打ちする。
その舌打に、泣いていたアマーリエがびくりと反応してしまった。
慌ててジークハルトは取り繕う。
「い、今のはアマーリエにではない。その……サナの事は誤解なんだ。」
「…………。」
ジークハルトの説明に、アマーリエは顔を覆っていた手を離して彼を見上げてきた。
涙で潤う翡翠の瞳に、こんな時でもジークハルトは思わずドキリとしてしまう。
泣いていても可愛らしいアマーリエに、つい手が伸びそうになったが、ぐっと堪えた。
「元々、研究材料を届けていた同僚が怪我をしてしまって、その代わりにサナが来ていたんだ。彼女は転送魔法が使えないというので、直接来てもらっていたんだが、それが君に変な誤解を生んでしまったらしい……。」
「それだけ、なのですか?」
アマーリエは、ジークハルトの説明に疑心暗鬼な様子で聞き返してきた。
その言葉に、ジークハルトは力強く頷く。
「ああ、彼女とは何もない。そもそも、ただの部下としてしか見ていない。」
その言葉に、アマーリエは判り易い程はっきりとホッとした表情を見せてきた。
「そうだったのですか。わたくしは、てっきり……サナ様が、ジークハルト様に差し入れを持ってきていたので……。」
そこまで言うと、アマーリエは自分の早とちりに恥ずかしそうに俯いてしまった。
あの時か……。
ジークハルトは、アマーリエの説明に内心舌打ちをする。
サナが最近、馴れ馴れしいなとは思っていたが、その事が原因で、アマーリエが勘違いしてしまっていたとは迂闊だった。
よくよく思い返してみると、サナの言動には含みのあるものばかりだったなと、今更ながらに気づく。
まさか、懸想されていたとは思ってもいなかったが故に、驚きだった。
その辺は、はっきりと態度に出して拒絶していたつもりだったが、サナは意外とメンタルが強かったらしい。
魔術師塔では、異性から絶対零度の塩対応と言わしめられる程のジークハルトであったのだが、意外な伏兵に大誤算だったようだ。
あとで、はっきりと言っておかねばなるまいな。
ジークハルトは、アマーリエに見えないように極悪な顔で呟くのであった。
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