夫婦戦争勃発5秒前! ~借金返済の代わりに女嫌いなオネエと政略結婚させられました!~

麻竹

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「それで?使用人たちの報告はどうだったのさ?」


数週間後ランスロットは、友人であるアンドリューの元へ足を運んでいた。

アンドリューはランスロットの話を一通り聞いた後、興味津々な様子でその後の結果を話せと急かしてきた。


「く……あの後も様子を見させたが、結果は変わらなかった……。」


「へえ。」


悔しそうに呟く友人に、アンドリューは感心したように目を見張っていた。

結局、エレノアの監視を続けてみたが結果はほとんど変わらず、相変わらず部屋に引き籠って趣味に没頭していただけだったそうだ。

しかも、使用人たちと以前よりも仲良くなっており、今では料理長までをも懐柔して一緒にお菓子を作ったりしているらしい。

らしいというのは、そのお菓子は一切ランスロットに届けられる事は無く、エレノアと使用人達で美味しく召し上がっているのだとか。

「とっても美味しかったです」と、家令と護衛隊長が口を揃えて言っていた事を思い出し、ランスロットは歯軋りしていた。


「素直になればいいのに……。」


「何か言ったか?」


「いいや。でも、これで君の奥方の身の潔白は証明されたんだろう?良かったじゃないか。」


「く……しかし……。」


親友の言葉にまだ信用し切れないのかランスロットは言い淀む。

そんな親友にアンドリューは、やれやれと溜息を吐きながら言ってきた。


「ん~、まあ、君の事情はよく理解しているつもりだよ。君の境遇は気の毒だと思うし、ここまで警戒するのは仕方が無い事だと思ってる。でもね、君の味方になってくれてる人たちが考えてみろって言うのなら、君も少しは譲歩するべきだと思うんだよねぇ。」


そう言って友人は、いつもの人懐こそうな笑顔でランスロットを見てきた。


「…………わかったよ。」


暫くの間、むっつりとした表情で黙っていたランスロットはポツリと呟く。

幼い頃から自分を良く知る旧友にまで諭されてしまったランスロットは、渋々ながらも頷いたのであった。








「少しいいか?」


優しい陽光が差し込む昼下がり、鬼の居ぬ間に美しい庭園を散歩しようと思っていたエレノアの前に、まさかの鬼が現れてしまったのであった。

鬼は固まるエレノアに向かって、何故か緊張した面持ちで言ってきた。

こっそり部屋から出ていた事を怒られると思ったエレノアは、鬼――ランスロットの言葉にゴクリと唾を飲み込みながら「な、なんでしょうか?」と聞き返した。

すると、ランスロットは何度か口を開いては閉じを繰り返した後、こう言ってきたのであった。


「その……少し歩かないか?」


と――。




罵声を覚悟していたエレノアは、ランスロットの言葉に拍子抜けする。

「え?」と思わず聞き返してしまった。


「た、たまにはいいだろう?」


ポカンとするエレノアに、ランスロットは頬を赤く染めながらぶっきら棒に言ってきた。

そして顔を逸らしながら「ん」とエスコートの為の腕を差し出してきたのである。

その行動にエレノアは更に驚いてしまう。


――な、何急に?さ、散歩??まさか、この人何か企んでいるのかしら?


今までの対応を振り返りながら、エレノアは恐る恐るランスロットの様子を窺う。

しかし彼は、そっぽを向いていたので、どんな表情をして言っているのか判り兼ねた。

助けを求める気持ちで、離れた所に控えていた家令を見ると何故か頭を下げてきた。

そして、縋るような視線を向けてくる。


――どうか、ご主人様の我儘を聞き入れてくださいませ。――


そんな台詞が聞こえてくるようだ。

断る理由も見つからず、エレノアは差し出された腕に恐る恐る手を添えたのだった。

するとランスロットは、一瞬チラリとエレノアを見た後、ゆっくりとした足取りで歩き出した。

そして彼の魂胆が読めないまま、エレノアはエスコートされながら、戦々恐々と後を付いて行ったのであった。

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