夫婦戦争勃発5秒前! ~借金返済の代わりに女嫌いなオネエと政略結婚させられました!~

麻竹

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そして、慣れない高級店に足を踏み入れガクブルのエレノアと、彼女の様子を喜んでいると勘違いしてしまったランスロットは、店主に促されるままビップルームへと案内されていったのであった。
そして勧められたソファに腰掛けると、目の前のテーブルに次々と商品が並べられていった。

目の前に置かれていく商品の数々を、ランスロットは澄ました顔をしながら眺め、エレノアは目玉が飛び出るんじゃないかと言わんばかりに目を見開いて固まっていた。
テーブルに所狭しと並べられたのは、大粒の宝石が付いたネックレスや指輪達だった。
テーブルの上に釘付けになっていると、今度は数台のワゴンがガラガラと部屋へと入って来た。
従業員たちに押されて入って来たワゴンの上には、女性物の靴や帽子、扇などの小物類が陳列されていた。
その後から、ドレスが掛かった背の高いハンガーラックが、エレノア達の周りを囲むように運び込まれてきたのだった。

まるで隣の部屋を丸ごと移し替えたような有様に、エレノアは口をぽかんと開けて呆けてしまった。

「こちらが、最近仕入れたばかりの商品たちでございます。何か気に入ったものがあれば、遠慮なくお申し付けくださいませ。」

店主はそう言いながらニッコリ笑うと、固まるエレノアの目の前に大粒のサファイヤが散りばめられたネックレスの入ったトレーを差し出してきたのであった。

「!!!!!」

突然目の前に出された豪華なネックレスに、エレノアの思考が止まる。
あまりの輝きに目がチカチカしてしまい、言葉も出なかった。

「あら、去年より数が少ないんじゃない?」

そんなエレノアの反応を他所にランスロットは周りを見渡すと、ソファに踏ん反り返りながら言ってきたのであった。
その言葉にエレノアは「え?」と彼を振り返る。
すると、店主が申し訳なさそうにしながら頭を下げてきたのであった。

「これは、大変失礼いたしました。」

店主はそう言うと、従業員たちにもっと持ってくるようにと目配せをする。
すると、すぐさま新しい商品が部屋の中へ次々と運び込まれてきたのだった。

「ふん、まあいいわね。」

「恐れ入ります。」

ランスロットの言葉に、店主は深々と頭を下げる。

「この中から、欲しいものがあったら言いなさい。」

「へ?」

ランスロットの言葉に、エレノアは思わず彼の顔をまじまじと見てしまったのだった。
そんな彼女に、ランスロットは怪訝そうな顔をしながら口を開いた。

「どうしたのよ?買ってあげるって言ってるんだから遠慮すること無いわ。好きなの選びなさいな。」

「ええ!?」

ランスロットの言葉に、さすがのエレノアも思わず叫んでしまった。

「か、買ってやるって……この中から、ですか?」

「ええそうよ。」

驚くエレノアにランスロットは、あっけらかんと頷く。
そんな彼の反応を見て言葉に詰まっていると、彼はまた怪訝な顔をしながら話しかけてきた。

「あら、気に入らなかったかしら?」

そう言ってチラリと店主を見る。
侯爵家の次期跡取りに見られた店主は、頭を下げたまま冷や汗を流し始めた。

「も、申し訳ありません。新しい商品に、すぐ入れ替えさせて頂きます。」

「ああいいえ、大丈夫ですから!!」

店主の言葉にエレノアは青褪める。
慌てて止めると、店主はポカンとした顔でエレノアを見てきた。

「え、ええっと……た、沢山あるからゆっくり見たいかな~、なんて……。」

あは、あはははは~と、扇で口元を隠しながら苦し紛れにそんな事を言うと、店主はホッとした顔をしながら顔を上げてきたのだった。

「あらそうなの?じゃあ、ゆっくり決めさせてもらうわね。」

「では、ごゆっくりお探しくださいませ。」

エレノアの言葉にランスロットが頷くと、店主たちは深々と頭を下げながら退出していった。
広い部屋に、ぽつんと取り残されたエレノアとランスロット。
店主と従業員たちが居なくなり、はっと我に返ったエレノアは、ランスロットに思わず詰め寄ったのだった。

「な、なんなんですか?これは!?」

「何って……買い物よ?」

詰め寄るエレノアの質問に、ランスロットはキョトンとした顔で答える。
所狭しと置かれた商品に囲まれながら、エレノアはそんな夫の姿に脱力したのだった。

――こ、この人、一体何がしたいのかしら?……

ランスロットの意図が分からず頭を抱えていると、彼から先程と同じ言葉が掛けられてきたのだった。

「気に入ったものがあったら、遠慮なく言ってくれ。す、好きなだけ買ってやるから。」

先程の口調とは打って変わり、何故かオドオドした様子で素の言葉遣いで話しかけてきたのである。
そんな彼の豹変に、エレノアは目を見張った。

――えぇ!?さっきまでの偉そうな態度は何だったの?

先程の上級貴族らしい横柄な態度は何処へやら、急にそわそわと落ち着きなくこちらを見てくるランスロットに驚いてしまった。
しかもここにあるものを、どれでも好きなだけ買ってやると言ってきているのだ。

――こ、ここにある物って……一体幾らするのよ!?

エレノアは、周りに並べられた商品を見回しながら呟いた。
どれもこれも、実家に居た頃なら到底手が出せないような高級品ばかりだ。
こんな高価なものをいきなり買ってくれるという彼の言葉に、エレノアは喜ぶどころか逆に不安になってしまったのであった。

――はっ!もしかして、買ってやると言っておいて後から金銭を要求しようとしてるんじゃ……。

エレノアはランスロットの好意を、何か裏があるのではないか?と疑ってきたのであった。
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