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1話「黒い霧の魔物と特製ベーコンI」
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夕暮れの街道を歩く四つの影。先頭を行くのは赤髪金眼の少女――剣士エレナ。彼女の背中には夕陽を受けた真紅のマントが翻っている。すぐ後ろには青銀の髪を揺らす冷静な魔法使いセシリア。さらに殿を務める栗色の髪の僧侶ミリアが続いていた。彼らの中心でひときわ小さく見える黒髪の少年こそが、異世界より召喚されたアキラであった。
「まったく……まさか街道までオークが出てくるとはね」
エレナが苛立たしげに鞘を叩く音が響く。手練れの剣士である彼女も、群れを成して迫る魔物相手には警戒を怠れない。街道脇の林から聞こえる野太い咆哮は次第に近づいてくる。
「数は二十ほど。弓兵なしの近接型ばかりだが油断できないよ」
セシリアが杖を掲げると水晶球が淡く輝き始めた。
「セシリアは魔法の準備を。エレナ、俺たちで先頭を抑える!」
アキラの声は年齢に似合わぬ落ち着きを湛えていた。
「アキラさん、無理しないでくださいね!」
ミリアの優しい声援を背に受けて、少年は前に出た。
「来るぞ――っ!」
エレナの叫びと共に森の中から醜悪な豚面の怪物たちが飛び出してくる。血走った目で人間たちを睨むその姿は生理的な嫌悪感を誘った。
しかし剣士は一歩も退かない。腰の細身剣を抜き放つと同時に体を低く構えた。
「さあ掛かって来な、豚ども!」
その言葉を合図に最初の一頭が棍棒を振り上げて襲いかかる。エレナの黄金の瞳が獲物を捉え、風を切る音と共に横薙ぎの一閃。肉厚な棍棒ごと怪物の右腕が宙を舞った。断末魔の叫びすら許さない鮮やかな手並みに、続くオークたちの足が止まる。
「今だ!」
アキラの掛け声で魔法使いが呪文を紡いだ。詠唱と同時に杖先から冷気の奔流が解き放たれる。吹き荒れる白霜の嵐が先頭集団を瞬時に飲み込み、魔物たちは悲鳴も上げられぬまま氷像へと変えられていく。
「ふぅ……これで半分」
セシリアが小さく息をつく間に、ミリアは前衛の二人に手を伸ばした。掌から柔らかな光があふれ出し、微細な傷を瞬時に塞いでいく。
「まだまだ!」
エレナが凍り付いた同胞の脇をすり抜けようとする残党に斬撃を浴びせかける。しかし一体が彼女の脇を突破しアキラへと殺到した。
「アキラッ!」
悲鳴に似た警告を耳にしながら、少年は剣を握り直す。それはこの世界に来て手にした鋼鉄の重み。現代日本で育った彼にとって命のやり取りはまだ馴染まない現実だった。
深呼吸一つ。眼前に迫る凶器の軌道が妙に遅く見える。刃と刃が激突し火花が散る。両腕が痺れるほどの衝撃を必死に堪えつつ、体重を乗せて押し返す。
「っ!」
気合い一閃、怪物は脳天から股へと真っ二つになった。絶命した巨体が大地に崩れ落ちる。
「無事?」
駆け寄るエレナの頬にも返り血が飛んでいる。
「うん……なんとか」
震える指で柄から手を離す少年を、僧侶が優しく包むように支えた。
「アキラさん、とても勇敢でしたよ」
その言葉に僅かばかり肩の力が抜ける。そして振り向いた先で待ち受ける次の敵を認識すると、再び恐怖が喉元までこみ上げてくるのを感じた。
それでも逃げ出すわけにはいかなかった。
なぜなら――これはまだ序章に過ぎないのだから。
「まったく……まさか街道までオークが出てくるとはね」
エレナが苛立たしげに鞘を叩く音が響く。手練れの剣士である彼女も、群れを成して迫る魔物相手には警戒を怠れない。街道脇の林から聞こえる野太い咆哮は次第に近づいてくる。
「数は二十ほど。弓兵なしの近接型ばかりだが油断できないよ」
セシリアが杖を掲げると水晶球が淡く輝き始めた。
「セシリアは魔法の準備を。エレナ、俺たちで先頭を抑える!」
アキラの声は年齢に似合わぬ落ち着きを湛えていた。
「アキラさん、無理しないでくださいね!」
ミリアの優しい声援を背に受けて、少年は前に出た。
「来るぞ――っ!」
エレナの叫びと共に森の中から醜悪な豚面の怪物たちが飛び出してくる。血走った目で人間たちを睨むその姿は生理的な嫌悪感を誘った。
しかし剣士は一歩も退かない。腰の細身剣を抜き放つと同時に体を低く構えた。
「さあ掛かって来な、豚ども!」
その言葉を合図に最初の一頭が棍棒を振り上げて襲いかかる。エレナの黄金の瞳が獲物を捉え、風を切る音と共に横薙ぎの一閃。肉厚な棍棒ごと怪物の右腕が宙を舞った。断末魔の叫びすら許さない鮮やかな手並みに、続くオークたちの足が止まる。
「今だ!」
アキラの掛け声で魔法使いが呪文を紡いだ。詠唱と同時に杖先から冷気の奔流が解き放たれる。吹き荒れる白霜の嵐が先頭集団を瞬時に飲み込み、魔物たちは悲鳴も上げられぬまま氷像へと変えられていく。
「ふぅ……これで半分」
セシリアが小さく息をつく間に、ミリアは前衛の二人に手を伸ばした。掌から柔らかな光があふれ出し、微細な傷を瞬時に塞いでいく。
「まだまだ!」
エレナが凍り付いた同胞の脇をすり抜けようとする残党に斬撃を浴びせかける。しかし一体が彼女の脇を突破しアキラへと殺到した。
「アキラッ!」
悲鳴に似た警告を耳にしながら、少年は剣を握り直す。それはこの世界に来て手にした鋼鉄の重み。現代日本で育った彼にとって命のやり取りはまだ馴染まない現実だった。
深呼吸一つ。眼前に迫る凶器の軌道が妙に遅く見える。刃と刃が激突し火花が散る。両腕が痺れるほどの衝撃を必死に堪えつつ、体重を乗せて押し返す。
「っ!」
気合い一閃、怪物は脳天から股へと真っ二つになった。絶命した巨体が大地に崩れ落ちる。
「無事?」
駆け寄るエレナの頬にも返り血が飛んでいる。
「うん……なんとか」
震える指で柄から手を離す少年を、僧侶が優しく包むように支えた。
「アキラさん、とても勇敢でしたよ」
その言葉に僅かばかり肩の力が抜ける。そして振り向いた先で待ち受ける次の敵を認識すると、再び恐怖が喉元までこみ上げてくるのを感じた。
それでも逃げ出すわけにはいかなかった。
なぜなら――これはまだ序章に過ぎないのだから。
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