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俺様と王子様と モブ(俺)
しおりを挟む「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏…」
「ちょっと怖がり方独特すぎない?」
「う、煩いぞ!!!!アイツが出て来たらどうするんだ!!!」
「ガォー!」
「いやそれはライオンだから。」
的外れな脅しに、逆に冷静になってしまった。
俺達はホラー映画を見終わり、次の見学先に移動することになった。
映画部?絶対入りません。
何故ならあのモブ部長がホラー大好きと言っていたからだ。
こんな反りの合わないことってあるんか?
そんなこんなで次に目指すは美術部だ。
美術部も下調べせず来てしまったけど、
まあチラッて見て帰るくらいでいいよなぁなんて思っている。
なんてったってここは旧校舎…嘉賀先輩に見つかる前にさっさと見学して退散しよう。
「見学か?」
低く心地の良い声が耳を掠める。
(こ、声が良い…!?)
バッと振り向くとそこには
「せ、生徒会長?!」
ニヤついている俺様がいた。
「そうだ。生徒会長様だ。」
うわテンプレ~!!
「あ、俺田中って言います。見学に来ました。」
「俺は里田です。田中の付き添い。」
「入部希望者は1人ってことだな。
言わなくてもわかるだろうが、俺は皇 秀だ。」
ー 圧倒的自信…ッ!
って、あれ?
「皇…?担任と同じ名字だ。」
「ア?兄貴のクラスの奴か…ご愁傷様。」
「あ、あ、兄貴ッ?!」
「あ、確かに似てますねー」
里田は呑気に秀の顔をじっと見ている。
里田の言う通り、髪こそ染めていないものの、確かに顔立ちや性格などが似てるかもしれない。
ちょっと俺様なところとか、大分俺様なところとか、過激に俺様なところとか!
あ、そうか。
会長の兄貴だから担任は教師なのにあんなイケメンに描かれてるのか。
納得納得。
「いつもお兄様にはお世話になっております!!!!!!」
「…お世話?目ぇつけられてるのか?」
「あ、今日は良い天気ですね!!!」
墓穴を掘りそうになったので、頑張って話題を変えた。
しかし、ここでも機転の効かなさが露見してしまった。
ちなみに今日は曇りだ。
「まあ、いいが。兄貴はあれでいて世話焼きなところがあるからな。お前のこと気に入ってんだろ。
田中って言ったか?」
「あ、ハイ。」
「こちらこそ兄貴が世話になってるな。」
(エ、ェェ~~~!めちゃくちゃ良い人…ッ!)
感動しきりだったが、ふとあることが気になる。
「生徒会長って、部活動もしてるんですね!」
忙しくてそんなことできないイメージだった
「まあ、俺は特例だな。優秀だから。」
(この人、言葉の端々で俺様感出ちゃってるよな)
ただ、これは自信と努力の現れなんだろう。
実際生徒会は仕事が多いらしいし、更に部活までできると言うことは、本当に優秀ということだ。
この人の機嫌は損ねてはいけないな!!!
「本当に凄いです!!きっと仕事の出来る先輩だからこそ、皆信頼して送り出しているんですよね!」
人間関係円滑にするのはやはり…ゴマスリな訳だ!!!!
と、全身全霊でゴマをすってみると
「…っ、そうか。」
…あれ?思ったよりも反応がない。
なんか寧ろ後ずさってしまった様な気がする。
「見学だったな、入れ。」
と、少し慌てて俺達を美術室に誘導した。
生徒会長の設定資料集の内容はあまり覚えていないが…
(ただの俺様ってわけじゃなさそうだな…)
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