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DLC本編
ゴミと化すプリント、あるよね
しおりを挟む「ちょっとは落ち着いた?もう俺からは何も出ないぞ!!」
「…残念」
黒木のされるがままになって10分ほど。
その間、俺に犬のように戯れあっていた黒木は、大満足とはいかないが落ち着きは取り戻したようだった。
「あの日、最後の日…急に消えちゃったから、本当に辛かった」
「う、ごめん」
そっか、そういえば最終日、クリアした瞬間に強制的に元いた世界に戻されたんだった。
みんなには月曜日も会えるって、そう思ってたのに。
その日のことを思い出すと、無性に心がざわついた。
でも、今こうしてまた会えている。
奇跡なのか、運命なのか。そんなの知らないけど、またこうして会話できて触れ合える。
だが、黒木はその日を忘れない、とでもいうかのように拳をキツく握った。
「田中君の家に行ってすぐ分かった。あっちに連れてかれたって。」
黒木は剣呑な色をさせた瞳で、虚空を睨みつけた。
(怖っ!どこ睨んでんの…?!)
第6感でこの状況を危機と捉えた俺は、華麗に話題を転換させた。
「そ、そんでさ、今日平日じゃないの?なんで学校行ってないのさ」
「今日は…たまたま」
「ふぅ~~~~~ん?そっかそっか、そんじゃこのプリントの束、別に宿題って訳じゃないのね。ふぅ~~ん?」
俺はテーブルの上に乱雑に放置された紙束から一枚紙を抜き出す。
それは明らかに“夏休みの課題プリント“だった。
「ホォラ!今が9月で、夏休みなんてとっくに終わってること、俺知ってるからね!!」
「うっ…ご、ごめん」
俺は悪役よろしくプリントで頭をパシッと叩く。
「そんな子犬みたいな顔してもダメだかんね!!病気じゃないならさっさと学校の支度!!」
「っいや!…田中君と離れたくない」
「ェェェ…全く、わがまま坊ちゃんだこと!」
断固として俺の腕から離れようとしない黒木を、ひっぺがしながら気が遠くなってくる。
散歩に行きたくないと渋り、力の限り抵抗する柴犬と飼い主の攻防戦のようだ。
(…向こうに帰る前は、俺がいなくてもやっていけそうだったのになぁ)
「しゃーない、俺も行く」
「え…」
「席はないかもしれないけど。ま、みんなの顔見たかったし」
俺は愚図る黒木を奮い立たせるため、さっさと玄関まで向かう。
案の定、俺を追うようにバタバタと足音が聞こえてきた。
「行く…行くからまって!」
「(チョロいやつめ…!) ならば、3分待ってやる」
俺は鼻を摘んだような声を発しながら仁王立ちした。
(アレ、この世界でもこのネタ通じるんかな?)
あのネタはどうやら通じていないようだったが、ドヤ顔の俺に気を遣ったらしい。
特にヤンデレの反発にあうこともなく校門を潜ることに成功した。
あまりにも上手く行った作戦に、俺は史上最凶のニタリ顔をしながら鼻歌リサイタルを繰り広げている。
「ふぅふんふん~!」
「上機嫌だね」
「そりゃあもう!打倒ヤンデ…あいや、みんなに会えるの1年以上ぶりだしさ。」
「…そう、だよね」
「ね、ね、もしかしてまたみんなクラス同じだったりする?そうだといいなぁ!」
「うん。今年も一緒。いないのは、田中君だけ」
「…あ~確かに、てへ」
そうだよな…前回この世界をクリアした時、もう転校するって宣言したもんな。
先生にも、転校届け出したし…ん?転校届け?…
「あ“あ“ぁ!!」
俺の突然咆哮に肩をビクつかせた黒木が、何事かとこちらを振り返る。
「やらかした…転校届け、出してなかった!!!!」
「え?」
「部屋の隅でゴミと化しているかもしれない…!!」
まずい、まずいぞ…!俺様何様担任様にせっかくご用意いただいた書類を出し忘れていたなんて。
しかも、消息を経って1年も経っているとか…
「THE END」
「よくわからないけど…頑張って」
ガタガタと震え出した俺を、引き気味に見つつエールを送る黒木。
ヤンデレにさえも見放された俺は、これから起こる受難を想像し足取りを重くした。
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