107 / 145
DLC本編
呼び出されてない!
しおりを挟む江隅との初めての共同作業(?)も無事終了し、クラスにそこそこ馴染んできた頃。
「はい、みなさ~ん!ホームルームの時間ですよ」
あっという間に時間が過ぎて、気がつけばもう下校時間になっていたらしい。
園児に話しかけるテンションで入ってきたモブ先生は、プリントの束を抱えていた。
「この間の小テストも返しちゃいます。…赤点だった子は補習だから明日の放課後、文化祭準備が終わったら残るように!」
プンプンというような可愛らしい効果音がつきそうな表情で、テストを返却していく。
みんなそれぞれテストに目を通すと、なんてことないような表情で紙をカバンに詰める。
(うわ~赤点って懐かしいな。久しぶりに聞いた。)
幼馴染にいじめられ、万年ぼっちで過ごしていた俺は、特に何もすることがなく勉強をしてた。
それだけに学校の勉強だけは得意だったから、こればっかりはいじめてくれたやつに感謝…するわけもない!!!!
いじめ撲滅!!イケメン憎し!!と心の中で唱えていると、隣の席から「げ」と呟くような声が聞こえた。
「どしたの」
「あ、いや…なんでもない」
声のした方を見ると、江隅が紙をくしゃくしゃに丸め、カバンに投げ入れているところだった…え?
「…ってちょっとちょっと!!それテスト用紙じゃん。なんでそんなくしゃくしゃに…」
「見間違いでしょ」
「もしや」
「…明日の放課後、予定なくてよかったわ」
「江隅…強く生きろよ」
頭良さそうなのに…と憐れみの目で江隅を見ると、それが伝わってしまったのか、ペンの先で脇腹を強めに突かれた。
「繊細な俺の柔肌になんてことを!」
「服の上からやったし、手加減したよ?」
「えぇ、痛かったもん!これほんと!!」
そうして1日目の体験学習を終えた俺は、ふらふらと千鳥足で職員室に向かっていた。
教室を出る間際、予想通りに『あ、そうだ田中君。帰りに職員室に寄って行ってくれるかな?』とお達しをいただいたのだ。
やはりこうなってしまったか…
“お仕置き“なんて怖いことを言っていた皇先生に見つかる前に、学校を立ち去ろうとしたのに…
「そうだ、職員室とは言ってもまだ先生がいると決まったわけではないしね。見つかる前に帰ろう…うん、そうしよう」
扉の前でうじうじ数分止まっていたが、意を決して扉を開け放った。
「失礼しま~す」
中を窺うと、一つの人影。
「モブせんせ「遅かったじゃねえか」…間違えました失礼しましたぁぁぁあ!!!!」
バタンッ!!
勢いよく扉を閉めたのはいうまでもない。
あれ?おかしいな。幻聴やら幻覚が見えているかもしれない。
モブ先生らしき人影がやたらキラキラオーラを纏っていたような…
汗をかきながらそんな現実逃避をしていると、腕を捕まれ職員室に引き込まれてしまった。
「ウグゥ!!」
「待っててやったのにその仕打ちか」
「だ、だってモブ先生に呼ばれたのに!!」
肝心の本人いないじゃないですか、というと、皇先生は納得したような表情で頷いた。
「田中のデリバリーをアイツに頼んだのは俺だ。ちなみにアイツには早々に帰ってもらった」
「裏切り者ぉおお!!」
「ま、諦めて座れよ…時間はたっぷりある」
促されて座ったスペースは、応接室のようなスペースで、外からは間仕切りで目隠しされている。
(…捕食される)
なんとなく悟ってしまった。なんてったって、悟君だからね!
焦りっぱなしの脳内では意味不明なことを考えまくっているが、外面はきちんとソファに着席している様は滑稽だ。
先生はそんな俺を気にする事もなく、俺の向かいで長い足を優雅に組んでいた。
表情はまさに獲物を捕まえた肉食獣。
恐る恐る視線を合わせると、先生は口角をあげ獰猛な笑みを浮かべた。
「さて、逃げ回ったツケをどう払ってもらおうか…なぁ、ダーリン?」
72
あなたにおすすめの小説
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる