BLゲームのモブ(俺)は誰にも見つからないはずだった

はちのす

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DLC本編

アバターメイキング

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「タダイマイハウスゥ…」


逃げ帰るように走り出した俺は、体力が尽きるまで走り続けた。そして今、なんとか家に辿り着いている。

人間やればできるんだな、こんな距離を全速力で走ったの初めてかもしれない。


「うう、厄日だ。厄日すぎる。なんなのあの世界観ッ!!」


嘉賀先輩はああみえて賢いから、拳で語り合うだけだった。

(今日見たあれは、明らかに過剰防衛じゃん!!!)


「なんか足で蹴ってたよね…ひっ、人を、サッカーボールみたいに!!」


(人間は蹴るものじゃありません!!…いや、当たり前すぎるだろ)

近所のオカンかの如く叱りつけたい気分だが、こちらからあんなヤンキーに関わりに行く義理はない。

あの学園ってこんなことも起こるんだな、と思わず遠い目をしてしまった。

震える手でパソコンを立ち上げる。


「まずはガチャ、ガチャをやろう…」


ちょっとでもゲームっぽいことして落ち着かなきゃ、と夢中でガチャを一度回した。

(今はリアルを感じたくないんだもん…)


「…R?これははじめての特典だ」


Rのカプセルが開くモーションが入る。
そこに表示されたのは、マップ機能の画面。

2日も前のことだから記憶が薄れてたけど、R特典はアバターメイキングと書いてあったのは見た気がする。


「そっか、やっぱりここに表示されるアバターの特典なんだ」


カチッとマップ画面をクリックすると、2つのアバターを選択できる画面が表示された。
選べるのは1体だけらしい。

マップ上を行き来しているようなアバターは、こちらを見て手を振っている。

キャラ選択の時って、こういう可愛らしい動きされると選びにくいよね!
選ばない方への罪悪感とかね…!


「へー、焦茶色か銀髪か選べるのか…ん?」


目を細め、そのアバターをじっくりと観察する。


「っ、こ!!これ!!!」


まさか…この髪色は。


俺は慌てて銀髪のアバターにカーソルを合わせる。

そこにポップアップで表示されたのは。


「嘉賀、宗治…!ということは、もう一人は秀先輩だ!!え、どうして…?」


アバターメイキングなんて言うから、よくあるアバターゲームの衣装とかが出てくるのかと思った…!


「ど、どっちにしよう」


(これ、究極すぎない?)

いつもこの世界は俺に酷な選択を迫ってくるな。

フッ、と格好つけた笑みを浮かべておちゃらけてみたが、事態は何も変わらない。


「ん~どうしよっかな、どうせどっちも引くために頑張るけど…あ。」


瞬間、俺の頭に駆けたのは今日の屋上での出来事。
バッチリ見てしまったあの事件現場、今後は気をつけるとしても、万が一サッカーヤンキーに覗き見がバレていたら…!

縋るわけではないけど、手は勝手に動いてしまっていた。


「嘉賀先輩…、俺今、命が危ういかもしれないので助けてください!!」


選択されたアバターは手を振るのをやめると、マップ上の学校から少し離れた位置に座り込んだ。

もしかして、これでDLCの世界でも嘉賀先輩に会えるようになった…ってことかな。


「ここ、嘉賀先輩の家?結構学校から離れてるなぁ」


帰る直前の先輩の様子を思い出すと、今度こそキレ散らかされること間違いなしだけど、緊急事態だし。
背に腹はかえられぬってわけね!

今度行ってみよう、そう決意してマップを閉じた。


「さぁて、気合い入れてもう一回引きますか!」


ドキドキしながらガチャを回すと、見覚えのある演出が始まった。

画面表示が切り替わり皆のイラストが代わる代わる出てくる。

…初回に見たぞ、この画面。ってことは!


「か、確定演出!SR確定演出だ!!」


カプセルが開くモーションと同時に、部屋が眩い光で満たされた。

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