BLゲームのモブ(俺)は誰にも見つからないはずだった

はちのす

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DLC本編

人違いでした!!!

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「なるほど、そういう事だったんですね。今日の準備はもう終わっていますので、お家に帰ってゆっくり休んでくださいね」


江隅に言われた通り職員室に向かうと、モブ先生はソワソワと落ち着きなく立ったり座ったりを繰り返していた。

どうやら俺が目を覚ますのを待っていたらしいけど、その光景が面白くて数秒外から眺めてしまった。


「先生、肝が冷えました…」

「いやぁ寝不足で…どこも痛くないんですけど、しっかり寝ちゃったみたいです。すみませんでした!てへ」

「江隅君も見たことがないくらい慌ててたんですよ…よくよくお礼を言ってくださいね」


先生に見送られながら職員室を後にした時、ふとあることに気がつく。


「あ、そういえば鞄とか全く持ってきてないじゃん…置き去りになってるかも」


教室に向かうと、案の定。
俺の鞄だけ机の上に放置されていた。
他のみんなはもう下校しているようで、教室はもぬけの殻だった。

もちろん江隅も例外ではなく。


「優しいんだか薄情なんだか微妙だ…っ!!」


クッ、と奥歯を噛み締めていると、ふと窓の外の旧校舎に視線が奪われる。


「あれ、屋上に…人影?」


嘉賀先輩がいたあの屋上に、小さな人影を見つけたのだ。
見間違いかな、と思ってよくよく目を凝らすが、やはり確実に何かしらの影が見える。

そう認識すると、怒涛のように、記憶がフラッシュバックしていった。


「先輩、なわけないか。でも、気になる…」


一度気になったら止められない性分の男、田中。
自分の目で確かめるために、屋上に向かう他、選択肢なんてない!!!

『もしかすると、万が一、いや1%の確率くらいで嘉賀先輩かも』そんな考えが頭を占拠していた。

…そう、その時の脳みそは、学園の不文律なんてすっぽりと抜け落ちていたんだ。





『おっ邪魔しまぁ~す…』


未だに少し建て付けが悪いドアノブを握り、限りなく小声で侵入宣言をしながらゆっくりとドアを開く。

だが、パッと見渡しても誰もいない。


「ん、誰もいない?…上かな」


(そういえば嘉賀先輩も、いつも給水タンクあたりで寛いでたもんな)

軽やかに梯子を登り始めた俺だが…梯子を登りきることは叶わなかった。


「っ」


梯子の中腹くらいで見えた光景に絶句してし、思わずその場で動作停止してしまう。

夕陽による逆光で詳しくは見えないが、怒鳴る声や影で何が起こっているかは判別できる。


ゴロリと転がる生徒、約3名。
そしてそれを足蹴にする生徒が1名。

明らかに喧嘩の跡、だ。
…この雰囲気、嘉賀先輩じゃない。


(え、待って待って!俺、突然違う世界観の作品に迷い込んだ?

ク○ーズ?!ヤンキー漫画か何か?!?!)


盛大にビビった俺は、その生徒の視界に入る前に脱兎の如く逃げだした。

それこそ、あの世紀の怪盗のように。

バタン!とドアが閉まる音を聞きつけた人影が、視線を下に移す。


「あ"?…なんかいたか」


転がる生徒に視線を戻した人影は、寝転ぶ生徒の頭を踵で踏み抜く。


「テメェら、まだいやがんのか。ただの喧嘩に数は要らねぇだろ」

「っ、違…」

「は?じゃあ今の音はなんだよ」

「知らねぇ…っぐ!」


床に転がり呻く体を苛立たしげに蹴り上げ、前髪を掻き上げる。


「はぁあ…またかよ、面倒くせえな」


フワリと吹いた風が、陽を受けて輝く茶の髪の毛を持ち上げた。
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