BLゲームのモブ(俺)は誰にも見つからないはずだった

はちのす

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DLC本編

そんなことある?

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月9ドラマの主人公も裸足で逃げ出すほどの台詞をまともに浴びた俺。

しかも、ソファの背や、やけに整った顔やらに囲まれ、まさに四面楚歌の状態だ。

(泣きそう…)

秀先輩だし、まさか如何わしい展開にはならないだろう、なんて高を括ってたのが裏目に出た…っ!


「ちょ、ちょっと待ってください!」

「そうか、待とう」


(えっ、止まった!?)

今にも唇が触れるというタイミングでストップを掛けた…けど、本当に止まってくれるとは。

さすが秀先輩、無理に事を進めないあたりが配慮の鬼だ。


「一応聞いておくが、いつまで待てば良い」

「えと、その…」

「ふふ、すまない…愚問だったな」


秀先輩は少し困ったように眉尻を下げ、俺から身体を離した。

なんだか俺が悪いことをしたようにすら感じてしまう。

いや、揺らぐな田中。断ることも大事!


「先輩。俺、お茶入れてきます!」

「あぁ、ありが……ん?」


何とか言い訳をつけてこの場を去ろうとした。
が、先輩の雰囲気が変わった事を察知して、その場に止まった。

先輩の指が何かに触れたらしく、視線を移した瞬間、ビクッと肩を大袈裟に揺らして先輩の動きが停止したのだ。


「田中…これは」

「え、先輩?どうしたん……ッギャーーー!!!!」


先輩の震える指が掴んでいるのは、禍々しい棒。
つまりはガチャのN特典で出て来た1人遊び用あるいはより盛り上がるための…だ。


「ま、先輩!ちょっと待って!!見なかったことに…!」

「見なかったことにしろって?コレを?…無理な話だろう」


こちらを振り返った先輩はマジな目をしていた。

立ち上がろうとしていた俺は呆気なくその腕に抑えられ、息が掛かるほど顔が近くなる。

(うわっ、顔近?!)

気恥ずかしさから、かなりのスピードで顔を逸らしてしまった。

うわ、今絶対首ゴキって鳴ったよ。

そんな俺の様子を見て、秀先輩はどう勘違いしたのか…眉間に皺を寄せて傷付いた表情を浮かべる。


「本当に嫌、なのか。こんな物を使っていても、俺は受け入れられないか?」

「ち、違いますって!それは使ってないし、先輩のことは…っ!」

「答えてくれ。俺の想いは迷惑か?」


真に迫るような問いに、思わず息を詰まらせてしまう。


「迷惑なんかじゃない!…けど、俺がフラフラして、皆に嫌な思いをさせちゃう」


世間一般の浮気性とかいう問題じゃないぞ。
俺の場合は、フラフラの度合いが時空を跨ぐレベルなんだ。
迷惑掛けるとかどうとかいう次元の話じゃない。


「…」

「ごめ、ごめんなさい…でも、迷惑ではないことは分かって欲しくて」

「じゃあ俺にも心が傾く可能性があるのか?」

「…へ?」


スルリと制服のネクタイを抜かれる。

…おや?
出来る限りの謝罪とお断りは伝えた筈だが?


「何も告げずに逃げられた相手に、一年越しに出会えたんだ。そんな事じゃ諦められないな」


迷惑じゃないなら、これは受け止めてほしい。

そう言葉を続け、鎖骨に口付けられ、強く吸われた。
多分、印を残されたんだろう。


「あ…」

「コレを使うならいいか?」

「いやだから使ってなくて…っうう」


完璧にそのキャラになっちゃってるじゃん、不名誉すぎる。

(もう分かったから、その手に握っている棒をしまってくれ…っ!!)

諸悪の根源である棒を奪ってポイッと放ると、秀先輩の胸に顔を埋めた。


「いいですけど、気持ちに応えられるかは…」

「それは俺の実力次第、だな」


そう言って不敵に微笑む。

(この顔をされると弱いんだって…むしろ勝てる人間を見てみたいわ)

頑として譲らない秀先輩に根負けした俺は、おずおずとその膝に乗り上げた。

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