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1章 ようこそ魔法の世界!
2 この森、なんかおかしい
しおりを挟む歩き出してすぐに俺の心を折る出来事が見舞う。
ーあれ、明らかに動物じゃない…!
木陰に身を隠しつつ、少し先の川に口をつける獣を盗み見た。
ウサギのようなフォルムをしているが、後ろ足が異様にデカい。
いやホントだって。嘘言ってない。
バランスで言うと、蟹の爪と身体位の比率なのだ。
後ろ足と身体で6:4と言ったところか。
(新種とかそんな話聞いた事ないし、状況のチグハグさから見ても、おかしな事に巻き込まれたのは確定だな。)
ハァ…と思わず溜息が漏れた。
俺何かしたっけ…?
兄貴のプリン盗み食いした位しか悪行が思い当たらない。
そんな奴この世に五万といるはずなのに、何故俺だけ…
クヨクヨしているうちに、先程のウサギ(仮)は水を飲み終え立ち去ったらしい。
川のほとりには生物の影は見当たらない。
(何にせよ、早く人間がいる場所に…)
そこまで考えて、俺は身を固くした。
ーそもそも、人間はいるのか…?
流石の俺でもこの環境が普通じゃない事くらい分かる。
近くにあった花に触れた。
タンポポに似ているが、花の丈は俺の腰ほどもあった。
俺は179cmと低くはない身長だったはず。
時間経過、周辺の動植物の奇形、挙げようと思えば幾らでもある疑問点。
この特殊な環境下だ。
もし、人間が居なかったら…そんな思考に囚われそうになった。
日が落ちたら、いよいよ不味いかもしれない。
考えるよりもまず、どこか安全な場所を見付けないと…!
居ても立ってもいられず、俺は走り出した。
何を隠そう、駅ダッシュの自己新記録を叩き出した絶好調な俺だ。
走り出したら誰にも止められん!!
自身の腰程もある花や、圧倒的な大きさを誇る木々に留る鳥の視線を振り切り激走する。
とりあえず、あの開けたところまで走ろう。
視界の端に捉えていた空間目掛けて走り続ける。
「ハァッ…!!…ぁ…建物!!」
視界が開けたその先に見えたのは、
「ヨーロッパの城…じゃないよな」
歴史的遺産です。
と言われても納得してしまうような、白茶の石造りの建物だった。
あたかも映画に出てきそうな荘厳な造りだ。
城のような外観に、建築物の頂上には振り子時計。
遥か上にあるためか、針は見えない。
外塀は赤茶のレンガ造りで、所々に彫像が設置されている。
ちょうど正面と思われるこの場所からは、門の内部まで観察できた。
内部には同様の様式の建物がいくつかある様だ。
「なんか、大学のキャンパスっぽい…?」
この様な贅沢な造りはキャンパス意外に思い当たらない。
覗き込もうとすると、横から声を掛けられた。
「そこの君、何してるの?学院生かな?」
「へ?」
この声は…人?!
さっき見た時は誰もいなかったはず…!
超速で横に顔を向けると、そこには
「うわ!驚いたあ!物凄くよく回る首だね!」
彫りの深い芸術的な容姿の、
彫像がこちらに向かって手を挙げていた。
「…○#×□✴︎△&…」
ついにキャパシティをオーバーした俺は、視界をブラックアウトさせた。
ー俺ってばバカだなあ!
彫像が、喋る訳、ないだろ…
「ええ!君!!だ、大丈夫?!」
ユサユサと身体を揺すられる感触を感じながら、目蓋を閉じた。
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