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2章 新生活スタート
25 この世界について
しおりを挟む保健室は間抜けの殻だった。
それで給料貰っていいのか保険医…
実を言うと、居なくて助かっているんだけど。
先程はああやって誤魔化したけど、実際転倒してないからどうやって傷を作ろうか悩んでたところだったのだ。
絆創膏のようなものを拝借して適当な位置に貼った。
よし、これでいいだろう。
すぐに帰ると怪しまれるから、適当に時間を潰す。
…一人でゆっくり考え事する時間もなかったし、良い機会かもしれない。
(一度この世界と学院について整理してみよう。)
この世界には魔力があって、4つの属性に分かれている。
それぞれの属性に特徴的な色があり、普通はその色で属性判断が出来る。
髪の色がメインの属性を表してて、それ以外の魔法は適性があれば使えなくも無い。
ただ、副作用を伴うから使わない人が大半。
(まあ、バールさんの様にイレギュラーな人もいるけど…)
で、耳や尻尾がついてるのが魔獣が人型になった状態。
このタイプは皆力が強く、長く生きているらしい。
(知り合いでは、グリフとマーナかな…)
この学院では、魔獣も受け入れていて、学院内でもちょこちょこ見る。
だけど、さっきのザックの反応…魔獣の立場は安定したものでは無いのかもしれない。
木属性の剣技クラスには魔獣がいないけど、魔技クラスとかにはいるのか?
(それにしても、うちのクラスって人数少ないよな…なんでだろう。)
魔技クラスは2組か、それ以上のクラス数があると聞いているから、人数比のバランスが悪いと予測はつけてたけど…
4人か…
リンゴーンリリンゴーン
この独特な音の鐘は、授業終了の合図だ。
さて、教室に帰りますか。
*****
「カンザキ、飯行かない?」
2時間目の国史の授業を終え、伸びをしていたところユージンにランチに誘われた。
あ、ちなみに、保健室から帰ってきた時にはめちゃくちゃ心配されました。
「保健室に行ってたって聞いた…どこか怪我した?痛くない?」やら「魔獣に襲われたのか?」と矢継ぎ早に質問され、怪我がないか身体チェックされた。
俺の母親かよ…と遠い目をしてしまったのは許して欲しい。
ユージンは甲斐甲斐しい反面、ちょっと心配症なところがあるかもな。
「おー行く。」
勿論お弁当なんて持って来ていないので、食堂一択だ。
ふと視線を感じ振り向くと、ザックが慌てて目を逸らした。
もしかして、俺の事見てた?
だが、声を掛ける前に外へ出て行ってしまった。
何かあったのか?
「…カンザキ、ザック君と仲良くなったのか?」
「まあな。」
「そう…良かったね。」
ユージンがどこか寂しげな雰囲気を醸し出したが、すぐに歩き出す。
気のせいだったか?
「実はうちの学院のランチは結構人気なんだよ。早めに行かないとメニューによっては品切れになるぞ!」
ニッコリと笑いながら俺の腕を引いた。
*****
腕を引かれて着いた食堂は、混雑のピークなのか、一番の混み具合だ。
「確かに、すげえ混んでるな…!」
「席あそこ空いてる。ラッキーだな。」
注文したのは肉料理。
いつもマーナが食べてて気になっていたのだ。
あからさまに同じもの頼むのも気が引けるから、絶好の機会だった。
「へえ、これ美味しいな。なんの肉使ってるんだろう。」
「ああそれ?食堂の裏手で飼ってる家畜を捌いてるらしい。」
ゴフッ!!
「え、すぐそこの倉庫の事か?」
「そう。良く知ってるな。」
倉庫は、前に校内を散歩した時に見つけていた。
あの倉庫で家畜飼ってたんだ…というか自足自給なんだ…。
意外な事実に驚きはしたが、それならこの美味しさにも納得だ。
「なあ、ユージン。午後の授業ってなんだっけ。」
「午後は…ああ、魔法座学と薬学だ。」
「へえ、薬学もやるんだ。」
「そう。近衛団は特に、護衛の任務に就くことが多いからな。
暗殺に使われる薬は多種多様だし、敵を知らなきゃ護衛は務まらないだろうね。」
「あ、暗殺…」
物騒なワードが出て来た。
やっぱり要人警護とかには付き物だよな。
「そういえば、ユージンは将来何になりたいんだ?」
「え?俺?そうだな…騎士団に入りたい。「天職だと思う。」え?!あ、ありがとう…。」
食い気味に肯定すると、ユージンは顔を仄かに赤くし喜んだ。
「騎士団は戦場に赴くんだ。例えば、魔獣が凶暴化した存在である"悪獣"を狩りに行くとかね。」
(魔獣が凶暴化?そりゃ物騒だな)
ただでさえデカかったり牙を剥いて来たりするのに、さらに凶暴化するとは…
凶暴化ってどういうのだろう?
俺の知る唯一の魔獣、ラビッツが凶暴化する様子を妄想し、身震いしながらご飯を終えた。
なんならその後の午後の授業も、
ラビッツが凶暴化して俺の腕に噛みついてくるイメージが離れなかった。
普通のウサギの可愛らしい顔をしながら凶暴化されたら、帰ってからもウサギ恐怖症になる自信がある。
元の世界に帰ることができたら、家にある兄貴の白ウサギの縫いぐるみも実家に送り返そう。
いつ帰れるかもわからないが、そう決心をした。
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