ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!

はちのす

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ヒーロー組織<ビジランテ>

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「び、ビジランテ…?」


『そうだ!!このゾンビが溢れる世界で、ヒーロー活動をしている!!!』


至近距離で叫ばれ、鼓膜がキーーーーンッと悲鳴を上げる。


(いや声がデケェ~)


どこぞのラーメン屋店主のように、仁王立ちでドヤ顔をキメるこの男。

自称、自警団?ビジランテ?らしい。

俺の地域でそういう制度あったっけなあ…?
なんて暢気に考えていると、また不吉な音がした。


「…ぁがぁ~」


「ひっ、ぞ、ゾンビ…!!」


俺は店長の時の恐怖が蘇り、自称自警団に縋り付く。


『ハッーハッハッ!君、そこで見ていたまえ!

これから君を安心させてあげよう。』


相変わらずの大音量でそう言うと、
俺をそっと物陰に隠した。

瞬間、彼はとんでもないスピードでゾンビの目の前まで移動する。


「え、早っ…!」


目にも留まらぬ速さで足を振り抜くと、
腹に蹴りがヒットしたゾンビは、オモチャのように飛んでいった。


ドガァァァァッ!!


人が出したと思えない衝突音を巻き起こしながら、物理法則を無視した軌道を描く。


『ハーッハッハッ!ホームランッ!!!』


「え、えぇ…」


ウィルス漏出なんていうファンタジーでこの世が終わりを悟った気になっていたが、今はそれ以上に信じられない事が眼前で起きている。


『どうだ?!安心しただろう!』

「え"?!安心、というか…逆に不安というか…」

『む?!何故だっ』

「色々な事がありすぎて、もうここって…日本じゃないんじゃないかって…」


話し始めると、途端に込み上げてくるものがあった。
久しぶりに人と話すことができて、しかもそれがヒーローだなんて、奇跡が俺に起きたんだ。

安心して緊張が抜けた俺の目には、膜が張ってしまっていた。
まだ安全とは言い切れないから、泣いちゃいけない、のに。


「俺、大好きな人…死んじゃって…っ!
もうどうすればいいのか、分かんない…」


涙は止めどなく溢れ、拭っても拭っても、流れ落ちてしまう。


『……そうか』


白髪のヒーローは、片膝を立てて屈むと、俺を抱きしめた。

子供を落ち着かせるように、ゆっくりと背をさする。


『無理に気持ちを抑えなくていい。君が悲しむ気持ちも、悔しく思う気持ちも、大切な感情だ』


そこまで話をして区切ると、身体を離して俺の顔を見ながら微笑んだ。


『君の事は責任を持って俺が守ろう。だから君は、君が救える人を救ってくれないか』

「救う…?」

『君も、ビジランテに入ってくれ』

「お、俺が?!さっきみたいに戦うんですか?!」

『違う違う、それは得手不得手があるからな。君になって欲しいのは、サポートメンバーだよ』

「サポートメンバー…?」

『そうだ。俺達が戦いやすいよう、生活のサポートをしてくれ』



…俺の日常は、音を立てて崩れ落ちた。
でも、まだまだ光り輝く道がある。


これは、最強のヒーロー達の生活を守るサポートメンバー(俺)のドタバタな日常の物語だ。
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