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第20話 母の母性
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翼はそっとキラリの側へ近寄る。翼はキラリの目の前に立ってそっと声をかけてみた。
翼「なぁ…キラリ…ちょっといいかな?」
キラリは本をパタンッと閉じてスッと立ち上がり、そして翼の横をすり抜けて行こうとした。
しかし翼はキラリの腕を掴み
翼「キラリ…頼むから少し話をさせてくれないか?」
キラリは立ち止まり振り返らずに
キラリ「何?なにか私に用?」
キラリはぶっきらぼうな口調で言った。
翼「あのさ…お前が寂しくて怒ってるなら謝るよ…ただ…俺にも付き合いがあってさ…」
キラリは翼の言葉を遮(さえぎ)って声をあらげて言った。
キラリ「別に謝るような事なんか無いんじゃない!?」
翼「え!?」
キラリ「翼は翼のダチだったり仲間だったり…付き合いとかいろいろあって…そんなのいちいち私に報告する義務も無ければ謝る必要だってないじゃん!」
翼「じゃあ…お前はいったい何でそんなに怒ってんだ?」
キラリ「別に怒ってなんかねぇよ!!!なんだよ人の顔色ばかり窺(うかが)いやがって!
お前にはチヤホヤしてくれる女がたくさん居るんだろ?イチャつく女がたくさん居るんだろ?
どうせこんな面倒くさい女なんかよりも、そういう女と一緒に居た方がずっと楽しいんだろ?
こんな面倒くさい小学生の勉強も全然出来ないような女に勉強なんか教えるのもダルいとか思ってんだろ?
私の居ない所でそういう女に私のことバカだアホだと言いふらして楽しんでんだろ?
こんな面倒くさい女にもう勉強なんか教えなくても良いんだよ!
もう王子様なんか演じてくれなくて良いんだよ!
もうこんなバカな女に勉強教えてくれなくったって…一人でやれるからさ………
だから………
だからもう…
解放してやるから………
どこでも好きな所行っちまえよ…」
翼「キラリ…」
キラリ「もう私には翼なんて必要ねえんだよ!!!!!!」
翼「………………」
翼はキラリの腕を力なく離して、クルリとキラリに背を向けて歩き出した。
キラリの目からボロボロと涙がこぼれ落ちていた。
翼は一度立ち止まり、静かに口を開いた。
翼「そっか…お前は俺に居なくなって欲しいんだな?」
翼は少しの間キラリの言葉を待ったが、何も言わないキラリを置いてこの場を去ってしまった。
キラリは翼の後ろ姿を、涙でにじんだ目で追いながらその場に泣き崩れてしまった。
それから数十分、キラリは泣き疲れて家に帰って来た。
キラリ「母ちゃん…ただいま…」
キラリはリビングを覗いたが誰も居ない。
寂しさと虚しさが津波のようにキラリを襲った。
キラリは翼の部屋のドアが開いていたのでこっそり覗いてみたが、そこにはもう…翼の荷物は一つ残らず消えていた。
それでもキラリは、翼がすぐに戻ってきてくれるのではないかという期待を心の奥にくすぶらせていた。
それからもキラリは、学校から帰ると凛花の家に行って小学校の勉強を教えてもらいながら必死に課題に取り組んでいた。
凛花も一生懸命小学校からやり直すキラリを応援してそれに付き合った。
キラリの中にはまた翼が帰って来たとき、キラリが自分から課題を進めて頑張ったことを誉めて欲しいという願望があった。
キラリは今日は帰ってくるかな?明日は帰ってくるかな?そんな淡い期待を胸に毎日頑張っていたのだが……
それから一週間経っても二週間経っても翼の姿はおろか、何の連絡さえも来なかった。
キラリはお金もそれほど無いはずの翼が、本当に他の女の元へ行ってしまったのではと心配になり始めた。
薫はキラリのそんな健気な姿を見守っていた。しかししびれを切らしたキラリが薫の元へやって来た。
キラリ「ねえ…母ちゃん…〝フラップ.フリーリー〟って知ってる?」
薫「あぁ、すごく人気のあるインディーズバンドでしょ?」
キラリ「え!?母ちゃん知ってるの?」
薫「だって…翼がそこのヴォーカルやってるじゃん」
キラリ「母ちゃん知ってたんだ…」
薫「どうして?翼のことが気になる?」
キラリ「そ…そんなわけ……翼はあれから…何も?」
薫「そうだね」
キラリ「そっか……あいつは……どこか他の女の所にでも転がり込んだんだね…きっと…
良かった…他に行くところがあって…
だってさ…こんな頭の悪い女に家庭教師なんかやって…面倒くさくて、ケンカばかりしてるよりも……
あいつにチヤホヤしてくれる女と一緒に居た方がよっぽど楽しいだろうし……」
薫「そう?キラリはそう思うの?」
キラリ「だって……見ちゃったんだもん……翼が群がる女に囲まれて……
それで……
キスされてる所…」
薫「それで?あんたはしっぽ巻いて逃げて来たわけだ」
キラリ「べ…別に…逃げてきたとかそんなんじゃ無くて…翼のことなんか…」
薫「キラリ…こっちおいで!」
薫は両手をキラリに向かって差し出していた。
キラリは母の胸に飛び込む。
薫「キラリ…もうそんなに意地張らなくていいよ!キラリがどれだけ翼のこと好きなのかは十分わかってるから…だから…もう翼のこと責めないであげて…そして…ここに翼をもう一度受け容れてあげなさい!」
キラリ「母ちゃん………」
キラリは薫にずっと助けを求めたかった。その想いが今解放されて、堰(せき)を切ったように溢れ出した。
キラリ「母ちゃん…辛いよ…会いたいよ…翼に会いたいよ…戻ってきて欲しいよ…すごくすごく寂しいよ……」
薫の服の胸からお腹の辺りまで、キラリの涙でビショビショに濡れていた。
翼「なぁ…キラリ…ちょっといいかな?」
キラリは本をパタンッと閉じてスッと立ち上がり、そして翼の横をすり抜けて行こうとした。
しかし翼はキラリの腕を掴み
翼「キラリ…頼むから少し話をさせてくれないか?」
キラリは立ち止まり振り返らずに
キラリ「何?なにか私に用?」
キラリはぶっきらぼうな口調で言った。
翼「あのさ…お前が寂しくて怒ってるなら謝るよ…ただ…俺にも付き合いがあってさ…」
キラリは翼の言葉を遮(さえぎ)って声をあらげて言った。
キラリ「別に謝るような事なんか無いんじゃない!?」
翼「え!?」
キラリ「翼は翼のダチだったり仲間だったり…付き合いとかいろいろあって…そんなのいちいち私に報告する義務も無ければ謝る必要だってないじゃん!」
翼「じゃあ…お前はいったい何でそんなに怒ってんだ?」
キラリ「別に怒ってなんかねぇよ!!!なんだよ人の顔色ばかり窺(うかが)いやがって!
お前にはチヤホヤしてくれる女がたくさん居るんだろ?イチャつく女がたくさん居るんだろ?
どうせこんな面倒くさい女なんかよりも、そういう女と一緒に居た方がずっと楽しいんだろ?
こんな面倒くさい小学生の勉強も全然出来ないような女に勉強なんか教えるのもダルいとか思ってんだろ?
私の居ない所でそういう女に私のことバカだアホだと言いふらして楽しんでんだろ?
こんな面倒くさい女にもう勉強なんか教えなくても良いんだよ!
もう王子様なんか演じてくれなくて良いんだよ!
もうこんなバカな女に勉強教えてくれなくったって…一人でやれるからさ………
だから………
だからもう…
解放してやるから………
どこでも好きな所行っちまえよ…」
翼「キラリ…」
キラリ「もう私には翼なんて必要ねえんだよ!!!!!!」
翼「………………」
翼はキラリの腕を力なく離して、クルリとキラリに背を向けて歩き出した。
キラリの目からボロボロと涙がこぼれ落ちていた。
翼は一度立ち止まり、静かに口を開いた。
翼「そっか…お前は俺に居なくなって欲しいんだな?」
翼は少しの間キラリの言葉を待ったが、何も言わないキラリを置いてこの場を去ってしまった。
キラリは翼の後ろ姿を、涙でにじんだ目で追いながらその場に泣き崩れてしまった。
それから数十分、キラリは泣き疲れて家に帰って来た。
キラリ「母ちゃん…ただいま…」
キラリはリビングを覗いたが誰も居ない。
寂しさと虚しさが津波のようにキラリを襲った。
キラリは翼の部屋のドアが開いていたのでこっそり覗いてみたが、そこにはもう…翼の荷物は一つ残らず消えていた。
それでもキラリは、翼がすぐに戻ってきてくれるのではないかという期待を心の奥にくすぶらせていた。
それからもキラリは、学校から帰ると凛花の家に行って小学校の勉強を教えてもらいながら必死に課題に取り組んでいた。
凛花も一生懸命小学校からやり直すキラリを応援してそれに付き合った。
キラリの中にはまた翼が帰って来たとき、キラリが自分から課題を進めて頑張ったことを誉めて欲しいという願望があった。
キラリは今日は帰ってくるかな?明日は帰ってくるかな?そんな淡い期待を胸に毎日頑張っていたのだが……
それから一週間経っても二週間経っても翼の姿はおろか、何の連絡さえも来なかった。
キラリはお金もそれほど無いはずの翼が、本当に他の女の元へ行ってしまったのではと心配になり始めた。
薫はキラリのそんな健気な姿を見守っていた。しかししびれを切らしたキラリが薫の元へやって来た。
キラリ「ねえ…母ちゃん…〝フラップ.フリーリー〟って知ってる?」
薫「あぁ、すごく人気のあるインディーズバンドでしょ?」
キラリ「え!?母ちゃん知ってるの?」
薫「だって…翼がそこのヴォーカルやってるじゃん」
キラリ「母ちゃん知ってたんだ…」
薫「どうして?翼のことが気になる?」
キラリ「そ…そんなわけ……翼はあれから…何も?」
薫「そうだね」
キラリ「そっか……あいつは……どこか他の女の所にでも転がり込んだんだね…きっと…
良かった…他に行くところがあって…
だってさ…こんな頭の悪い女に家庭教師なんかやって…面倒くさくて、ケンカばかりしてるよりも……
あいつにチヤホヤしてくれる女と一緒に居た方がよっぽど楽しいだろうし……」
薫「そう?キラリはそう思うの?」
キラリ「だって……見ちゃったんだもん……翼が群がる女に囲まれて……
それで……
キスされてる所…」
薫「それで?あんたはしっぽ巻いて逃げて来たわけだ」
キラリ「べ…別に…逃げてきたとかそんなんじゃ無くて…翼のことなんか…」
薫「キラリ…こっちおいで!」
薫は両手をキラリに向かって差し出していた。
キラリは母の胸に飛び込む。
薫「キラリ…もうそんなに意地張らなくていいよ!キラリがどれだけ翼のこと好きなのかは十分わかってるから…だから…もう翼のこと責めないであげて…そして…ここに翼をもう一度受け容れてあげなさい!」
キラリ「母ちゃん………」
キラリは薫にずっと助けを求めたかった。その想いが今解放されて、堰(せき)を切ったように溢れ出した。
キラリ「母ちゃん…辛いよ…会いたいよ…翼に会いたいよ…戻ってきて欲しいよ…すごくすごく寂しいよ……」
薫の服の胸からお腹の辺りまで、キラリの涙でビショビショに濡れていた。
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