地下迷宮(ダンジョン)を冒険するのは楽しいものだと決まっている

CROWN

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「ピギャヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤ」

  僕は最弱モンスターのゴブリンを倒しホッと安堵の息をついた。

  只今、冒険の途中である。ダンジョンにもぐり様々なモンスターと戦闘を行っている。

「ヒール」

  ゴブリンの攻撃で傷を負った体を、パンツが見えそうなぐらい短いドレスを纏った少女に魔法で治してもらった。

  この少女の名はリザ。共に冒険している仲間の1人だ。

  腰まで伸びている美しい黒髪。碧色のドレスから見えるむっちりとした太股。これぞとばかり主張している大きな胸。少し幼い感じのある顔も魅力的である。そして、僕の顔を見るその瞳はドレスより薄く輝いている。

「大丈夫?」

  リザは優しく声をかけてきた。

「うん、大丈夫」

「それなら良いけど⋯、もう勝手に飛び出したらダメだからね!!」

「⋯はい」

  リザに説教をくらってしまった。

  まあ、それは仕方のないことだと思う。僕はいつも突っ走り負傷してしまう。その度にリザに治してもらっているのだ。これでも、改善しようと心がけているつもりだ。一応。

「ユイト、また説教くらってんのかよ。お前ら親子みたいだな」

  1人の少年が頭で手を組み、笑いながら茶化してきた。

  この少年は僕達の仲間のソーマだ。

  軽装に包まれた細身の体。笑顔が似合う整った顔立ち。それに反する真紅の眼。さらに、容姿にぴったりな短い銀髪。この男はいわゆるイケメンだ。

「何言ってんのよ!」

「むきになるなって」

  リズとソーマは喧嘩をし始めた。第三者から見れば思春期のお子様がイチャイチャしているようにしか見えない光景だ。

「まあまあ、二人とも落ち着いて」

  終わりが見えない喧嘩を僕は止めに入った。

「誰のせいでこうなったと思ってんのよ」とリザ。

「お子様は黙っとけよ」とソーマ。

  止めに入ったつもりだったが、火に油を注いだだけみたいだ。

  僕はこの2人を見ながらめんどくさいなと思う反面、けっこう楽しいと感じていた。

「ユイト行くわよ」「ユイト行こうぜ」

  2人はほぼ同時に僕に声をかけた。

「付いてこないで!」「付いてくんなよ!」

  先程のは修正しよう。やはり、ただめんどくさいだけだった。
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