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まるで迷路?

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この世界の世界観はファンタジーの世界にある中世の城下町風にできていて、管理局自体も外観はそちら寄り。とはいえ、現代の日本に近い感覚も取り入れてある。

ここで働く人が見慣れた、親しみのある造りにして体感の違和感を無くしてる、とか言ってましたけど。

業務に取り入れているシステムは機械もあるし、プログラミングして構築したシステムを使ったりとハイテク。

私はこれあからさまに違和感ありありなんですけど、異世界に違和感どうのは無意味な考えでしょうかね?私の存在もまた違和感でしょうし…ね。

さて…それを踏まえて、ここ、工場区画。

「認証しました。」

監査員のリーダーが社員証を鉄でできた物々しい扉前に置いてある?ガラス玉が浮かんでる光の柱に突っ込むと扉が開く。ほまれちゃん達はその中へぞろぞろと入り、進んでいきます。

…どういう作りなんだか謎です。

「はい、では皆さんここから担当箇所に向かってくださいね。施設内は広いんで迷子にならないようによく地図確認してくださいねー?集合時間は16時で、定時までは上に戻って調査書の記録作業になりますのでよろしくおねがいしますねー!」

結構長いですね。お昼はどうするんですかほまれちゃん?

「サンドイッチ持ってきたわよ?朝のスクランブルエッグとベーコンとトマトの~…自信作!」

それは余り物の処分で…手抜き…では。

…黙っておきましょう。守りたいその笑顔。

コツコツと靴音を響かせて、まるで宇宙船の中のような作りの廊下を地図とにらめっこしながら進むほまれちゃん。

「んん…こっち?あ、ここを曲がると…。」

無駄に複雑に作られてる通路は地図があっても迷うでしょうなぁ。ほまれちゃんはただでさえ…。

「ただでさえなによっ…方向音痴で悪かったわねっ!」

そんなこと言って…ますね!

「そこは否定するべきよ…。」

いやぁ、初めてここに新人の頃見学できたときも迷子になってたのを思い出しまして。そのおかげであの男とお知り合いになったのを…。

「あの時はほんとにわからなかったしっ。この間行ったときは迷わなかったもん。」

それはみんなが一緒だったからでしょー?

ってあれれ。

ぷりぷり怒って早足になってますけど…大丈夫ですか?

「大丈夫よ!だってここの先に…第2備品庫が…?」

そうですね、どう見てもシャワールームですね。

「へ?え?えぇ??何で?だって…え??」

慌てて地図を確認して…かわゆいですなぁ…ってお?!

「ん?三日月?何でこんなところにいるんだ?」

「メ、メ、メ、メノノ!メノウ先輩?!」

シャワールームと書かれた扉から出てきたのは噂のメノウ先輩。髪も乾かさず上半身裸で出てきよって…ほまれちゃん真っ赤じゃないですか!破廉恥!

「どうした?また迷子か?どれどれ…ははっ!これは地図が逆さまだな?」

「はうっ…!」

そんなほっぺた同士が触れ合いそうなのぞき込み方するんじゃないよ…!頭もぽんぽんしながら!距離が近い!セクハラよ!

お風呂上がりのベルガモットの石鹸の香りもほまれちゃんの思考をおかしくしてる!教育上よくない!

「あ~…こっから距離あるし、俺も一緒に行ってやるから安心しろよ?な?」

「は、はひ。おねがいしまふ…?」

あーあ…もう!水も滴るいい男演出ですか?!とんでもないたらし男ですね?!気を付けた方がいいですよ!

あれ…聞いてますかほまれちゃん?ほまれちゃんー!?

私の声が届かないくらい見惚れてないでください!仕事!仕事ですよー?!
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