「聖女に丸投げ、いい加減やめません?」というと、それが発動条件でした。※シファルルート

ハル*

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いわゆる、他人事ってやつ 6 ♯ルート:Sf

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~シファル視点~


ひなの背中を見送り、教会のやつらと消えていくひなを心配すれども何かが出来るわけでもなく。

俺が過去にやらかした暴走事件の後片付けを教会関係者がやってくれたことで、俺はあまり強く出ることが出来ない。

両親も教会の方からも、気にすることはないと言われていたけれど、やらかした事実は消えないのだから。

俺に対してお気になさらずと言ってきたはずの教会のやつらが、さっきひなと俺が一緒にいた時に随分と強めに睨んできたっけ。

俺が何かしたっていうのかよ。

「ひな、もうそろそろ話も終わったかな。カルナークに話をしに行かなきゃいけないし。なんにせよ順番にやっていくしかない…っと、これ…持っていくか。念のため」

そうして俺が手にしたのは、すこし回数多めの鎮痛剤とひなが気に入って飲んでいる薬草茶の茶葉。

大事にしていきたい。あの子のことも、俺自身のこの想いも。

だから、ささやかだってなんだっていいから、ひなのまわりをひなが好きだと思うもので埋めてあげたくなる。

茶葉はそのひとつでしかない。

廊下を歩いていくと、ジークとアレクに出会う。

「どこか行くのか?」

そう問いかければ、「陽向に確認したいことがあってな」

とアレク。

そういえばと切り出して、さっき起きたことを共有する。

「教会関係者が、ね。…ひな、大丈夫かな」

ジークがそう呟き、部屋へと向かう速度を速めた。

ノックをしかけた俺たちの耳に、ドアの向こうから聞き覚えがある声がした。

「陽向! こんな時に俺のことなんかいいから!」

カルナークがかなり焦った声で、叫んでいる。

三人で目を合わせ、ノックもなしに部屋へ入っていくと、見えたのはひなのあの場所からまたモヤがあふれ出している姿。

アレクがひなを抱きあげて、ベッドまで運んでいく。

俺は先回りして、布団を剥いで、ひながいつものように体を起こせるようにとクッションや枕を整えた。

「だ…じょ、ぶ」

ちっとも大丈夫じゃないのに、薄く笑って小さく手を振って、そんなことをいう。

「嘘を吐かなくていい。キツかったらキツいって言ってもいいんだ、ひな」

モヤが出まくっているその頭を撫でると、俺の手にピリリと痛みが走って弾かれそうになる。

表情はそのままで、奥歯を噛みしめて痛みを堪える。

「薬持ってきたけど、飲めるか? ひな」

「わか…なぃ。水、飲みた……いの、に」

カルナークが水をグラスに注ぐけど、ひなが体を起こせない上に飲み込めるかが微妙な感じだ。

悩んで。

躊躇って。

わずかな時間で、悩んでる時間はないと理解して。

「ひな…また、飲ませても?」

二人だけでわかる言葉で話しかけると、ふわりと笑って肯定を示してくれた。

三人の方を向き、まっすぐ視線を向けて、ハッキリとした言葉で伝える。

「これからひなに俺が水を飲ませる。だから、三人ともすこしだけ背中向けててくれないか」

この言葉で理解できなかったのは、カルナークだけ。

「…ん」

「わかった」

「え? え?」

オロオロするカルナークの体ごと反転させてくれたのは、アレク。

「さっさとやれ」

と言いながら、俺に任せる意思を伝えてくれた。

任されたことに少しホッとしつつも、早くひなを楽にしてやりたくて薬を手にした。

丸薬を手に取り、ひなに口を開けてと促す。

小さく空いた唇の間から、コロンと丸薬を転がし入れて。

俺の口に水を含んで、ひなにキスをするようにして水を飲ませる。

体を起こしていたこともあって、思いのほか早めに薬を飲みこんでくれた。

「水…」

その声に、今度は薬なしで水だけをひなに与えていく。

口の端から、一滴、水がこぼれていく。

反射的に自分の舌先でぺろりと舐めて拭った瞬間、背中に視線を感じた。

「シ、ファ……?」

真っ赤になったカルナークがこっちを見てて、涙目になっている。

「あ……」

なんだかイケナイものを弟に見られた気分になる。

そして反対側からも視線を感じて、そっちを向けばひながカルナーク同様に真っ赤になっていた。

「ごめん。…ハンカチで拭うより早いかと、反射的に…つい」

カルナークと違うのは、気のせいだと思いたくないけど、すこし嬉しそうに笑っているところ。

嬉しさに、不謹慎だとわかっていながらも顔がゆるみそうになる。

顔を背けてひなのそばに立ったままの俺に、ジークが「ちょっと避けてよ」と眉間にしわを寄せて手で俺を制した。

「あ、あぁ」

バツが悪いなと感じつつ、ジークのそばに立って様子を見る。

「…………ひな。ちょっとアレクのスキル使って、ひなに起きたこと知りたいけど…いいかい?」

ジークがそう問いかけると、ひなが小さくうなずいた。

ひなの両手にジークとアレクが触れて、「起きたこと、聞いたこと、話したこと。思い浮かべるだけでいいから」と促すと、ひながそっと目を閉じる。

ややしばらくして、二人がひなから離れていき、本棚の方へと向かったと思えばなにか話し合っている。

二人の背中を眺めていると、不意にドン! と強めの音がして、思わず目を見張った。

「立場、ブッつぶしてやってもいいんだけどねぇ。ひなが考えているように、召喚せずにすむようになれば、教会なんかあってもなくてもいいんだっての」

「…あぁ。陽向だけじゃ多分無理だろうから、俺も動こう。ナーヴも巻き込め。この際、アイツの魔力の扱い方と知識量を使わないままなのは、そろそろ限界だ」

「あぁ、そうだねぇ。教会のやつらなんか、どうとでもしてやれるってのに。俺がひなのこと大事にしてるの、ほーんと…わかってないんだから。誰にケンカ売ってんのか、わからせてやるか」

「…だな。陽向が聖女という冠をつけているから大事にしていると思っているのは、教会関係者だけだろう。……バカバカしい。愚か者の極みだ」

なんだか、二人がめちゃくちゃ怒ってるのがわかるんだが、静かに淡々と話しながらなのがかえって怖い。

クイッと引っ張られた感覚に、ひなの方を見下ろす。

袖をつかまれてて、口パクで「あのね」と言っているのがわかった。

「ん?」と耳を近づけると、「二人に」とひなが言う。

「ひなが呼んでる」なんて声をかけたら、二人がすっ飛んできて俺を避けた。

「どうした、陽向」

「話すのキツかったら、念話する?」

ひなはそんな二人に「へへ…」といつものように微笑んでからうなずく。

二人がひなと手をつなぎ、ひなと目を合わせる。

何かを伝えたんだろうけど、二人が同時に互いを見てからひなを見て。

「……ひな。ちゃんとひなの分も空けておくから」

「あぁ、まかせとけ。俺は陽向の父で兄のつもりだからな。そのへんは、とっくに察している」

なんなんだ? と眉間にしわが寄りそうな会話が聞こえてきて。

ひなに今すぐ聞きたいのを飲み込み、ウトウトしだしたひなを寝かせることを提案する。

「俺たちはちょっとナーヴのところに行ってくるから」

とジークとアレクが部屋を出ていき、俺とカルナークが残された。

「……俺も、ここにいたいんだけど」

ボソボソと呟きながら、俺と目線を合わせてきたカルナーク。

「陽向に無理させたの、俺だし。それに俺…」

てっきりひなへの気持ちを口にするかと思いきや、俺にとっては意外な言葉が出てきた。

「兄貴…に、伝えたいこと…あるんだ。報告以外の話、兄弟として……したい」

俺がなんとなく避けてきたことへの提案。

カルナークの表情は、関係が変わってしまう前に何度も見ていた幼い弟の顔つき。

「陽向が…起きるまででもいいから」

無理なお願いだと思わせていると理解して、これくらい叶えられなきゃ兄貴じゃないなと思えて。

「……いいよ。久々に、話そうか。…カル」

昔、何度も呼んでいた呼び方で弟を呼ぶ。

「うん…うんっ」

うなずく姿までも、どこか幼いままで。

「じゃあ、こっちで話そう」

俺が歩き出し、その後ろからカルナークがついてくる。

不思議な感覚に背中を押されるように、俺は先にソファーに腰かけて。

「お前は、ここ…な?」

昔のカルナークの定位置、俺の横を手のひらでソファーをトンと叩いて示してやる。

向かいあって話し合ってばかりだった関係じゃなく、兄弟としてつながり直すために。

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