妄想ガール

もち。

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平日は学校にいます。(朝)

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 私、なんだかんだで女子高生なんですよ。しかも、高3です。LJKです。進路はもう決まっているので、あとは高校生活をエンジョイするだけなので、非行に走りたい心を静めて、穏やかに過ごしています。

 私は穏やかに過ごしたいのですが、実は私がいるクラス、問題を起こす生徒が多く、ちょっと賑やかなんです。

 「あー!さなーおはよー!!」

 ドアを開けるやいなや、声が大きい彼女は大岡 桃。髪は茶髪ショートで、耳にピアス、爪にマニキュア。特徴を言えばギャルのようだが、時間はきっちり守る。授業はサボっているところを見たことがない。だから朝も早く登校する。ちなみに幼なじみというか、昔から休日に一緒に遊んでいた仲だ。でも実際のところ、高校から学校は一緒で、彼女がなぜギャルというか、あんな風になったのかは、全く知らない。

 「おはよう、ももちゃん」

 「さなも、おはよ!」

 幼なじみだから、『ももちゃん』って呼んでて、『さな』って呼んでいる。だからか、周りにも私は佐南(さなみ)なのに『さな』って呼ばれ、名前で呼ぶ人は滅多にいない。

 名前で呼ばれるより、『さな』で呼ばれる方が落ち着くし、いいんですけどね。伝わりますし。

 「ねー、さな。今日さ、うちに来ない?」

 「え、急にどうしたの?」

 彼女は突然私を家に誘ってきた。

 「昨日、花屋でめちゃくちゃ可愛い花見つけたから、買ったんだけど見にこないかなって。」

 「お花見ってこと?」

 ももちゃんは驚くようなことを私によく話してくるが、中身は結構乙女で、そんなところが彼女といて楽しいと思える理由だと思う。

 「そう、お花見しようよって。なんなら晩ごはんも食べてきなよって。」

 そして、よく私に気を使ってくる。いつも家でひとり寂しく過ごす私に、晩ごはんを誘ったり、休日に遊びに連れ出したり。色々体験出来て私は嬉しい。けど、少し今日は気分じゃない。

 「少し考えてもいい?」

 「いいよ、別に。もしかして、今日予定…あった?」

 ももちゃんは顔色を伺うように訊ねた。

 「ううん。特に無いけど、ちょっとね。」

 「そっか。」

 「放課後には決めとくから。」

 「わかった」

 ももちゃんとの予定を適当にはぐらかし、私は席に着いた。本当に今日は予定がない。でも、何故か気分では無かった。

 「なんでだろうね…」

 小さく呟いてふと今日の時間割を見る。

 「数学…やってない…」

 数学の課題が終わってないことに気がついた。まだ朝のHRには時間がある。終わらせておこう。




 この季節なんの花だろうか。気になる。


 さらさらとシャーペンを走らせながら思う。

 ももちゃんが気に入った花だから、きっと小さな花ではなく、大きくて鮮やかな花だろうな。

 
 そんなことを思いながら、今日の清々しい朝は終わった。
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