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第6話 ハイテクの代替品
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まずは魔法について学ぶことにした。
ハイテクな機会鎧を作ろうにもこの世界のあらゆるものが足りない。科学や技術等、転生前の世界よりもそういった水準は2段・3段劣っているのだ。
おまけに知識はアメコミのイラスト・CG・プラモの知識程度。
ハイテクなものをこの世界に生み出そうにも、一人で第2の産業革命を起こせるほど工学に精通しているわけでもない。故に唯一無二であらゆるものの根底である『魔法』を利用しないという手はなく、魔法から何かヒントを得られないかと考えた。
「まずは……『魔法の基礎』だな。どれどれ……」
整理された本棚からいかにも初心者向けそうな本を取り出し、パラパラとページをめくる。他の本よりもイラストも多く、専門的な単語には注釈が入っている。この世界に本の帯の習慣があれば『初めの一歩に適した本‼』なんてキャッチコピーが付けられてそうだ。
一先ず第一章と記されたページに戻る。『第一章:魔法とは』と見出しがついたページにはこう記してあった。
──────世界には数多くの魔法が存在する。原初の火・水・風・雷・土の5属性の魔法を始め、様々な魔法が日々誕生している。その用途は日常生活から軍事まで幅広い。』
『そんな生活の基盤である魔法は6歳前後、神託の儀を通じて最初の魔法を授与する。ここで授与する魔法の使用経験・知識を持ってその後の発展型魔法に転用していくため、原初・発展魔法の使用には神託の儀は必要不可欠な存在である──────
「つまるところ魔法は神託の儀で魔法を貰わない限り使えない、か。となると先が辛いなぁ……」
神に嫌われてるのって思いのほかヤバイのかもしれない。
抜け道がどうにかないものか。そんな風に考えていると手に持つ本から一枚の紙きれがひらひらと床に落ちた。
「ん? これは……」
床に落ちた紙切れを拾い上げる。所々掠れていて読めないが、見出し部分には『魔法石の研究事例』と書かれていた。
「魔法石の研究? ……魔法石は魔法が使えない者の為の救済措置として研究が進められた⁉ コレだ‼」
同様のタイトルの本を本棚から見つけ出すと、整頓した棚が崩れるのをお構いなしに引き出しページをめくる。
ページの所々が掠れたり、焦げたような跡があるページがほとんどの中で比較的鮮明に残ったページが目に留まる。どうやら魔法石の作り方を記したページらしい。
───『魔法石の作成方法・結果』──────
我々はかねてより○○の為、魔法石の研究・作成に心血を注いできた。
結果から言えば現時点で成功を導けてはいない。ただ進展は間違いなくあり、その表れをここに記そうと思う。
魔法石は人が誰しも持つ魔力を通すことで皆平等に魔法を使うことの出来るアイテムである。
作成するためには大きく3つのものが必要である。
①魔法石の元となる魔力を秘めた原石。
②通常使用する際のおよそ100倍の魔力。それも混じり気のない、個人のもの。
③その魔法に対する十分な知見。
どれも必要に満たす量でなければ魔法石は効果を発揮しない。
①と③はそれ程難しくことではない。問題は②である。我々の研究ではこの②の段階で──────
ここから先のページは全て破り捨てられていた。気になるところで打ち切られ、続きが見られないというのは論文も研究も、はたまた漫画も同じである。
ページの損傷に黄ばみ、古本特有の匂いもあり相当年季が入っていると見受けられる。まだ魔法を持たない者への扱いが比較的軽い時代だったんだろう。現世界の情勢を見るに今こんな本を書いたら処刑されそうだ。
とにかくこの本に書いてある3つの要素を満たせば自分も魔法が使える可能性は0ではない。著者は失敗に終わってしまったようだし不安はあるが……ありがたいことに今現在は時間がある。勉学の時間も以前は設けられていたが、ほぼいないもの扱いの今は取り払われた。
現状唯一の生存の道だ。当たって砕けるのみ。
こうして魔法石の作成に取り掛かった。
ハイテクな機会鎧を作ろうにもこの世界のあらゆるものが足りない。科学や技術等、転生前の世界よりもそういった水準は2段・3段劣っているのだ。
おまけに知識はアメコミのイラスト・CG・プラモの知識程度。
ハイテクなものをこの世界に生み出そうにも、一人で第2の産業革命を起こせるほど工学に精通しているわけでもない。故に唯一無二であらゆるものの根底である『魔法』を利用しないという手はなく、魔法から何かヒントを得られないかと考えた。
「まずは……『魔法の基礎』だな。どれどれ……」
整理された本棚からいかにも初心者向けそうな本を取り出し、パラパラとページをめくる。他の本よりもイラストも多く、専門的な単語には注釈が入っている。この世界に本の帯の習慣があれば『初めの一歩に適した本‼』なんてキャッチコピーが付けられてそうだ。
一先ず第一章と記されたページに戻る。『第一章:魔法とは』と見出しがついたページにはこう記してあった。
──────世界には数多くの魔法が存在する。原初の火・水・風・雷・土の5属性の魔法を始め、様々な魔法が日々誕生している。その用途は日常生活から軍事まで幅広い。』
『そんな生活の基盤である魔法は6歳前後、神託の儀を通じて最初の魔法を授与する。ここで授与する魔法の使用経験・知識を持ってその後の発展型魔法に転用していくため、原初・発展魔法の使用には神託の儀は必要不可欠な存在である──────
「つまるところ魔法は神託の儀で魔法を貰わない限り使えない、か。となると先が辛いなぁ……」
神に嫌われてるのって思いのほかヤバイのかもしれない。
抜け道がどうにかないものか。そんな風に考えていると手に持つ本から一枚の紙きれがひらひらと床に落ちた。
「ん? これは……」
床に落ちた紙切れを拾い上げる。所々掠れていて読めないが、見出し部分には『魔法石の研究事例』と書かれていた。
「魔法石の研究? ……魔法石は魔法が使えない者の為の救済措置として研究が進められた⁉ コレだ‼」
同様のタイトルの本を本棚から見つけ出すと、整頓した棚が崩れるのをお構いなしに引き出しページをめくる。
ページの所々が掠れたり、焦げたような跡があるページがほとんどの中で比較的鮮明に残ったページが目に留まる。どうやら魔法石の作り方を記したページらしい。
───『魔法石の作成方法・結果』──────
我々はかねてより○○の為、魔法石の研究・作成に心血を注いできた。
結果から言えば現時点で成功を導けてはいない。ただ進展は間違いなくあり、その表れをここに記そうと思う。
魔法石は人が誰しも持つ魔力を通すことで皆平等に魔法を使うことの出来るアイテムである。
作成するためには大きく3つのものが必要である。
①魔法石の元となる魔力を秘めた原石。
②通常使用する際のおよそ100倍の魔力。それも混じり気のない、個人のもの。
③その魔法に対する十分な知見。
どれも必要に満たす量でなければ魔法石は効果を発揮しない。
①と③はそれ程難しくことではない。問題は②である。我々の研究ではこの②の段階で──────
ここから先のページは全て破り捨てられていた。気になるところで打ち切られ、続きが見られないというのは論文も研究も、はたまた漫画も同じである。
ページの損傷に黄ばみ、古本特有の匂いもあり相当年季が入っていると見受けられる。まだ魔法を持たない者への扱いが比較的軽い時代だったんだろう。現世界の情勢を見るに今こんな本を書いたら処刑されそうだ。
とにかくこの本に書いてある3つの要素を満たせば自分も魔法が使える可能性は0ではない。著者は失敗に終わってしまったようだし不安はあるが……ありがたいことに今現在は時間がある。勉学の時間も以前は設けられていたが、ほぼいないもの扱いの今は取り払われた。
現状唯一の生存の道だ。当たって砕けるのみ。
こうして魔法石の作成に取り掛かった。
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