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1章

反動に耐えるために

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イッセイはギルドへ薬草の納品を済ませ、宿へと戻っていた

「いててて…」
『大丈夫ですか?』

肩を結構痛めてしまったようだ
゛雷鳴゛の反動がここまでとはな…

「どんな武器が使えようと、体は元の人間のままだもんな…」
マスターの身体能力だけで言えばそこらの子供と同程度ですからね。』
「まあ職無しだからなぁ…」

身体能力向上とかそんなファンタジーなスキルがない分自分に出来るやり方でカバーしなくてはならない

「撃つ時に背中に支えか何か…だと敵の的になっちゃうよな…」
『何か部分的に補助出来ればいいんですれどね…』

部分的…か
最低限かつ戦闘時邪魔にならない… 

「…!だったら…」

愛読本の資料集のページをめくりそれを探す

部分的補助でSF…
だったらあれがあるはずだ

「…あった!」
『これは…ブースターですか?』

開いたのはパワードスーツのページ
そのページには人型のロボットやスーツの空中飛行が可能なもののデザインが書かれていた

「この空中飛行のためのブースターを使えないかなって思ってさ。」
『なるほど。ですがこれらのスーツ全体を創るのはやめておいた方がいいかと。今のレベルでこれを創れば十中八九、干からびます。』
「…まじか。」

長らく夢見てきたパワードスーツの夢はまだ叶わなそうだ

「取り敢えずブースターだけ創りますか!」
『ええ。』

そうして製作に取り掛かり始めてから3時間後…

「で、出来た…」
『お疲れ様です、主人マスター。』
「外の型はすぐ出来たけどブースター本体の仕組みにここまでかかるとは…」
『今までの武器とはわけが違いますからね。剣や銃は仕組みは何となくわかると思いますが、これブースターなんて映画とか見ただけでは分からないでしょう。』

出来たブースターは手一個分ぐらいの大きさのもので左右の肩に1つずつ、そして左右の足にも1つずつ創った
なぜ足にも創ったかだって?
スーツは無理でも飛べないかなぁ…って思ってね

「取り敢えず少し動かしてみるか。微調整とかも必要だろ。」

そう言ってブースターを起動させる
脳波で判断してくれる優れものだ

『だったらもっと広い場所でやった方がいいかと。』
「え?」
『技術を想像でカバーして創ったものですから出力が本来のとはちょっと…』
「ちょっとぐらい平気だって!見ててく…」

そう言った次の瞬間イッセイは宿の壁を突き抜け夜空へと放り出されていった
その光景を見たある者は隕石だと、ある者は天からの祝福だと
そしてある者は

「あれは魔王の手の者に違い無い!異世界の勇者たちよ!肩慣らしに奴を討伐してくるのだ!」
「「「はい!」」」

魔王の手先…と思った者もいた

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