また逢える日まで

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また逢える日まで

進路選択

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今日は夏の特に暑い日だ…。私たちは、高校選びに悩んでいた…。
「みんなは、高校どこにするの?」
本当に女子かと疑いたくなるような姿勢でカナが問いかける。
「俺はまだ特に決まっていない」
高校入試の本を読んでいたリュウがカナのほうを向き、答えた。
「ふーん…本当か?」
レンは、疑いの眼差しをリュウに向けた。
ミキもユミも本気なのかと言いたげな表情でリュウを見ている。
「嘘を言ってどうする。俺はまだどこにしようとは決めてはいないが、候補ならあるさ」
入試の本をちらつかせながら、リュウはにやりと笑った。
「はぁ…。どうせお前のことだから高いだろ?」
夏休みの宿題をやりながら、話を聞いていたユウが、顔を上げ、嘆息した。
「ああ。けれど、俺はできればお前らと離れたくないと思っている。そこでだ。この高校ならみんなで入れるんじゃないかと思うんだが…」
リュウが本をパラパラとめくり、ある高校のページを開き、みんなに見せる。
「葵高校?偏差値は…四十五?」
近くに近づき、じっと見ていたカナがリュウに問いかける。
「ああ。ここはダメか?少し低めだが、進路に対する学校側の姿勢とか進路状況とかはなかなかいいところだと思う」
どこに進学したか、就職したかが書かれた部分を見せながら、リュウは頷いた。
「ふーん、ここならいいんじゃね?でもさ、正直言って、カナとユウとユミ、この偏差値きついだろ。お前ら、確か今の成績なら三十五くらいの学校だねって担任に言われてたよな?」
カナ、ユミ、ユウのほうを見ながら、ふと思い出したようにレンが問いかける。
「はい…」
三人はレンに目を合わさず、返事した。
「試験教科は国語、数学、英語の三教科だし、ユミは数学、カナは国語、ユウは英語とそれぞれ得意分野あるし。レンとリュウは全ての教科に対応できて、うちは数学が得意だし。うちらが分担して三人の苦手な部分を教えてあげればいいんじゃない?レンが英語で、リュウが国語でうちが数学。ユミはリュウとレンに教わって、カナはレンとうちで、ユウはうちとリュウかな?」
試験教科をじっと見ていたミキが提案してきた。
そうだなとリュウも頷く。
「仕方ないな…。俺たちはスパルタだから覚悟しろよ?三人とも」
レンは嘆息し、三人に視線を向けると不敵な笑みを浮かべた。
三人は、嫌だなという顔をしながら、ミキに助けを求めるような目線を向けた。
しかし、仕方ないよという感じで苦笑されただけだった…。
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