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第一章 お転婆娘
変態野郎
しおりを挟む「えっと……それでは、いただきます」
「「「……いただきます」」」
緊張しながらも食事を開始する。
しかし、それは一瞬のこと。
始まってしまえばまた騒がしくなるのが私達。
「いやー。今日のメインは肉汁がすごいなー。ジャスミンもこれぐらい溢れてくるの?」
「黙りなさい。この18禁野郎」
「おや。ついにジャスミンも口調がマナに似てきたね」
「誰のせいよ誰の」
口を開けば卑猥な言葉か甘い言葉しか出てこないファーレスは、この国では名の知れた変態らしい。
なんだ。
名の知れた変態って。
自分の夫がそんな言われ方をしているなんて、悲しくて一緒に表を歩けない。
「おい。肉汁をそういう例えに使うな。食事中だぞ」
ファーレスを射殺してしまいそうな鋭い目つきで睨むゲイル。
彼は決まってこう言った話になると割って入ってくれる。
「えー。じゃあゲイルはジャスミンの美味しい美味しい肉汁に興味ないんだね?皆無なんだね?俺が独り占めしちゃっていいわけね?」
「それとこれは話が違う。俺もジャスミンのものには興味がある」
「じゃあいいじゃん」
「肉汁ではなく、もっと女性らしい例えがいい。果汁とかどうだ?」
「あ、いいねそれ」
いい方向に進んだ試しが無いのが悲しい。
うちの夫は変態ばかりなのか?と嘆きたくなる。
「二人ともー。そんなこと言ったらジャスミン困っちゃうよー?」
首を傾げながら眉尻を下げて私の心配をしてくれるルー。
唯一味方してくれるはこの子しかいないのね!
……と思うでしょう?
「果汁だったら吸ったり飲んだりするだけで終わりじゃーん。そんなの可愛そうだよー。だったらジャスミンを果実にして、丸ごと全部食べちゃおうよー」
何だかんだで一番危ないのはルーだと思っている。
私達四人でいる時しか変態発言をしないからか、周りにはちょっと抜けてる人ぐらいにしか認識されていない。
ゲイルも同様だ。
この四人限定である。
つまり、私の夫達は変態であるということだ。
誰か私の苦労をわかってくれないだろうか?
誰でもいい。
犬でも、鳥でもいい。
慰めてくれ。
「肉でも果実でも何でもいいです。食して腹に入れば一緒です。ジャスミン様はこの後仕事がありますので、夜に吸うなり飲むなり食べるなりして構いませんから、さっさと食事を済ませてもらえますか?このウスノロ共」
「はーい」
「マナの許可が下りたし、遠慮なく今晩いただこうかな」
「順番はくじ引きで決めるぞ」
私はもうこの人たちとやっていける自信がありません。
逃げ出したいとさえ思います。
「家出してやる!」
「ミゼリーの所ならもって二日だねー」
「うちの隊員の所に転がり込んだら問答無用でイかせちゃうからね」
「とりあえず城門を閉めるか」
私に逃げる場所なんてないけど。
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本当に逃げ出したいわけじゃないから、別にいいんだけどね。
こんな愉快な者達に囲まれて、私は日々生活をしている。
楽しそうですね、と周りからは言われるが、気苦労が絶えないことも理解していただきたい。
楽しいと言うことに関しては、素直に頷くことはできるけどね。
言葉責めという陰湿な攻撃は受けているけれど、実際楽しいし。
「ジャスミン様。ニヤニヤしてないでください。椅子の下が泥だらけになります」
「あー。本当だー。ほっぺが落ちてドロドロだー」
「ドロドロって響きもいいね。どうしようゲイル。俺の息子が元気になりそうだよ」
「黙れ変態」
「ーーーーーっ!!!私は泥人形じゃないっての!」
楽しい……はずです。
多分。
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