銀獣-王道BLを傍観するつもりが巻き込まれました-【本編完結。SS公開予定】

レイエンダ

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第三章 狂い始め

俺は犬か

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「春都先輩。こっち来て」


 自分の隣を手でポンポンと叩く。
 ソファーの肘置きに頬杖をつき、足を組んで偉そうにこちらを見ている。


「後でじゃダメかなー?急ぎの仕事があるんだよねー」


 先輩を呼びつけるなんて、どういう神経してるんだろうな。
 というより、どういう教育を受けてきたのだろうか。
 そう思いながらも、笑顔を貼り付けて答えた。
 引きつっていない事を切に願って。


「来てくれなかったらずっと名前呼び続けるから」


 遠回しに“行く暇がない”というのをアピールしたのだが、空気が読めない、または読む気がないマリモさんには伝わらず。
 しかも、今すぐに隣に行かなかったらずーっと呼び続けるって?

 待って。
 それはうざい。
 中指立てるどころではすまない。
 実行犯になってしまう。
 もちろん、“殺人”のである。


「わかったよ。ちょっと待ってねー」


 今すぐにでも殴り飛ばしたい気持ちをなんとか抑え、開いていたWardの資料を保存し、パソコンの電源を落とした。
 なんでって?
 すぐに終わるわけないと、悟ったからだよ。


「はい。来ましたよーっと」


 先程マリモが叩いていた場所に腰掛け、自覚済みの長い足を組む。
 足を曲げた事でスラックスの裾が持ち上がり、学校指定の黒いソックスが姿を現した。

 隣に来たことに満足したのか、口の両端が持ち上がり、「うん。ありがとう」と陽気な声で言った。
 話し相手が欲しかったのだろうと、次の言葉を待つが、特にそんな素ぶりは無く。
 わざわざ俺とは逆の足で組み直し、組んでいる方の足を振り子のようにぶらぶらと動かし、ワザとぶつけてくる。
 マリモの足先が踵部分に当たり、僅かに揺れた。


ーーー……コツン。コツン。


 それはメトロノームのように規則正しく、ただの暇つぶしなのだろうと一人で納得した。
 話す気がないのならそれでいい。
 話し相手を求めていたわけでは無く、近くに人の存在を感じていたい。
 ただそれだけだったのかもしれない。
 それだけの為に仕事を中断させられたのか。
 そう思うと、貧乏揺すりが止まらなかった。

 背もたれに体を預け、腕は腰の横に力なく放り出す。
 最近パソコンと資料ばかりで見上げることも無くなっていた天井。
 そういえばライトブラウンだったなーと、忘れかけていた天井の色を脳裏に焼き付ける。

 ぼーっと無言で見つめていると、腰の横に放り出していた手が、じんわりと暖かくなった。
 いや、“暖かくなった”というより、“暖かいものが乗せられた”という表現が正しい。
 見なくてもわかるそれは、紛れもなくマリモの“手”で。
 手の甲や指を撫でては握るを繰り返している。
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