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第1章
1 チャラ男担当クズ男担当割り振り
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「『騎士団の日常』配信……?」
副団長クライヴから出された提案に、詰め所に居合わせた第一騎士団の面々は静かにざわついた。
いずれも体格の良い青年が十五名ほど。驚いている雰囲気こそあるものの、反応としては控えめで、仕草に上品な印象がある。
他の騎士と立ち話をしていた流れで、壁際に立ったままクライヴの話に耳を傾けていた眼鏡の騎士が発言を求め、許可を得てから質問を口にした。
「話題の魔道具ですよね? その道具を使えば映像を任意の機器へ向けて配信することができるという。もともとは連絡手段として軍事目的で開発されたもので騎士団にもありますが、最近になって開発費の回収もかねて民間への普及版が作られて、劇や楽団の番組配信がされるようになった……。その番組のひとつとして『騎士団の日常』を配信するという理解でよろしいですか」
クライブは相手の顔を見て、にかっと笑った。
「そうだそうだ。察しがいいな、ニコラス。実は我が騎士団はいま赤字で新しい装備を買う予算もない。無いなら稼ぐしかないわけだが、まさかお前らを任務以外の仕事につかせるわけにもいかないし、それぞれ実家に寄付を願えと言うわけにもいかない。そんな金が投入されれば間違いなく王宮内の派閥闘争に多大な影響が出るからな」
わかっているだろうが、といった様子でクライヴが言う。
この国にはいくつかの騎士団があるが、クライヴが副団長を務める第一騎士団は特殊な位置づけにあった。主要任務が王侯貴族を始めとした要人警護であり、王宮深部でも帯剣が許される待遇であるため、入団時から身元の管理が徹底されている。団員は貴族階級の出身であること、さらには本人及び身元保証人の思想信条や背景に至るまで一定の審査があるとされていて、不審な人物を排除する仕組みとなっているのだ。なお、団長は代々王族が務める慣例がある。
それだけに、集まっている青年たちはいずれも身元と育ちの確かな者ばかりで、実家も裕福なのであった。
その実家へ寄付や援助を願おうものなら、王宮を揺るがす一騒動になるのは想像に難くない。
詰め所で談笑していた騎士たちそれぞれ、公爵家の跡取り、侯爵家の次男で本人は子爵位、伯爵家嫡男……などなど錚々たる顔ぶれである。
まずもって、その実家に希えば我も我もと誰もが少しでも多く出資したがるのは火を見るより明らかだ。あくまで高潔な精神からかもしれないが、打算や下心のすべてが排除されるわけではない。そのお金を受け取ってしまったが最後、騎士団の独立性や公平性に影響が出たとみなされるのは必至だ。
よって、寄付は募ることができない。クライヴが言った通り「任務外で金銭を目的とした日雇い労働」なども、もってのほかである。
しかしだからといって、自分たちの「日常」を配信してどうなるものかというのが、その場の騎士たちの顔に書かれていた。
「普段の仕事内容を公開することはできません。騎士だけならともかく、警護対象の要人を映すわけにはいかないでしょう。となると、お見せできるのは剣の練習風景ですとか、食事くらいでしょうか。宿舎の内部公開も賛成できません。図面を見せてしまうようなものなので、侵入者に情報を与えてしまいます」
眼鏡の騎士ニコラス・ヴェルナーは、生真面目な顔で配信の問題点を挙げていった。美しい銀髪をしており、翠の瞳は穏やかで、上背はあるがさほど威圧感を与えない繊細な容貌をしている。見目が良い。
流れるようなニコラスの話しぶりを頷きながら聞いていたクライヴは「すべてその通りだ」と認めた上で、言い放った。
「それで良いんだ。お前達は存在を知られているし、公的な立場もある身だから顔を隠す必要もないが、騎士時代はとにかく任務一筋だ。国中の貴婦人やご令嬢方が夜会でひとめ会いたいと言えば第一騎士団と言われているのに、任務優先で休みも取らず踊りに行く者すらいないだろう。慣例的に、婚約も結婚も退団してからようやく……という者も多い。それでも引く手あまたで困りはしないがな。とにかく、お前たちの情報を欲している相手はずいぶん大勢いるはずなんだ。ファンサービスとして剣の稽古を見せたり、笑顔で食事している風景を見せるくらいは良いだろう」
「見て……楽しいですか?」
不思議そうな顔で口を挟んだのは、見事な赤毛に琥珀色の瞳をした青年。ニコラスが「ランドルフ」と名前を呼び、不用意な発言に気づいてはっとしたように「この場での発言をお許しいただけますか?」とクライヴに尋ねた。
「おう、どうした。言ってみろ」
面白そうに笑って、クライヴはランドルフを見る。
並んで立つニコラスとはまたタイプの違う美青年である。子どもの頃から「絶世の」と言われてきたであろう、凄まじく整った顔立ちをしていた。きっぱりとした眉に切れ長の瞳で、野生的な鋭さと貴族らしい上品さを合わせ持つ。身長は抜きん出て高く、肩幅が広く胸板も厚いが無骨さは微塵も感じさせず、騎士服を隙なく着こなしている。
「貴重な魔道具を介して見るのが、我々の練習風景や食事風景というのは……それで何が得られるのでしょうか。それに、俺は練習風景の公開にも賛成できません。剣筋を研究されてしまいます」
おお、なるほど、とクライヴは大きく頷いた。
「それはそうだな。王宮の修練場に出入りを許され稽古の見学を許可をとって見に来る相手ではなく、不特定多数に練習風景を公開するのはたしかに問題だ。ならば、見せられるのはその前後くらいだろうな。着替えとか」
「着替え……!?」
これには、その場の全員がざわっと反応をした。
「そのようなものを見たい方がこの世にいるとは思えません! 我々の裸ですよ!?」
食ってかかったのは長い金髪の美青年ヴィンセントである。彼もまた容姿が採用条件にあったのか? と言われそうなほどずば抜けた美貌の持ち主であった。
他にも何人かが「着替えは公開するようなものであはりません」と否定的な言葉を呟くも、クライヴが「わかったわかった、わかったから聞け」と一度その場をおさめた。
「俺にも考えはある。公開すると言っても、ただ漫然とその場を映すわけじゃない。一定のストーリーを用意する。簡単に言うと『今日もニコラス様とランドルフ様は仲良く笑い合っていたわ』とか『あの金髪のお美しい方はヴィンセント様? 彼は目でランドルフ様を追っていたけれど、あの目は恋ではなくて?』と、一度配信を目にした視聴者が、次の配信が気になってたまらなくなるような関係性を匂わせるんだ」
名指しされたヴィンセントが「私がランドルフ様を目で追っているのは、誰よりも剣技の冴えが素晴らしいからです! 恋ではありません!」と主張した。クライヴはにやにやとしたまま頷く。
「べつにそこにある感情がなんであれ『匂わせ』だけで良いんだ。後はもう、視聴者が妄想をふくらませて楽しむから。お前らの場合は素材が良い。仲も良いから見ていて微笑ましい。……ただ、全員それなりに爽やかで礼儀正しく、尖ったキャラクター性が無いのが不安要素でもある。もっとぐっとハートを鷲掴みにするような何かが必要だと、俺は考えているんだが」
わかります、とニコラスが説明を引き継いだ。
「何かしらのやらせがない限り、我々は匂わせ以上に関係性が発展することはありませんし、揉め事もないですし毎回普通に仲良くしているだけでしょうからね。映せる場所も内容も限られるとなれば、視聴継続する理由がありませんよね。飽きます」
周りも「そうだな」と頷き合う。我が意を得たとばかりに「そこで」と、すかさずクライヴが言った。
「キャラクター性を割り振りで決める。ニコラス、お前は見た目が優男でよく気が利く。女性に対しても変に苦手意識がなく、誰であっても親切に接して好感度が高い。配信時はそこにサービス精神をプラスして、誰彼構わずその気にさせる『チャラ男』になれ。お前ならできる」
「チャ」
「そしてランドルフ。お前はクズ男だ」
「クズ?」
いきなり名指しで「キャラを割り振られた」二人は唖然としてクライブを見る。チャラ男とクズ男とは何か? と二人ともまったく理解が追いついていない顔であった。
「いきなりそのようなことを言われても……具体的にどう振る舞えばクズになるのかわかりません。規約違反ですか? しかし第一騎士団の騎士が素行不良であると視聴者に印象付けるのはどうかと思います」
真面目そのものの顔で、ランドルフが言う。
がっはっはっは、とクライヴは豪快に笑い飛ばして「心配はいらない」と気安く言い切った。
「お前達はどんなに羽目を外しても一線を越えない。だからこそ信頼して任せられる。チャラ男クズ男演技に関しても、魔道具の前限定で構わない。シーンも指定しておく。王宮勤めの女官や侍女を誘惑するのはいただけないが、騎士団の『姫』に対して熱烈にアプローチをするなら許される。圧倒的許されだ」
「姫……? 許され……?」
全団員が「?」になったところで、満を持してといった様子でクライヴは一度部屋を出てから、引き返してきた。
連れてきたのはプラチナブロンドをきっちりと束ねて背に流した、小柄な騎士であった。
可愛らしい顔立ちをしており、少し不安げな青い目をぱっちりと開いて辺りを見回している。線が細く、まるで少女のような見た目であった。
ランドルフの横で、ニコラスが「……は?」とランドルフにしか聞こえない低音で声を発した。
クライヴは妙に得意げな顔で一同を見回して、にやにやしながらその騎士の紹介を始めた。
「こちらはレイン。新人団員で君たちの指導を必要としている『姫』だ。せいぜい、みんなでかわいがってやってくれ。特にそこのチャラ男とクズ男。お前らには期待しているからな」
副団長クライヴから出された提案に、詰め所に居合わせた第一騎士団の面々は静かにざわついた。
いずれも体格の良い青年が十五名ほど。驚いている雰囲気こそあるものの、反応としては控えめで、仕草に上品な印象がある。
他の騎士と立ち話をしていた流れで、壁際に立ったままクライヴの話に耳を傾けていた眼鏡の騎士が発言を求め、許可を得てから質問を口にした。
「話題の魔道具ですよね? その道具を使えば映像を任意の機器へ向けて配信することができるという。もともとは連絡手段として軍事目的で開発されたもので騎士団にもありますが、最近になって開発費の回収もかねて民間への普及版が作られて、劇や楽団の番組配信がされるようになった……。その番組のひとつとして『騎士団の日常』を配信するという理解でよろしいですか」
クライブは相手の顔を見て、にかっと笑った。
「そうだそうだ。察しがいいな、ニコラス。実は我が騎士団はいま赤字で新しい装備を買う予算もない。無いなら稼ぐしかないわけだが、まさかお前らを任務以外の仕事につかせるわけにもいかないし、それぞれ実家に寄付を願えと言うわけにもいかない。そんな金が投入されれば間違いなく王宮内の派閥闘争に多大な影響が出るからな」
わかっているだろうが、といった様子でクライヴが言う。
この国にはいくつかの騎士団があるが、クライヴが副団長を務める第一騎士団は特殊な位置づけにあった。主要任務が王侯貴族を始めとした要人警護であり、王宮深部でも帯剣が許される待遇であるため、入団時から身元の管理が徹底されている。団員は貴族階級の出身であること、さらには本人及び身元保証人の思想信条や背景に至るまで一定の審査があるとされていて、不審な人物を排除する仕組みとなっているのだ。なお、団長は代々王族が務める慣例がある。
それだけに、集まっている青年たちはいずれも身元と育ちの確かな者ばかりで、実家も裕福なのであった。
その実家へ寄付や援助を願おうものなら、王宮を揺るがす一騒動になるのは想像に難くない。
詰め所で談笑していた騎士たちそれぞれ、公爵家の跡取り、侯爵家の次男で本人は子爵位、伯爵家嫡男……などなど錚々たる顔ぶれである。
まずもって、その実家に希えば我も我もと誰もが少しでも多く出資したがるのは火を見るより明らかだ。あくまで高潔な精神からかもしれないが、打算や下心のすべてが排除されるわけではない。そのお金を受け取ってしまったが最後、騎士団の独立性や公平性に影響が出たとみなされるのは必至だ。
よって、寄付は募ることができない。クライヴが言った通り「任務外で金銭を目的とした日雇い労働」なども、もってのほかである。
しかしだからといって、自分たちの「日常」を配信してどうなるものかというのが、その場の騎士たちの顔に書かれていた。
「普段の仕事内容を公開することはできません。騎士だけならともかく、警護対象の要人を映すわけにはいかないでしょう。となると、お見せできるのは剣の練習風景ですとか、食事くらいでしょうか。宿舎の内部公開も賛成できません。図面を見せてしまうようなものなので、侵入者に情報を与えてしまいます」
眼鏡の騎士ニコラス・ヴェルナーは、生真面目な顔で配信の問題点を挙げていった。美しい銀髪をしており、翠の瞳は穏やかで、上背はあるがさほど威圧感を与えない繊細な容貌をしている。見目が良い。
流れるようなニコラスの話しぶりを頷きながら聞いていたクライヴは「すべてその通りだ」と認めた上で、言い放った。
「それで良いんだ。お前達は存在を知られているし、公的な立場もある身だから顔を隠す必要もないが、騎士時代はとにかく任務一筋だ。国中の貴婦人やご令嬢方が夜会でひとめ会いたいと言えば第一騎士団と言われているのに、任務優先で休みも取らず踊りに行く者すらいないだろう。慣例的に、婚約も結婚も退団してからようやく……という者も多い。それでも引く手あまたで困りはしないがな。とにかく、お前たちの情報を欲している相手はずいぶん大勢いるはずなんだ。ファンサービスとして剣の稽古を見せたり、笑顔で食事している風景を見せるくらいは良いだろう」
「見て……楽しいですか?」
不思議そうな顔で口を挟んだのは、見事な赤毛に琥珀色の瞳をした青年。ニコラスが「ランドルフ」と名前を呼び、不用意な発言に気づいてはっとしたように「この場での発言をお許しいただけますか?」とクライヴに尋ねた。
「おう、どうした。言ってみろ」
面白そうに笑って、クライヴはランドルフを見る。
並んで立つニコラスとはまたタイプの違う美青年である。子どもの頃から「絶世の」と言われてきたであろう、凄まじく整った顔立ちをしていた。きっぱりとした眉に切れ長の瞳で、野生的な鋭さと貴族らしい上品さを合わせ持つ。身長は抜きん出て高く、肩幅が広く胸板も厚いが無骨さは微塵も感じさせず、騎士服を隙なく着こなしている。
「貴重な魔道具を介して見るのが、我々の練習風景や食事風景というのは……それで何が得られるのでしょうか。それに、俺は練習風景の公開にも賛成できません。剣筋を研究されてしまいます」
おお、なるほど、とクライヴは大きく頷いた。
「それはそうだな。王宮の修練場に出入りを許され稽古の見学を許可をとって見に来る相手ではなく、不特定多数に練習風景を公開するのはたしかに問題だ。ならば、見せられるのはその前後くらいだろうな。着替えとか」
「着替え……!?」
これには、その場の全員がざわっと反応をした。
「そのようなものを見たい方がこの世にいるとは思えません! 我々の裸ですよ!?」
食ってかかったのは長い金髪の美青年ヴィンセントである。彼もまた容姿が採用条件にあったのか? と言われそうなほどずば抜けた美貌の持ち主であった。
他にも何人かが「着替えは公開するようなものであはりません」と否定的な言葉を呟くも、クライヴが「わかったわかった、わかったから聞け」と一度その場をおさめた。
「俺にも考えはある。公開すると言っても、ただ漫然とその場を映すわけじゃない。一定のストーリーを用意する。簡単に言うと『今日もニコラス様とランドルフ様は仲良く笑い合っていたわ』とか『あの金髪のお美しい方はヴィンセント様? 彼は目でランドルフ様を追っていたけれど、あの目は恋ではなくて?』と、一度配信を目にした視聴者が、次の配信が気になってたまらなくなるような関係性を匂わせるんだ」
名指しされたヴィンセントが「私がランドルフ様を目で追っているのは、誰よりも剣技の冴えが素晴らしいからです! 恋ではありません!」と主張した。クライヴはにやにやとしたまま頷く。
「べつにそこにある感情がなんであれ『匂わせ』だけで良いんだ。後はもう、視聴者が妄想をふくらませて楽しむから。お前らの場合は素材が良い。仲も良いから見ていて微笑ましい。……ただ、全員それなりに爽やかで礼儀正しく、尖ったキャラクター性が無いのが不安要素でもある。もっとぐっとハートを鷲掴みにするような何かが必要だと、俺は考えているんだが」
わかります、とニコラスが説明を引き継いだ。
「何かしらのやらせがない限り、我々は匂わせ以上に関係性が発展することはありませんし、揉め事もないですし毎回普通に仲良くしているだけでしょうからね。映せる場所も内容も限られるとなれば、視聴継続する理由がありませんよね。飽きます」
周りも「そうだな」と頷き合う。我が意を得たとばかりに「そこで」と、すかさずクライヴが言った。
「キャラクター性を割り振りで決める。ニコラス、お前は見た目が優男でよく気が利く。女性に対しても変に苦手意識がなく、誰であっても親切に接して好感度が高い。配信時はそこにサービス精神をプラスして、誰彼構わずその気にさせる『チャラ男』になれ。お前ならできる」
「チャ」
「そしてランドルフ。お前はクズ男だ」
「クズ?」
いきなり名指しで「キャラを割り振られた」二人は唖然としてクライブを見る。チャラ男とクズ男とは何か? と二人ともまったく理解が追いついていない顔であった。
「いきなりそのようなことを言われても……具体的にどう振る舞えばクズになるのかわかりません。規約違反ですか? しかし第一騎士団の騎士が素行不良であると視聴者に印象付けるのはどうかと思います」
真面目そのものの顔で、ランドルフが言う。
がっはっはっは、とクライヴは豪快に笑い飛ばして「心配はいらない」と気安く言い切った。
「お前達はどんなに羽目を外しても一線を越えない。だからこそ信頼して任せられる。チャラ男クズ男演技に関しても、魔道具の前限定で構わない。シーンも指定しておく。王宮勤めの女官や侍女を誘惑するのはいただけないが、騎士団の『姫』に対して熱烈にアプローチをするなら許される。圧倒的許されだ」
「姫……? 許され……?」
全団員が「?」になったところで、満を持してといった様子でクライヴは一度部屋を出てから、引き返してきた。
連れてきたのはプラチナブロンドをきっちりと束ねて背に流した、小柄な騎士であった。
可愛らしい顔立ちをしており、少し不安げな青い目をぱっちりと開いて辺りを見回している。線が細く、まるで少女のような見た目であった。
ランドルフの横で、ニコラスが「……は?」とランドルフにしか聞こえない低音で声を発した。
クライヴは妙に得意げな顔で一同を見回して、にやにやしながらその騎士の紹介を始めた。
「こちらはレイン。新人団員で君たちの指導を必要としている『姫』だ。せいぜい、みんなでかわいがってやってくれ。特にそこのチャラ男とクズ男。お前らには期待しているからな」
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